第28話 抱きたい
長野から最終の新幹線で帰ってきた。
昨日、今日と、出張ということになっている。
家に着くと、灯りはついていなくて、柚希も子どもたちも眠っているようだ。
そりゃ、そうだ。
もうちょっとで、深夜1時になる。
寝室に行ったら きっと、柚希を起こしてしまいそうだから、リビングのソファで寝ることにした。
ソファに畳んで置いてあったひざ掛けをかけて 寝ようかと広げたら、廊下の小さな灯りが点いて、リビングに柚希が来た。
「とおる、おかえり。 お疲れさま」
「ただいま。ごめん、起こしちゃって。
連絡もしないで、こんな時間になっちゃって、
ごめんね」
「ううん、先に寝かせてもらってたから。
ベッドで寝なよ」
柚希にそう言われて寝室へ行った。
布団に入ると、柚希のぬくもりで温かった。
「ゆき、抱いてもいい?」
「えっ?明日、早いんじゃないの?」
「そうなんだけど……」
それは、そうなんだけど、無性にやりたくなった。
「ちょっと、ひさしぶりだね」
暗くて表情はわからなかったけど、にこっと微笑んだような感じ。
拒否はされてないよな?
柚希の胸に手を伸ばした。
付き合い始めて4ヶ月の時に、初めて柚希を抱いた。
それから、そりゃ何回もセックスしてるけど、俺が求めて、柚希に断られたことは1度もない。
考えてみたら、柚希の方から抱いてほしいと言われたのは、あの最初の夜だけだな。
初めての朝、
‘’あんなに感じたの はじめてだった‘’
と、柚希は言った。
俺はそれを鵜呑みにして喜んだ、けど……
あの時の俺に、そんなテクニックがあっただろうか?
夢にまでみた柚希とのセックス。
めちゃめちゃ興奮した。
だいぶ酔っていたし、興奮して、舞い上がって、とにかく、やりまくった。
けど……
あのセックスは、須藤桂吾のセックスよりも良かったのか?
長井康之よりも?
岩田忠志よりも?
「とおる? 眠くなっちゃったの?」
あっ!!
柚希の胸を揉みながら、思考が飛んでた。
「いや、ごめん。大丈夫。続けさせて」
柚希は、あははと笑った。
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