第17話 好き過ぎる
再会から約2年後、俺は柚希と結婚した。
俺の猛アタックで結婚することができた。
結婚して8年になる今は、2人の息子も6歳と2歳になる。
下の子は特に、甘えんぼうでママにべったりだ。
俺だって、柚希に甘えたいけど、ちょっと我慢して、仕方なく息子に譲っている。
俺はきっと、普通一般的な夫よりも、妻のことを好き過ぎる。
好きでいるのは、良いことだと思う。
だけど、好き過ぎるんだ。
離れている間、どこで、何してるかがすごく気になってしまう。
それをそのまま言ったら、束縛強い夫みたいな感じがしてしまうから、柚希に言うことはない。
極端なことを言えば、自宅に監視カメラと盗聴器を付けて、スマホのGPSで位置情報を常に確認できるような状態でいたい。
って、思うけど、さすがにそこまでされたら、嫌われるのもわかっているからしないけど。
でも、そうゆうことを考えてしまう時点で、ストーカー気質なのだと思う。
犯罪を犯す人と紙一重な気もする。
俺は警察官だ。
警察官の俺が、警察のお世話になるようなことはあってはいけない。
だから、気持ちを抑えているけれど。
彼女のことが大好きなんだ。
結婚する前、いや再会する前だったけど、長野県警にいる友達の松林に、中野柚希さんのことを調べてもらった。
俺がお願いしたのは、今どこで働いているのか、と、今つきあってる相手がいるのか、の2点。
そしたら松林は、これまでの男性遍歴を、写真付きで事細かに調べて、報告書を送ってくれた。
良かれと思ってしてくれたのだけど、なんてゆうのか、知らなくてもいいことまで知ってしまった。
だいぶ、うしろめたい気持ちになった。
誰だって、多かれ少なかれ、結婚前におつきあいしていた人はいるだろう。
俺だって、先輩を好きだと思いつつも、高校、大学の時には数人のカノジョがいた。
もしも、誰ともお付き合いしたことなくて、貴方が初めての相手ですって言われたとしても、本当はそうじゃないかもしれないし。
でも、普通はそれを調べたりしないだろう。
俺は、柚希が中学高校時代つきあっていた矢沢弘人のことは知っていたし、高校を卒業して割りとすぐに2人が別れたということも知っていた。
そのあとに、柚希が誰とつきあおうと、本来それは俺が詮索することじゃない。
だけど、知ってしまうと、それなりに気になってしまった。
矢沢弘人と別れてから俺と結婚する前までつきあっていた男は、松林の報告書によれば3人。
柚希の短大時代のアルバイト先で知り合った、フリーターの須藤桂吾。
就職した会社の先輩の長井康之。
友達の紹介で知り合った、商社勤務の岩田忠志。
この3人に、共通点は見当たらない。
こうゆうタイプが好きってのがない感じ。
なんてゆうか……
矢沢弘人を忘れる為に、誰でもよかったのかな?と、思ってしまった。
その流れで、俺ともつきあってみたら、だいぶ強引に押されて、結婚することになってしまった、という感じなのではないかと思う。
心の奥で忘れられないのは、本当に好きなのは、
矢沢弘人だけだったんじゃないか?と思ったりもする。
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