第9話

進撃のWコウジ9


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「今田さん、そもそも、どうして人って、好みの外見の異性を特別扱いしてしまうんですかね?」


「ヒガシノリ!人生何周目なんや!大丈夫なんか!?俺は人生まだ一週目なんや!俺の余生を奪わんでくれ!後生や!」


「今日は日露戦争の結果生まれた…」


「ヒガシノリー!」


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「帝国主義に極東の小国が克己心のみで立ち向かい、日本海海戦で勝利し、以降、日露戦争は、絶対に誰にも犯されざる神聖な概念へと変化し…」


「2人で死のう!」


「刃物ですか?」


「せやねん!刀匠の匠の技が光るんやで!俺は巧みにヒガシノリを殺して俺も死ぬんや!」


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「学ばない人ですね。私は兄さんに腹を刺されれば死にますけど、それが何だというのです。」


「ヒガシノリ!いつから人ならざるものになったんや!」


「私は吉本興業所属、東野幸治、またの名を、白い悪魔。全ては、定められた理。見よ、鳥が羽ばたく。」


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「何でや!何でヒガシノリはわかってくれへんのや!ヒガシノリは所詮お笑い芸人なんや!どうしてヒガシノリは宇宙の全ての罪を背負いたがるんや!そんなん笑えへんやんか!見損なったで!ヒガシノリ!自分昔の方がおもろかったで!大した事ないのう!白い悪魔もその程度か!」


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「汝、今田耕司、と、呼ばれし、者か?」


「せや!俺のオトンとオカンが三日三晩寝ずに考えてつけてくれた名前や!ヒガシノリの名前よりよっぽどええわい!ヒガシノリは名前が画数悪いねん!運気爆下がりや!風水的にアウトや!先祖の祟りが報っとんねん!」


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「ヒガシノリは人間として存在してはいけない存在なんや!ヒガシノリは人の禁忌にスナック感覚で触れすぎやねん!そのスナックには大した栄養はないんや!人の一番触れちゃいけないデリケートゾーンに土足で上がり込んで栄養価の低いスナックを食い過ぎやねん!太るで!?」


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「いくらヒガシノリが体鍛えててもワシかて日生学園の出や!人間の、最も醜い、唾棄すべき、腫物のような、だがむしろ、その不完全さこそが人間の本来の美しさであって、ヒガシノリに俺は一筋の光を見たんや!ヒガシノリは俺たちの希望なんや!一緒に花月まで電車で行こう!」


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「ヒガシノリは花月がありさえすればご機嫌な、手間の掛からん、自慢の息子だったんちゃうんか!?だから嫁さんとも復縁できたんちゃうんか!?嫁さんの懊悩を想像したことがあるんか!?嫁さんへの贖罪は果たせてるんか!?ヒガシノリのところにコウノトリが運んで来た天使は!」


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「あらゆるものへの感謝の念を忘れたらあかんのや!人は1人では生きて行かれへんのや!ヒガシノリの周りの人も、ヒガシノリのうっかりミスを見て見ぬ振りして流してくれてるから、ヒガシノリは、社会生活が送れてるんや!勘違いすんなチンピラ!」


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「兄さん、日生学園の寮は辛かったですか?」


「苺ミルクのキャンディーを枕の中に隠して持ち込んで先輩に配ってたで!」


東野はその場に崩れ落ち、その両眼からは滂沱たる涙が尽きなかった。


「ヒガシノリ、銀婚式はいつや?」


「兄さん…」

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