第13話 王子様の名誉と魔女の意地
「なんでこうなったんでしょうねぇ」
「内川さんが本物の王子が見たいなんて言ったからですよ」
継母さんもマリーちゃんの結婚相手が考え得る最上の形で決まった事に喜んでくれた。想定していた以上の大物が釣れてしまったが、跡継ぎ問題が解消された今その程度は許容範囲なんだろう。マリーちゃんの方が王家に嫁ぐ訳じゃないから、たとえ生まれが大変高貴な身分であっても、多少の不便もお作法不足もそちらが我が家に合わせてください。と言い張れる。
元々王子様に興味がなかったジャヴォットお義姉様とコゼットお義姉様も祝福してくれた。元王子様の人脈ともなれば、舞踏会で営業できた人達とは比べものにならないのは確実だ。二人とも完全に商売人の顔になっている。
血の繋がらない家族たち、それに幼い頃から面倒を見てくれた家政婦さんに祝福されて、マリーちゃんは自分を選んでくれた王子様と結ばれた。これ以上ないハッピーエンドだ。
そうなったら、やっぱり気になるじゃないですか。
「本来のヒーロー役であるアホ王子って、どんな人なんですかね」
とてもじゃないけどマリーちゃんを任せられない存在。国の事も政治の事もろくに考えずに、その場限りの情報と見た目で嫁探しをしようとしたアホ王子。だなんて散々な設定を付けてしまった王子様が、いったいどんな人物なのか気になっても仕方なくない?
「では見てみましょうか」
「は?」
「これはまあ、成功報酬のようなものですよ内川さん」
そう言うと、おはぎさんはばさりと羽ばたき地面に降り、第十二王子が乗ってきた馬車へと向かった。太陽の下できらきらと輝くグレーの毛をした馬が六頭並ぶ様子は、まるでシンデレラがお城に向かう時に乗った馬車みたいだ。
「えっ、待っておはぎさん。どういう事ですか!?」
この物語の世界に入ってからおはぎさんが私の肩から離れた事は一度もない。一度振り落としかけたけど、それでもおはぎさんは肩に貼り付いていてくれた。突然風通しがよくなってしまった右肩を不安に感じている私をよそに、おはぎさんは私を置いていく。ぺたぺたと一生懸命に足を動かし、お尻を揺らして歩く後ろ姿は大変可愛い。いや、今はそんな事を考えている場合じゃない。
この馬車が何か?
「兄上!」
おはぎさんを追いかけてそっと馬車の中を覗き込もうとした瞬間、背後から爽やかを音にしたような声が聞こえた。ついさっきマリーちゃんと愛を確かめ合ったばかりの第十二王子だ。笑顔でこちらに走って来るけど、私は王子様の兄上じゃない。という事はつまり、私の向かう先に彼の兄上が居るわけで。
キィ、と重めの音を立てて従者の手によって馬車の扉が開けられた。
馬車の中を覗き込もうとしていた私の動きが止まる。
「ちょっとおはぎさん!? なんて事しやがってくれるんですか!!」
馬車の中から現れた男性は、さらさらとした黒髪を風になびかせながら自分の弟へと微笑む。慈愛のまなざしと言っても過言ではない。ああ、兄弟仲はいいんだな。ここは王位簒奪とか警戒しなくてもいい、平和な国なんだな。なんて、思う余裕もなかった。
「世界観! なんでアホ王子の顔が岸さんなんですか! 純和風が何故今ここでっ!」
馬車から降りてきたのは、確実にお金かかってるなぁと思わせる品の良い服を着た紛う事なき王子様だ。舞踏会の時に第十二王子が着ていた衣装ほどの煌びやかさはないものの、頭のてっぺんから足の先まで完璧に整えられた王子様。なのに、何故か顔だけが完全に純和風だった。純和風というか問題点はそこじゃなくて。
「すみません内川さん。私には内川さんの目にどんな人が映っているのかわからないんですよ」
「分からないって、いや、だってそこに!」
岸さん立ってるじゃん!
こてんと首を傾げるおはぎさんの可愛さも、この際無視する。
前職で結局一度も声をかけられなかった憧れの先輩が目の前に立っているのだ。しかもこんな至近距離で。私は岸さんの笑顔なんて見た事がない。いつでも黙々と仕事をこなし、誰かと話している姿だって貴重だった。そんな岸さんが、今私の目の前に「アホ王子」として立っている。
「物語の正式な王子様、もしくはヒーロー的ポジションの人間にはですね、内川さんが最も好ましいと思っている人の顔が投影されます」
「なんで!」
「修正に対するモチベーションアップのためだそうですよ。だから私には、あの王子様もよくある凡庸な外見にしか見えていません。今内川さんの目に映っている王子の姿は、内川さんの脳内で自動変換され内川さんだけが認識できる容姿なんですよ。決して内川さんのプライベートを覗き見たとかそういう訳ではないので安心してください」
「安心要素そこじゃない!」
この王子様がもし本当に、虐げられ毎日泣き暮らしていたマリーちゃんを継母と義姉の手から守ってくれるような優秀な王子様だったら。それが岸さんの見た目をしていたら、ちょっとだけときめいてしまうかもしれない。顔とお洋服のギャップが凄いのは……うん、まあいいか。白タイツにカボチャパンツじゃなくて本当によかった。時代的には白タイツ世代なのかもしれないけど、現代人として白タイツにときめくのは限定的な状況が必要だ。というか、私がそんな考えだからこの王子様は白タイツを回避できたんだと思う。
という事はだ。見た目に引きずられて、私の勝手な理想が追加されて、王子様がどんどんハイスペックになっていく可能性は十分にあった。この人と結婚できたら誰よりも幸せになれるという盲目的な確信を主人公に植え付けるのも私次第だった。
いや、本来なら王子様との結婚はハッピーエンドの条件なんだから、余計なリアルは気にせず王子様に猪突猛進してもらわなきゃいけないんだけど。
でも、だ。私はこの物語における正統な王子様に「アホ王子」という属性を付けてしまった。
「おはぎさん……岸さんはアホじゃありません」
「そうなんですね」
「なんで岸さんの配役がアホ王子なんですか」
「なんでと言われましても」
原因は私が王子様を考えなしの次期統治者と考えてしまったせいだろう。
だからといってこれはない。アホの岸さんは、解釈違いも甚だしい。どちらかといえば岸さんは、効率の悪さや考え無しに突っ走るタイプの人間を嫌悪してる節がある。
「弟よ、愛しの姫君とは会えたかい?」
「はい!」
「やはりあの靴の持ち主は、お前の姫君だったんだな」
第一王子と第十二王子の会話はこんなにも微笑ましいというのに。アホ王子の方が岸さんの顔をしているというだけで、こんなにも、こんなにも私にダメージが。
「おはぎさん」
「はい、なんでしょうか内川さん」
「今ならまだ間に合いますよね?」
「……なにがでしょうか」
マリーちゃんは王子様と出会えた。でも、まだ最後の仕上げが残っている。そう、最大のイベントがまだ残っている、マリーちゃんと王子様の、結婚式というイベントが!
「お義姉様たちの行く末がまだ定まってません! 物語はまだ終わってません! これから私はアホ王子から、アホの成分を取り除きます!」
じっと地面から私を見上げてくるおはぎさんの顔は、まったく表情が読めない。ダメか、却下されるか。お願いだからどうにか頷いて! 今までだっておはぎさんは散々無茶言ってきたじゃん。だったら私の方から無茶言ってもいいと思わない? ねえおはぎさん。
負けじと私もおはぎさんの目をじっと見つめる。
だって、どうしても許せないのだ。私のせいで、岸さんがアホ扱いされるなんて。
「いいでしょう。話だけは聞きます」
じりじりとした睨み合いの末、おはぎさんがすっと目を閉じた。
「ですが、それが採用できるかは別ですよ」
「ありがとうございます!」
おはぎさんが折れた! ものすっごいため息を吐かれたけど!
こうなったら後は私次第だ。ずっと下を見続けるのは首がつらいのでおはぎさんを抱え上げる。もふっとした手触りに、なんで最初から抱えてあげなかったんだろうという後悔が今さら襲ってきた。けど、両手で抱き上げた状態だとおはぎさんの羽毛に顔面が埋まるなんて経験はできなかっただろうからよしとしよう。
さて、ご都合主義装置を発動させるにはおはぎさんを納得させられる裏設定を作らねば。本来シンデレラを迎えにくるはずの王子様が、アホ王子になってしまったのは何故か。
「第一王子がアホ王子になったのは何故か。なんて、見境なく国中の女性を舞踏会に招待する行為が原因ですよね」
継母さんだって言ってた。派閥も考慮できず、身分が釣り合わないシンデレラの家にまで招待状を送る行為は正気の沙汰じゃないって。これこそが元凶なんだから、嫁漁りパーティーに正当性を持たせればアホの汚名は返上できるはず。頑張れ私。考えろ私。
「十二人目ならともかく、次期国王になる第一王子ともなれば結婚相手なんて自分で好きなようには決められませんよね。ほぼ親の意向ですよね?」
「まあそうでしょうね。国同士の繋がりや後ろ盾を強固なものにするには、政略結婚は一番手っ取り早い方法ですから」
国という大きな義務を背負う人間が、一時の感情だかうっかり一目惚れだかで国内情勢をかき乱さないでほしい。とは思うけど、別に王子様とその嫁にいがみ合ってほしい訳じゃない。結婚の理由が恋愛じゃなかったとしても、本人たち次第では仲睦まじい夫婦になれるのだ。
「私の希望としてはですねおはぎさん。王子様の結婚は政略的意味合いが強いものの、ちゃんとお相手を見定めて二人で支え合って、国民と一緒に幸せに暮らしてほしいんですよ。ちゃんと、顔と、札束以外の部分も見て」
「どうぞどうぞ、理想論はいくらでも語ってください」
うんうんと私の腕の中でおはぎさんが頷く。今すぐこの高さから地面に向かって解放してやろうか。
「あの嫁漁り舞踏会は現国王が許可したもの。これは確定ですよね。世継ぎとはいえ、たかが王子様の一存であれだけの規模の舞踏会を勝手に開けるとは思えませんし」
会場の準備、招待客の選別、当日の運営、王子様のお小遣いがどんなもんかは知らないけど、あれだけ大勢を集めて王家主催と謳った舞踏会に、国のお金を一切使ってないのも考えにくい。王城の広間を使っての開催なんだから、個人的なホームパーティーとは意味が違う。
それから、よく考えてみれば大きな見落としが一つあった。
マリーちゃんには招待状が届いていない。
これは原作でもそうだ。お城に呼ばれたのは義理の姉二人だけ。勝手に来てどうぞという乱入大歓迎な舞踏会じゃなくて、ちゃんとお招きされて二人は舞踏会に参加していた。
「王様か王子様かは分からないですけど、ちゃんとシンデレラの家の家族構成を把握してたはずなんですよ」
「家族構成とは」
「家に住んでるのが、跡取り娘と後妻とその連れ子二人って事です。シンデレラの家に招待状が届いたんだから、招待するに値する女性がそこに住んでるって情報はある訳ですよね。でもその家に生まれたシンデレラだけに招待状が届くのではなく、お義姉様たちにだけ招待状が届いた。という事は、王家に嫁いでも支障のない令嬢だけを選んで招待状を送ったんじゃないでしょうか」
シンデレラが生まれ育った家に招待状が送られてきたんだから、通常であればその家に住む未婚女性三人全員が招かれるはずだ。なのに、あえてシンデレラ以外の二人にだけ招待状は送られてきた。これに何の思惑もなかったとは言わせない。
「家族構成を知って、家の状況を知って、その上で招待する人間を選んだって事は、つまり無差別に国中の女性たちを招待した訳じゃないんですよ。ちゃんと条件が合って、それに該当するご令嬢だけが招待されている。その条件というのが“政治的に旨味のある女性”って可能性はありますよね?」
喋りながら少しずつ自分の考えをまとめていく。説得に熱が入りすぎてついおはぎさんを抱く腕に力が入っちゃったけど、くぇ、の一言しか出てこなかったからまだ否定はされていない。
「どうですかおはぎさん! これで王子様は、手あたり次第に女性を舞踏会に招き入れたアホじゃなくなりました! すでに厳選されたご令嬢が招待された舞踏会なんだから、そこで出会った女性に一目惚れをしてもなんら問題はない! むしろ、政略結婚のはずなのに王子様が直接本人と出会って結婚を望んだという美談まで付属する!」
「では内川さん、その条件とはなんでしょうか」
「え?」
私の拘束を緩めるように、おはぎさんがばさばさと腕の中で羽ばたく。羽の全体じゃなく羽の先っぽだけが当たるとそれなりに痛いという新たな学びを私は得た。
「条件の内容は……必要ですか?」
「必要でしょうね。シンデレラは王家に嫁げるような身分ではなかった。これはシンデレラストーリーの成り立ちとして絶対です。最初から王子へ目通りが叶うような女性であれば、ガラスの靴なんか履けなくても王子との結婚を反対する人はいなかったでしょう。ガラスの靴という鍵を持っていたから、シンデレラは王子に選ばれ結婚を祝福されました」
舞踏会に参加して、人々の視線を奪って、それで誰もがシンデレラは王子様の結婚相手にふさわしいと思った。なんていうのは、確かに夢物語すぎる。王子様がアホならそれで許されたかもしれないけど、私が今通そうとしている仮説では政治が絡んだ結婚なのだ。
「シンデレラの家はそれほど格が高くありません。その家の娘となった二人の義姉も条件は同じです。本来招かれる資格を持たない二人の義姉を招待する非常識人、という点がクリアできていませんよ」
おはぎさんの指摘に対して、返す言葉が見つからない。せっかくアホ疑惑が払拭できたと思ったのに。王子がアホじゃなかったら、家格の釣り合わないシンデレラの家に招待状なんか送らない。そんな根本的な部分が抜けてたなんて。
なんかもう立っていられなくなって、その場にしゃがみ込みおはぎさんの背中に顔を埋めた。ここからどうやって設定を繋げていけばいいのか分からない。行き当たりばったりすぎたのがいけなかったか。マリーちゃん婿取り説をおはぎさんに認めてもらって、調子に乗ってたのかもしれない。
「うがぁ……」
「なんて声を出すんですか内川さん」
おはぎさんの背中が上下して、音としては聞こえなかったけど多分ため息を吐いたんだろうなって事が分かる。
あれだけ勢いよく無茶を認めさせたのに、この程度かって呆れてるんだろうな。
「今まで見せて来た勢いはどうしたんですか内川さん。まだ設定は破綻していませんよ、辿り着いていないだけです。あともう一手あれば王子アホ説の撤回は可能ですよ」
ガスガスと容赦のないくちばしが私の頭に刺さった。
「まだ、辿り着いてないだけ?」
「ええ」
くちばしに顔面を突かれないように、ゆっくりと顔を上げる。声音はずっと変わってなかったけど、ふわりと暖かそうな空気がおはぎさんから流れてきた。こんな優しいエフェクトをここで出してくるのは反則だと思います。
「内川さんのために私から特別に助言を。義姉二人とマリーの違い。それが条件となったのでしょう」
「お義姉様たちと、マリーちゃんの違い」
お義姉様たちは嫁入り可能で、マリーちゃんは婿を取らなきゃいけない。違う、それは散々確認してきた事だ。それ以外で、決定的に違う部分。貴族的マナーがまだ少し未熟、というのは政略結婚としてなんのメリットにもならない。マリーちゃんの家はお父様の壊滅的商才不足で貧乏だから、今はまだ財力を目的とした政略結婚でもない。
「今は……まだ?」
「何か思いつけましたか?」
やっぱりおはぎさんは最高のサポートさんだ。
私は勢いよく立ちあがって、第十二王子と歓談している王子様の近くまで寄ってみる。どちらかといえば天真爛漫と呼べそうな第十二王子と比べて、第一王子は佇まいも落ち着きがあるし何よりも目に怜悧さを滲ませている。
こんな理知的な顔立ちの人を、アホとは呼ばせない。
「ジャヴォットお義姉様とコゼットお義姉様が持っていて、マリーちゃんにはないもの。一つありました」
それこそが、あれだけ許可できないと言っていたマリーちゃんと王子様との結婚を継母さんが認めた理由だ。
「継母さん、領地内の色んなところで問題が起きてるって言ってましたよね」
「言ってましたね」
「取り引き先も潰れたって」
「はい」
「流通経路が荒れるっていうのは、物理的に道が通れなくなったかそれとも治安が悪くなって荷物が無事に届けられなくなったか」
「どちらも考えられますね」
「これって結構深刻な事態ですよね? お父様の商才不足は想像以上だったとしても、そんな訳あり事故物件みたいな土地だって事くらいは嫁ぐ前に知らされてると思いません? 継母さんのご実家が、継母さんを使ってシンデレラの家の商売をいいように使おうとしてたならなおさら」
と、言う事はだ。
「継母さんが嫁いでから領地の問題は起き始めたんじゃないでしょうか。そしてそれが、シンデレラの家治めている領地だけの問題じゃないとしたら」
例えば、国の各所で似たような事が起きてるんだとしたら。
「その問題に対処している領主や子息はそこら中に居るでしょうけど、継母さんという領主のお手伝いができている貴族令嬢は相当貴重だと思うんです」
「では、王子が嫁に求めた条件とは」
「商才、というとちょっとあれですね。王子様が商売を手掛ける必要はないですから。問題事が発生した時でも冷静に判断ができる。現状だけでなくこの先の事も視野に入れて思考する事ができる。人と物の流れを知り、どのタイミングでどう干渉をすれば適切かを見極める事ができる。人との会話の中で相手が求めている物を正確に読み取り、さらに満足できる物を提供する能力がある。ついでに金勘定もできる。これって商売人って肩書じゃなく貴族のご令嬢という肩書でみたら、相当な才女だと思いませんか?」
求めていたのは、共に国を治めていける女性。お金でも、後ろ盾でもなく、嫁の実家でもなく。王子様自身が隣に並んで一緒に国を治めてほしいと願った女性。
「あ、そうか。頭の良さだけで選んだってなると、シンデレラの家みたいに家格が合わないご令嬢も多くなりますよね。そんな無茶な嫁選びを高位貴族たちに納得させるためにも、国中の女性を招いて舞踏会を開いたって方便を使ったというのはどうでしょうか。舞踏会で運命的な出会いをした。後で調べたら下位貴族だったけど、舞踏会での運命的な出会いについては参加者全員が証人だ。という筋書きで」
「身分違いの結婚を強行させるために開かれた舞踏会だった、という訳ですね」
「はい」
じっとおはぎさんの目が私を見る。私も、おはぎさんのつぶらな瞳を見つめ返す。何度目か分からないこのやり取りも、どっちが先に折れるかという戦いじみて来た。
「分かりました。今の内容でしたら採用可能です。お疲れさまでした内川さん」
にっこりと笑うおはぎさんに、今度は安心感で力が抜けて再びしゃがみ込んでしまう。その勢いに紛れて、おはぎさんの背中にもう一度顔を埋める。胸に比べるとやっぱり少し骨を感じるけど羽毛には違いない。もふんとした感触に思わず顔がにやけてくる。
「やっ……たぁ……」
やりました! 岸さんの名誉、無事守り切る事ができました!
「では何故、王子はここにいるんでしょうね内川さん」
「……へ?」
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