④飛鳥時代
西暦607年。
大和政権の皇が初めて女性になり、外交への制約力が弱くなったのをいいことに、筑紫勢力である河内国の天多利思彦大王が、倭王を名乗って、遣隋使を派遣した。
翌年、隋の煬帝が国使として裴世清を派遣したが、偽りの倭王は見破れなかった。
西暦628年。
厩戸豊聡耳皇太子が亡くなり、次の太子を決める前に豊御食炊屋姫皇が崩御した。
そのため大和朝廷では、筑紫勢力である多利思彦王の子供の田村王子を推す派と、奈良勢力である厩戸豊聡耳の子の山背大兄皇子を推す一派が、権力闘争を始めた。
奈良勢力の蘇我蝦夷大臣は一応全ての群臣に意見を聞いたが、山背大兄皇子一派が思い通りにならないのでやむを得ず、筑紫勢力ではあるが田村王子を擁立することに決めた。
西暦629年、田村王子は、息長足日広額帝として、天下を統治した。
筑紫勢力の息長足日広額帝は無難に、蘇我蝦夷大臣と折り合いをつけて過ごした。
西暦642年、息長足日広額妃、天豊財重日足姫帝が、天下を統治した。
大臣にそれまでどおり蘇我蝦夷を任命したが、実際に国政を操ったのは蝦夷の子の入鹿で、権力に対する執着は父よりも強かった。
蘇我入鹿は独断で、奈良勢力ながら蘇我氏の云う事を聞かない山背大兄を廃して、もっと蘇我氏に近い古人大兄を皇にしようと企んだ。
蘇我入鹿が、斑鳩に居た山背大兄を襲わせると、追い詰められた山背大兄皇子は、自決して亡くなった。
この仕打ちを見て、筑紫勢力である中大兄王子と中臣鎌足は、蘇我氏の専横に我慢出来ず、入鹿を切り殺した。蘇我蝦夷大臣も自殺し、蘇我氏はあえなく滅亡した。
西暦645年、天豊財重日足姫弟、天万豊日帝が、天下を統治した。
中大兄王子を太子とし、阿倍内麻呂を左大臣とした。
蘇我倉山田石川麻呂を右大臣とし、中臣鎌足を内臣とした。
中大兄太子は、古人大兄皇子が謀反を企てたので、古人大兄と子供達を殺させた。
天万豊日帝は、「改新の詔」を発し、改革を行った。
京師、畿内、国・郡・里の地方行政組織を定め、中央集権的政治体制を目指した。
戸籍・計帳を作り、班田収授法を行うことを定めた。
新しく統一的な、税制を定めた。
王族や豪族に、土地・人民の所有を禁止し、豪族に食封を支給することを定めた。
しかし、諸豪族の私有民・私有地の領有は、かなり後まで認めざるを得なかった。
諸豪族に対し品部の廃止が命じられ、今迄の職を捨て新設の冠位と官職を授けた。
13階の新しい冠位制が制定され、臣下は全て官僚制に組み込まれる事になった。
豪族は官僚制への道を進むことでしか、支配階級として生き残れなくなった。
難波に、新しく難波長柄豊碕宮を作り、遷都した。
天万豊日帝が亡くなると、姉の天豊財重日足姫帝が再度、天下を統治した。
西暦663年、中大兄太子は百済に大軍を派遣したが、唐・新羅連合軍に大敗した。
国政改革を一部断念し、土地・人民の領有を認めて、豪族との融和に努めた。
中大兄太子は、近江の大津宮に遷都し、天命開別帝として即位した。
最初の全国的な戸籍を作成し、すべての豪族・公民・部曲・奴婢の姓を定めた。
天命開別帝が亡くなると、帝の息子の大友王子と帝の弟の大海人王子が、争った。
唐・新羅との戦いで近江朝廷に不満を持っていた豪族は、大友に協力しなかった。
西暦673年、大海人王子は、飛鳥浄御原宮で即位し、天渟中原瀛帝と呼ばれた。
帝は大臣を置かず、王族を重用して、律令体制国家の早急な建設を目指した。
氏族の私有民を廃止し、官人個人に食封を支給する、律令官人化政策を推進した。
新たな冠位制を施行し、王族を諸臣の上位に置き、全支配層を国家の官僚にした。
八色の姓を定め、新たな勢力や功績に対応して、姓を再編成した。
中臣鎌足は、大化の改新の中心人物で、臨終に際し、藤原姓を賜った。
藤原氏はこの先、新たな外戚となり、政権に大きな影響力を持つ事になる。
西暦690年、天渟中原瀛帝が亡くなり、后の高天原広野姫が、帝として統治した。
高天原広野姫は、飛鳥浄御原令を施行し、新たな戸籍を完成させた。
飛鳥の北方に、条坊を備えた我が国最初の本格的な都城、藤原京を完成させた。
日本書紀は、百済救済に出兵し唐・新羅連合に負けたのは倭国の筑紫政権であり、
日本国の大和政権は関係がないと、唐の朝廷に提出する資料として作成した物だが、日本根子天津御代豊国成姫天皇が実権を握ると、奈良勢力の正当性を強調する為に、更に大きく修正して発行した。
*参照 山川出版社「詳説日本史研究」
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