第八章 壹与擁立 ③倭国完成
西暦252年。
関東以北の蝦夷を除いて、列島の殆どを統治する事になり、大倭国を倭国とした。倭国王の天帯彦は、クーデターを教訓として、考えを改めた。
「かつての、呉国王である姫太伯の、末裔の本家である卑弥氏を、分家である天氏が断絶させる事は出来ない。本家を大事にしなければ、一族の繁栄はない」
卑弥氏の養女である卑弥呼を殺したことも、悔いていた。
そのための方策を考え、一つずつ実行に移していった。
旧狗奴国の国力を減らすため、委奴国を六つに分割し、摂津国、山城国、河内国、和泉国、委奴国で周りを取り囲み、その真ん中を新たな小さい狗奴国とした。
近畿奴国と狗奴国間の摂津国と山城国と河内国に、両国を見張る倭国軍を配置し、二度と戦争を起こす事の無い様に配慮もした。
河内国に倭国軍を指揮する拠点を移す事にして、不弥国から天氏の本拠を移した。
不弥国には、倭国軍の基地と、大陸の朝廷や半島の帯方郡との外交の出先として、大宰府を置いた。
新たな狗奴国の国王に卑弥弓呼の三男大毗毗を立て、倭国連合に忠誠を誓わせた。
その上で、匈奴との融合を図らせた。最初の嫁は丹波の大県主の娘、竹野姫である。
次の嫁が、継母で卑弥弓呼の妻の伊迦賀色許売であり、その子が御真木入彦である。
天帯彦は、倭国王の地位を、卑弥呼の宗女でもある天壹与に譲り、倭国の首都も、伊都国から委奴国に遷都させて、倭国連合の主要国の領主を、委奴国に常駐させた。
壹与が倭国王に就くと、倭国の全ての連合国から不満や反対する声は無くなった。
天帯彦自身は、政治の一線から身を引き、院政を敷いた。
張政は、檄を以て、壹与が倭国王であると、倭国連合の全ての国に知らしめた。
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