第七章 全面戦争 ②大阪攻略

西暦247年。 


 張政軍の鉄騎兵は、大倭国軍本隊が東大阪の砦に到着するのを待って、その次の、大東の城を目指した。

 

 生駒山の手前で左に曲がり、山裾を進むと大東城に邪馬台国軍が待ち構えていた。          

 大倭国軍は張政に教えられ、今風に言えば消防の梯子車のような雲梯を立てかけ、城壁の上から連弩を立て続けに発射した。

 邪馬台国軍は驚きの余り、反撃することなく城を捨てて逃げ惑った。

 城を占拠する迄、一時も掛からなかった。


 大倭国軍は、大東城に僅かな兵を残して、山沿いを四条畷に向けて進軍した。

 四条畷の砦に着くと、邪馬台国軍は門の扉を閉ざし、固く守っていた。

 

 今度も、張政の指示で投石機を組み立て、砦の外から、ボーリングの球程の大きさの石を、次々と投げ込んだ。

 石は、材木でできた砦の壁を壊し、邪馬台国の兵の体を容赦なく圧し潰した。

 木の門を壊した後で、張政軍の鉄騎兵が、門の中へ雪崩れ込んだ。


 四條畷砦を突破し焼き払うと、六キロ先の交野の城へ向かった。

 張政軍が交野の城に着いたのは、まだまだ昼を過ぎたばかりの頃だった。

 交野の城には、かなりの数の邪馬台国軍の兵が、待ち構えていた。


 城の壁が今迄より高いので、十メートル以上の高さの移動式櫓の井蘭を組上げて、邪馬台国軍の矢を盾板で防ぎながら、井蘭の上から兵士を目掛けて連弩で射続けた。

井蘭は手押し式なので近づくに連れ、頭の上から矢を射る形になった。

 流石に邪馬台国軍も防ぎ様がなく、城壁を離れ、盾で矢を防ぎながら逃げ始めた。

 井蘭を城壁に横付けにすると、梯子を渡して大倭国軍が乗り移り、内側から城門を開けた。


 城門が開けば、張政軍の鉄騎兵が、雪崩を打って駆け込んで行った。

 邪馬台国軍は、鉄騎兵の敵ではなかった。

 弓で射ても、鉄の鎧は貫けなかった。

 銅剣で切り付けても、鉄の兜が切れることはなかった。


 張政は、交野城にも守りの兵を残し、次の京田辺の砦を目指した。



 

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