②大阪攻略
西暦248年、春。
張政軍は、大倭連合軍本隊が東大阪の砦に到着するのを待っていて、次の大東城を目指した。
大東城は壁が高く、張政軍だけでは戦略的に不利だ、と考えたからである。
生駒山の麓の手前で左に曲がり、山裾を暫く進んで行くと、大東城が見えた。
馬が駆けるスピードが速く、本隊よりも大分早く、鉄騎軍が先着してしまった。
大東城の高い壁の上には、大勢の邪馬台連合軍が矢を持ち、待ち構えていた。
案の定、張政軍の鉄騎兵に取っては、高い壁を前にして、為す術が無かった。
近付こうにも、高い壁の上から邪馬台軍の大量の矢が降り注ぎ、近づけなかった。
下から矢を打ち上げるのと、上から矢を射下すのとでは、まるで勢いが違った。
やむを得ず、大倭軍の本隊が大東城に到着するまで、待たざるを得なかった。
大倭軍の本隊が到着すると、兵士は張政に教えられて、工作を始めた。
ものすごく長くて、まるで梯子のような雲梯を組み立てて、壁に立てかけた。
降り注ぐ矢を掻い潜り、城壁を必死に登りながら、連弩を立て続けに発射した。
邪馬台軍は、大倭軍の数の多さに驚きの余り、僅かに反撃の手が疎かになった。
その隙を衝き、城壁をよじ登り連弩を撃つと、邪馬台軍は城を捨て逃げ惑った。
大倭軍が城を占拠する迄は、一時も掛からなかった。
大倭軍は、大東城に僅かな兵を残して、山沿いを四条畷の砦に向けて進軍した。
四条畷の砦に着くと、少ない邪馬台軍が、門の扉を固く閉ざし守っていた。
砦の周りには環濠が巡らされており、容易には近づくことが出来なかった。
今度も張政の指示で、投石機を組み立て、砦の外から石を投げ込んだ。
ボーリングの球程の大きさの石を、軽々と次々に投げ込んだ。
石は、木でできた砦の壁を壊し、邪馬台軍の体を容赦なく圧し潰した。
木で出来た門の扉を壊すと同時に、張政軍の鉄騎兵が門の中へ雪崩れ込んだ。
鉄騎兵が蹂躙すると、邪馬台軍は、大東城と同じように我先に逃げ惑った。
四條畷砦を突破して焼き払うと、そのまま進み、六キロ先の交野の城へ向かった。
張政軍が交野の城に着いたのは、まだ昼を過ぎたばかりの頃だった。
交野の城には、かなりの数の邪馬台軍の兵が、待ち構えていた。
城の壁が高いので、雲梯では壁の上まで届かなかった。
改めて、十メートル以上の高さの、移動式櫓の井蘭を組上げた。
邪馬台軍の矢を盾板で防ぎながら、井蘭の上から連弩で射続けた。
井蘭は手押し式なので、近づくに連れて、頭の上から矢を射る形になった。
流石に邪馬台軍も防ぎようがなく、城壁を離れ、盾で矢を防ぎながら逃げ始めた。
井蘭を城壁に横付けにすると、梯子を渡して、大倭軍が城壁の上に乗り移った。
乗り移った大倭軍は、城壁の階段を下りて、城壁の内側から城門を開けた。
城門が開けば後は、張政軍の鉄騎兵が雪崩を打って、駆け込むだけだった。
交野の城でも、邪馬台軍は、鉄騎兵の敵ではなかった。
どんなに強力な弓で射ても、鉄の鎧は貫けなかった。
銅剣で切り付けても、鉄の兜が切れることはなかった。
張政は、交野城にも僅かな大倭軍の守備兵を残し、次の京田辺の砦を目指した。
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