第5話

クリスと一旦別れて屋敷に戻った後お父様に私は怒られた。


内容を要約すると、いきなり今日は帰れないとは何事だ、人助けをするのはいい事だがもっと内容もしっかり書け!1文で終わらせるやつがあるか、お前は強いとはいえ女の子なんだぞ!、何かあったらどうする?という内容を1時間かけて説教された。


意味がわからない、ちゃんと手紙で


『女の子を助ける。今日は帰れない』


と書いて送ったではないか、鳥が嫌だったのか?しかし鳥の方が早く届けられる。


そんな事を考えていたら話を聞けとまた怒られてしまった。


あれから3ヶ月、ユリウスとクリスのパーティーは順調にパーティーランクと個人のランクを上げて今やCランクになっていた。


Cランク....魔物狩り...素晴らしい...

そう、ユリウスは戦闘狂である...


同じ種類のやつと戦うといかに自分が強くなったかがわかる。オマケに素材を売ればお金になる。さらにムカついたことがあって八つ当たりしても怒られない。


なんて最高のサンドバッグなんだ!!


先頭で魔物と戦っているユリウスの後ろからクリスのため息が聞こえる。


さらに小声で


「僕の恩人は戦闘狂だったのか....

僕が手網を握らなくては暴走しやしないだろうか...」


失礼な話だ。


私だって流石に人と魔物との区別は着く。


盗賊に人権は無いと父上...いや、お父様が言っていたので対人戦は盗賊を使えば習得できるが私が目指しているのは冒険者だ。


人を殺す仕事ではなく、魔物をサンドバッグに...いや、"倒す"仕事だ。



そんな事を考えているうちに今日の依頼は達成だ。


ユリウス達はギルドのカウンターに行って今日の依頼内容を確認していた


「はい、ゴブリンの耳25個確かに確認致しました。これでゴブリンの討伐依頼達成です」


「それにしてもその年でCランクだなんて凄いですね、将来が楽しみです!」


受け付けのギルド職員がそう言った。


楽しみなのは嬉しいのだが、できればゴブリン討伐はやりたくないな....ユリウスは心の中でそう思った。


ゴブリンの討伐は証拠としてゴブリンの耳を提出しなければならないのだが、これまたグロいのである。


証拠品の回収は全てクリスがやってくれたので特に触ることは無かったがどうやら私はゴブリンの耳が苦手らしい。


これは弱点だな...克服せねば

そう考えているうちにクリスが戻ってきた。


「依頼料の振り分けは僕とユリウスで3:7でどうかな?」


『ん?おかしくないか?』


「え、そうかな?じゃ、じゃあ2:8でどう?これ以上は僕の生活もあるから....」


『いや待て、そうじゃない。依頼料は半々では無いのか?、これではクリスの取り分が少なすぎでは無いか!』


そう言ったユリウスに対してクリスは


「でも、ほとんどユリウスが倒したし、ユリウスが多く貰うのは当たり前じゃない?」


いや、違う。私が想像しているパーティーというのは立場だけでなく貰った依頼料も平等に分けるパーティーだ。


そもそも自論だが後衛が前衛より活躍する事なんてめったにないのでは?と思っている。


後衛は主にサポートだ。

ゲームで言うメインアタッカーとサポーターだ。


サポーターはメインアタッカーとサブアタッカーが活躍しやすい様にサポートする役割であって、メインアタッカーと同じように敵をガンガン倒す役じゃない。


この世界では違うのか?サポーターがガンガン敵を倒していたらそいつはもうサポーターでは無い気がするのだが....


そんな事は今はどうでもいい。

まずはクリスとの依頼料を半々にせねば...



『私は2人で倒したと思っている。だから依頼料も半分ずつだ』


私の言葉を聞いてクリスは驚いたような顔をしてあーだこーだ言っていたが最後には


「ありがとう」


と笑って納得してくれた。


何だこの笑顔。

男に襲われるぞ…私が守ってやらねば...


ユリウスの中で何かが芽生えた瞬間だった。

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