吸血鬼って何ができるの?

「吸血鬼が、Y型の人間の突然変異で生まれたってことは分かったよ。でも、吸血鬼ってどんなやつなの?」

 朝のカフェオレを飲みながら唐突に。璃杏はこんな感じで急に核心に迫るような質問をしてくることがある。根底の賢さを見せられている気分だ。俺が吸血鬼について説明してすぐに飲み込めるのも、そのせいだろう。

「長命だな。人によるが大抵1000年は生きるだろう。寿命を迎えれば灰になる。骨が残らないだけだな、人間と違うのは。」

 一口すすり、続ける。湯気がふわっとほどける。

「後は吸血できるぐらいか。それに伴って契約ができたり場合によっては殺すこともできる。体液に麻酔や治癒作用があるのも吸血の為だ。それに、血が体外にでても、集めることぐらいならできる。」

「なるほど。イメージ通りっちゃそうだね。あと、髪の毛と目の色が黒なのは何で?」

 いい質問だ。

「始祖が日本人だったことを由来とする説が有力だな。普通に、遺伝。現在はあちらに血が混ざって、世界中どこでもY型の人間が生まれる可能性がある。それでも、黒髪は変わらないらしい。」

「世界が広すぎたから、有栖はずっと見つけられなかったの?」

 1000年。生きてきた時間と比較すれば寿命はあと僅か。

「それもあるが、もう一つ理由がある。いずれ分かるさ。」

 目を伏せ、にこやかに答える。璃杏がその理由を知るのは、何十年も先のこと。

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