学力
テスト2週間前。
「璃杏、レポートの復習プリント、印刷しておいたぞ。最近の者にしてはアナログだな。」
UVカットの細ふち四角の眼鏡を掛けた有栖はホチキスで留めたレポートを差し出す。璃杏が有栖が来る前に買っていた数少ない電化製品がコピー機だった。
「紙に書かないとしっくりこないの。」
テーブルの横には紙ごみ用の紙袋がセットされている。璃杏も今日は眼鏡姿だった。ラウンド型の黒いベーシックな度入り。
「この前満点があったから、今回も頑張りたいの。数学とか教えてくれる?」
上目づかいで見つめられる。璃杏はそこそこ勉強ができる。得意な教科は単位取得試験で満点を取ってくるが、苦手な教科は80点台に落ち着くようなそこそこ。
「勿論だ。」
無駄に長く生きている。学問に関しては不自由したことは無い。何なら英語も話せる。特に使い道のない才だったが、璃杏の為になるなら本望だ。
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