身長差と顔

 私は、背が低いと思ったことは無かった。背の順は後ろの方だったし、男の子と並んでもあまり変わらなかった。それが今。

「155センチ。」

「俺170。」

 学校の健康診断。男女別なのにも関わらず、先に終わった茨は待っていてくれた。

「身長あって何になるの?平均ぐらいだよきっと。」

「うわ、負け惜しみだ。」

 そんなに私に勝ちたいか。勝算しかなかったくせに。

 すっかり茨と仲良くなり、帰りにカフェに寄ったりゲーセンでバスを待つぐらいにはなった。話しやすいのはきっと気を遣ってくれているんだと思う。16歳と100歳がこんなに楽しく過ごせるなんて知らなかった。

「ちなみに白雪は190あるぞ。有栖は180ぐらいだけど。」

「ほんと?家狭くなかったかな…。」

「吸血鬼は、まあお前もだけど同じ血筋だってのは聞いただろ。背が高い遺伝なんだよ。あと顔ね。俺たちイケメン。」

 腹が立ったが、事実は事実と納得する璃杏。お前も結構可愛いよな、と言いかけた口を慌てて閉ざした茨だった。

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