和服
「璃杏は和服を着るのか。」
「うん。和服とロリータが好きだから。」
クローゼットを風通ししたときに気づいた。この時代にそういう子は珍しいのではないのだろうか。
璃杏の母親は大金を遺していったという。その遺産を父親に使われるのは嫌だと、いろいろ使っていると言っていた。娘がお洒落をするのに使っていると分かれば嬉しいんじゃないかと思う。
「俺のを譲ってやろう。仕立て直して着るといい。」
1000年日本で過ごしてきた。明治に洋服が流行りだしてからは殆ど着ていない。璃杏が来た方がものも喜ぶだろう。そう思った。しかし璃杏はそう思わなかったらしい。
「なんでよ。有栖もお揃いで着ようよ。」
有栖、撃沈。机に突っ伏したまま5分は動かなかったという。これを無意識でやられているので、敵わない。
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