バスタオルあるある

「有栖、バスタオルない。」

「持ってけよ。置いといただろ。」

 そういいつつ、まったく怒っていないくせに。

 有栖が来てから入浴剤を買う様になり、浴室滞在時間が圧倒的に伸びた。前はカラスの行水だったのに。髪もいいシャンプー使いなって買ってくれたし、ボディーソープもちょっとお高いのになってた。


 戸を開けば、予想はしていたが素っ裸の璃杏がいた。年頃の娘が何をとは思うが、決して目は逸らさない。これはチャンスだ。

「ほい。風邪ひくから早くしろよ。」

「ありがと。」

 そんな視線も全く気にしていない。放りなげられたバスタオルはふわふわ。炊事洗濯掃除全部俺がやる。璃杏がやるのはおかしい。惚れた女の世話ぐらい喜んでやるのが俺だ。


 私は家事全般全てこなせる。私以外やる人がいなかったから。面倒だからしないだけで料理できるし、洗濯機回せるし、掃除は好きまである。

 それでも有栖がやってくれるのは嬉しい。有栖は私をお姫様にしてくれる。バスタオルいい匂いする。

 くま柄のパジャマでリビングに戻ると、有栖は辛うじてお説教してきた。

「ほいほい身体を見せるのは良くないことだ。ちゃんとしろ。」

 さっき、嬉しそうだったのに。どうせ、また忘れる。

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