第5話、屋上での決闘
~1~
考える。思考の
意識は
何を
昨夜、僕はアサヒが
考える。深く、思考の海に心を沈めていく。
果たして、僕は花咲アサヒの心を
分からない。そもそも、僕が
だとしたら、僕は一体どうすれば
何かをしたい。僕は、アサヒに対して何かをしてやりたい。アサヒを心から救ってやりたいと思っているんだ。それはきっと、
それは、きっとアサヒにとって余計なお
けど、しかし。だったら僕はどうしてアサヒを
そもそも、どうして僕は
本当に、彼女の
いや、流石にそれ以上の考察は
それ以上の考察は
そう、僕は考察を
きっと、この
・・・ ・・・ ・・・
目を
ふと、視界の端に何かが
メモ用紙だった。扉の
そのメモ用紙自体は、
けど、どうしてこんな所に、それも扉の
……少し、嫌な
「……何だ、これ?」
「ん、どうしたイブキ。何か
「変な事って言うか。変な
「……変なもの?」
ギンガが
其処に落ちていたメモ用紙を
其処には、とても
屋上で
嫌な
その様子を見て、ギンガが怪訝な表情のまま
「お、おい……何かあったのか?そのメモ用紙に何が
「用事が出来た。今すぐ出かけてくる……」
それだけ
部屋を出て、扉をそっと
落ち着け、
どうして、アサヒが僕に
けど、これだけは
けど……
思い出す。思えば、昨夜のアサヒは
それに、あの時彼女が流した
焦るな。焦っては
そうは
どうして、
分からないけど、それでも僕は……
「くそっ‼」
思わず、
だから、僕は
そもそも、誰が鍵を壊したかなんて。それこそ
扉を開ける。屋上には、アサヒが
まるで、張り詰めた糸のようで。或いは、鋭いナイフのようで。
「
そう、アサヒは
~2~
「どうして……」
思わず、口をついて出てきた
どうして、と……
どうして、アサヒがこんな事をしているのか?どうして、僕達が
けど、それでもアサヒは僕を
それが、とても
そんな僕に、アサヒはあくまで
「どうして、ですって?何を
「……………………」
「だから、
その言葉には、
そうだ、もはや彼女は
でも、それでも僕は……
それでも、僕は彼女を。花咲アサヒの事を
それは、果たして
それだけは、きっと間違いようのない事実だったから。
だから、僕は強くアサヒを睨み付ける。嘘偽りのない本心を
「ごめん、それだけは絶対に
「……………………」
「僕は、正直君とは
「……そう、」
アサヒの
どうして、僕はそんな目で見ているのだろうか?僕は、もう彼女の
どうしても、彼女を
もう、分からなかった。分かる気がしなかった。
「やっぱり、私は
「アサヒ……っ」
「死んでしまえ」
そう言って、アサヒは僕に向かって
その時の
何時までも
~3~
しかし、僕が思考停止していられる時間など
アサヒの手に
そのあまりにも鋭すぎる斬撃の
流石に僕ですら、思わず冷や汗を禁じえなかった。
マズイ。これは
アサヒは
アサヒは
「っ、どうして……アサヒ……っ」
「どうしてですって?それはこっちのセリフよ!どうして、
「っ、それは……」
「そんな貴方の事が
「っ、アサヒ……」
今、アサヒは心の
どうして、アサヒはこんなにも。どうして、アサヒはこうまでも
決まっている。そんなもの、アサヒの
アサヒは愛すべき
そして、だからこそアサヒはこう思ったのだろう。これ以上、失う
その気持ちは、当然僕にも理解出来た。きっと、僕だって
そうでなければ、僕の心だってきっと
僕自身の心が、耐え切れないだろうから。
だからこそ、自らその
きっと、
それ
自ら、その道を歩もうとするアサヒを僕は放っておく事なんて、そんな事どうしても出来ないんだ。
どうしても、
「どうしたのよ、
「
「っ‼」
「僕には、そんな事は
「何、で……どうして‼どうして貴方は其処までして私に
「……っ‼」
その言葉に、僕は思わずヒートアップしそうになった。その手に固有武具を生成し掛けてしかし、何とかそんな自分を
頭を横に
アサヒが、更に
「っ、何で。どうしてよ‼どうして、其処まで貴方は私を
「ぐっ、アサヒ……」
もう、
もう、彼女の頭の
本当に、アサヒを殺さないといけないのだろうか?
分からない。何も、分からない。
本当に、僕はもうアサヒを
そんな
~4~
階段を
「イブキっ‼」
「アサヒちゃんっ‼」
「「っ⁉」」
屋上に、ギンガとユキの二人が
そう思ったけど、ギンガの事だ。きっと、今まで方々を
けど、流石に今この
「待っていろ、イブキ!もうすぐ、ばあちゃんが来る筈だから!」
「っ、待ってくれ。ギンガ!今は、僕達を
「「……っ⁉」」
僕の
それは、当然アサヒも心底驚いた様子だったけど。それでも何とか平静を装ったように僕へと
「へえ?もしかして、やっとやる気になってくれた?」
「いや、まだ僕はアサヒと
「っ、また貴方はそうやって。私を
「でも、」
「っ⁉」
でも、それでも……
それでも、僕は……
「僕は、アサヒが
「…………」
「だから、どうかその
「っ、ああああああああああああああああああああああああああっっ‼」
そうして、僕に向かってアサヒは
決して、固有武具は出さない。けど、それでも彼女の想いに対してもう
だから、もう僕は一切彼女の攻撃を
無論、それは決して
事実、アサヒの攻撃の大半は、僕の身体に少なくない傷を
変幻自在の槍捌き。それは、まさしく千変万化に
けど、それでも僕がアサヒの槍捌きをギリギリ捌けているのは
同じ訓練を受けていたなら、より
どうして、僕はアサヒの変幻自在とまで
それは分からないけど、それでも僕はアサヒの攻撃をギリギリで捌く事が出来ていたのは間違いないだろう。どうしてか、先ほどから僕の
まるで、自動的に頭の回転が
まるで、頭の回転が自動的に
でも、今はそんな事を考えている
より、アサヒの方に
そんな僕に、アサヒも
単純に体力が
今は、アサヒの想いに
アサヒの顔に、目に見えて
そんな僕に、それでもアサヒは
アサヒの想いを、真っ直ぐに受け止める事だけを
「アサヒちゃん……」
そんなアサヒを、ユキが何処か
きっと、それを
彼女の怒りは、悲しみは、
アサヒの事を一人になんて、絶対にさせてやらない。だからっ‼
瞬間、ついにアサヒは限界が来たのだろう。彼女の足ががくんと
「アサヒっ‼」
「っ⁉」
そうして、僕はアサヒの許に
だけど、僕は決してアサヒを殺したい訳じゃない。アサヒを倒したい訳でも断じてないんだ。
ただ、アサヒともっと
本当に、それだけだから……
僕は、アサヒをぎゅっと強く
・・・ ・・・ ・・・
「……………………?」
「アサヒ、気は
僕は、アサヒをそのままぎゅっと強く。けど出来る限り
しばらくして、ようやく自分の状況が理解出来たのだおる。アサヒが静かに慌てた様子が感覚的に分かった。けど、それでも僕は彼女を放しはしない。
アサヒももう、僕を振りほどく程の
そんな彼女を、ぎゅっと僕はより強く
「……どう、して?」
「どうして、か。どうしてだろうな?どうしてこんな事になったのかなんて、僕にも理解出来ないよ。そもそも、どうして此処まで僕がアサヒに
「それ、は……?」
「アサヒの事を、
「……………………」
そう、きっとアサヒの事を
ただ、無意識的に意識的にそれを
だから、きっと今まで意図的にそれを
でも、それでもアサヒを一人にしてくれない
だったら、そもそも僕なんて
僕自身が、どうしてかアサヒの傍に居たいと思ったんだ。それは、絶対に
けど、だからこそ。だからこそきっと、それこそが全てなんだろう。
そう、思っているから。だから、僕はきっとアサヒの
きっと、それこそが全てなんだろうと。
「きっと、僕はアサヒの事を
「……………………」
「僕も、アサヒと同じだ。神のせいで、全てを
「……?」
「それでも、きっと僕はギンガような
「……⁉」
「だから、だけど。それでも孤独の道を
花咲アサヒにとっての、心の
僕はアサヒの肩を
そして、真っ直ぐとアサヒに向き合いそう
真っ直ぐ、アサヒの想いに応えるから。アサヒの
アサヒの
そう、心から
そんな僕に対し、アサヒは目から大粒の
その声を、
「……何よ、それ。どうして、貴方が
「どうしてだろうな、分からないよ。けど、それでもきっと僕はアサヒの事を放っておく事なんてどうしても
「何よ、それは。分からない、貴方の言っている事は全く分からないよ……」
訳が分からない。
そう、静かに呟いて。アサヒは大粒の
まるで、以前僕があの
いや、今それを考えるのは
アサヒが
そうだ、アサヒは今までずっと、自分の
これ以上我慢する
アサヒのその姿に
そんなギンガに、ユキは更に
しばらく、アサヒは
僕自身、
そして、僕達は二人揃って教官とリーダーに事情を
というより、敢えて僕を
まあ、僕自身もアサヒを
もちろん、リーダーのジンには心底呆れられ、アリカ教官には二人揃って説教を受ける羽目になったのだけれど。まあ、其処は別に良いか。
僕は、アサヒの想いを受け止め傍で
思わず、僕は苦笑を
いや、正直血を流し過ぎて少ししんどいのは
~5~
そして、小一時間ほどアリカ教官の
いや、それ以上に僕自身決して
それに、まあこの程度は所詮仕方のない事だ。当然の
そうして、僕達は
だけど、どうやらまだ話は
「……えっと、何か
「いや、お前じゃなくて花咲アサヒに
「……いえ、もう少し
どうやら、アサヒにまだ話があるらしい。まあ、恐らく屋上に無断で
場合によっては、僕も一緒に
そう思っているのをアリカ教官はどうやら
「そうか、だが一つだけ
「っ、し、しかし教官!」
尚も
その口調は、何処までも
「
「し、しかしリーダー!僕も決して
「これ以上わがままを言うなら、此処から
「……っ、イエスサー!」
まだ、
そんな僕に対し、アサヒの方は既に
そして、アサヒに対する処罰がアリカ教官の口から
「花咲アサヒ!」
「はい‼」
「貴様はこの神殺し部隊におけるルールを二つも
「はい‼」
「よろしい!では、処罰を
「…………っ、はい?」
思わず、アサヒの口から
えっと、今アリカ教官は
きっと、僕とアサヒの思っている事は
いや、流石に
少なくとも、部隊を
そう
「何だ!何か
「い、いいえ!ありませんっ‼謹んで
「よろしい!では、これより一週間の宿舎謹慎を言い渡す‼決して宿舎内から出る事を許しはしないと思え、
「い、イエスマム‼」
そうして、アサヒは宿舎への
その視線の鋭さに、視線の
「叢雲イブキ‼」
「っ、はい‼」
「貴様は
「はい‼」
「しかし、貴様は
「…………っ」
これは、果たして正直に
アサヒの方を、ちらりと
けど、僕は。それでも……
そう、心配する心をどうやら教官に
「叢雲イブキ!相違はないな‼」
「っ、はい‼ありません‼」
内心で、アサヒに
その内容に、教官はうむと
あくまで、僕の
「なら良し!貴様もアサヒ同様、一週間の宿舎謹慎を言い渡す!
「っ、イエスマム‼」
「うむ、だが貴様には私から直々に
え?今、僕はアリカ教官から
どうして?そう思うも、答えが出ずに
それは、アサヒも分かっていないようで。アサヒも呆然としていた。
そうして、思わず呆然としてしまった僕に、ギンガは
どうやら、アリカ教官はかけがえのない
アリカ教官は何時になく
今回、アリカ教官がアサヒの
何だかんだ、
その話を聞き、僕は
~6~
その後、部隊内でアサヒと僕のルール
そうしないと、下手をすれば妙な
例えば、アサヒと僕が二人で
ただ、それでもギンガとユキが噂を
そのせいかどうかは知らないけど、隊内での僕の
いや、何でさ?
まあ、其処は別に良い。
せっかく、アサヒの
果たして、どうするべきなのか?
そう思っていると、ある日ギンガが
「おい、イブキ。ちょっとアサヒの
「えっと、今僕は謹慎中の筈だけど。流石に
「何、
な、何ていう
けど、それでも僕はアサヒの傍で
なら、この程度の
「……………………」
「ああ、もう!お前ももう少し自分に
「あ、おいっ‼」
ギンガは、無理矢理僕の
そうして、僕とギンガは部屋から出た。
部屋から
その光景に、それを
全く、何て強引な。そう、思わなくもない。けどまあ、確かに僕も少しくらいは素直になった方が良いのかもしれない。そう、思った。
そして、アサヒの部屋の前。僕はギンガに少し口をとがらせて
「全く、ギンガは本当に強引だな?」
「そうか、まあ
「全く、知らないぞ?アリカ教官に
「ははっ、そいつはおっかねえや。でも、
そして、ギンガはそのまま部屋の
その後、少しだけ中でさわがしい声が
何でも、そんなの
けど、その気持ちを僕は何とか
この部屋はアサヒとユキの部屋だ。
だけど、その言い争いもやがて
扉を
・・・ ・・・ ・・・
ユキは、どうしてかにこにこと満面の
何か、ありそうだと
いや、僕だけを中に
「イブキ君だけ
「いや、何で?流石に一つの部屋に男と女が。それも、絶賛厳罰中の男と女が一緒にって拙過ぎないか?」
「おやおや?イブキはもしかして、
「あら?あらあら?それは
「いや、しえねよ!それをしたら、僕が社会的に
というか、野獣って何だ!僕を
だけど、そんな僕をギンガとユキはにまにまと
「いやいや、それはともかくだ。さっさと中に
「そうよ、さっさと入ってよ」
「お、おいっ!
「せーのっ、ほいっ‼」
そう言って、僕は部屋の中に
そう思って、
というか、あうあうと
あれ?もしかして、僕は二人に
え?社会的に殺されるの?僕……
思わず、
そんな、恐怖に
「え、えっと。イブキ?」
「は、はいっ‼」
「……………………」
思わず、声が
肩まで伸ばした
そんなアサヒが
そして、まるで
思わず、僕の顔が
「えっと、あの。
「…………はぁっ、まあ、
「……………………」
そんな風に、アサヒに
大の男が可愛くもない事くらい、
「
「……
「…………え?」
呆然と、僕を
その視線に、アサヒは
「ま、まままさか
「お
「っ、あうぅ……」
いや、僕は一体何を言っているんだろうか?これじゃあ、まるで愛の
いや、まるでじゃなくて本当に愛の告白でもしているかのようなセリフだ。
けど、
果たして、僕は一体誰に対して言い
それすら分からない。言ってしまえば、
だけど、そんな僕に対してアサヒはくすくすと
そう、ふてくされたようにそっぽを向いた。全く
そして、僕は
「……ごめん、流石に緊張しすぎていた。まあ、別に
「え?手を
「いや、アサヒまで
「ふふっ、
「…………うん、まあ」
「大丈夫よ、そんな貴方だからこそ、私も
「……っ」
うん、何だろうか?このものすごくお
それは、アサヒもどうやら
「と、とにかく!何か話しましょう!どの
「そ、そうだな!一緒に何か、とりとめのない
一体、僕達は何の話をしているのだろうか?
そう、思っていて。やがて逆に
本当に、僕達は一体何をやっているのだろうか?
「ふ、ふふっ……あははははっ」
「は、はは……はははははははははっ」
僕とアサヒが、同時に
本当に、此処まで
心底から、楽しかった。それだけは、きっと
・・・ ・・・ ・・・
そうして、僕とアサヒは
恐らく、
それくらいに、心を
とても楽しい。
僕は、あの日の
だから、僕は……
僕は……
「イブキ、どうかしたの?そんなに
「……いや、何でもない。それより、少し
「うん、何?」
こてんと首を
以前までの、極限まで気を
僕はきっと、アサヒの事が
アサヒの事が大好きだ。この世で誰よりも、深く強く愛している。
でも、それでも僕はまだアサヒにこの想いを
だから、
「今度、
「えっと、
「それはまだ、言えない。けど、アサヒに
「……うん。えっと、分かったよ」
そう言って、アサヒが
そう、僕はこっそり胸を
さて、それからだ……
僕は、入口の扉をじろりと
「そろそろ
「「っ⁉」」
扉の向こうから、息を
さっきから、ずっと僕達の
全く、誰と誰がラブラブだって?
そう思っていたら、
そんな僕達に、ギンガとユキの二人は同時に
それこそ、土下座とは到底思えないくらいに芸術的で見事な土下座だった。
けど、それでも僕達は
僕はギンガを、アサヒはユキを、それぞれ上から
まあ、それはどうでも
僕とアサヒは同時に
けど、僕とアサヒは決して二人を
其処は決して
もちろん、僕達の
無慈悲に判決を
「「ギルティっ‼」」
「「ぎゃふんっ‼」」
僕とアサヒの
さて、すっきりした。そう
その姿が、中々に
全く、やれやれだ。
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