第4話、サイドオブアサヒ
~1~
思い出すのは、あの日の
頭に鳴り響くのは、
暴徒だったそいつは父だったそれと
母も妹も息絶えていた。暴徒によって、真っ先に
其処は
母だったそれに
どうして、こんな事になったのか?私はどうして
父は、母は、妹はどうしてこんな場所に
そうでなければ、こんな光景などとても
そう思い、私はそのまま
……ああ、あの全てが
そう、最後に
・・・ ・・・ ・・・
其処で、私は目を
どうやら、私は少しばかり
「くっ…………どうして
「んっ……んんぅっ?どうしたの?アサヒちゃん」
ルームメイトの有栖ユキが、目元を
彼女は私のルームメイトであり、私に
何故か、入隊以来よく私に
「……何でもない。少し、一人にしてくれないかしら?というか、一人にして」
「え、
「……
「え?そんなの
「……………………」
流石にイラっと来た。
それがまた、腹が立った。
「ほら、寝汗に
「
そんな事を言いだすユキに、私は
そうだった。この子は大のコイバナ
あの時の、ユキの非常に
本当にもう……
何故、あの話を聞いて黄色い
「言っておくけど、私は
「でも、昨日の夜に
「されてないし満更でもない。嬉しくなんて
「もう、
「余計なお
本当に、どうしてこうなったのかしら?本当に、全く。
断じて私はアイツの事なんか
・・・ ・・・ ・・・
朝、7時10分。私とユキは
残念ながら、今の時間帯はかなり混雑しているらしい。
私は今、丁度お腹が
と、ユキが空いている席を見つけたらしく私の
「……叢雲、イブキ」
そう、叢雲イブキと獅子堂ギンガの二人が
けど、私としてはあまり気が
けど、それでも空いている席は他に無さそうだったし。そろそろ
そう思うけど、やっぱり空腹がそろそろ限界だった。
くっ、
獅子堂ギンガは私の顔を見てうげっと顔をしかめていた。どうも、あの日以来私と叢雲イブキが再び
けど、ユキの方はどうもイブキに対して興味津々らしい。早速話し掛けている。
「ねえ、イブキ君はアサヒちゃんの事をどう
「え?どう
「えー?でも、アサヒちゃんも
「ああ、うん。言ったな。その後、凄い顔で
「何だそれ?お前、そんな事を言っていたのか?」
どうやらギンガの方はそれを
そして、イブキの方は少し照れ臭そうに頬を
その声に、
「じゃあじゃあ、イブキ君はアサヒちゃんの
「いや、何処が好きって言われても
「あら?そうなの?」
「うん、でも正直彼女の事を
「
「……………………」
正直、今すぐに此処から
そうして、私は興奮気味にイブキと
正直、余計なお
~2~
全く、ユキと
もう、私は
「付いて
「えー?別に
「それとこれと、私とは全く
「良いじゃない良いじゃない!もっと
「私が一緒に居たくないのよ」
「ぶー‼」
そう思いながら、私はユキを
けど、ユキはそんな私にふっと
「何よ、まだ何かあるの?」
「もう、二度と
「……そういうセリフ、本気で
「あはは、私もそう
「何で、あいつの
「…………
はぁ、全く……
「私、そういう変な
「ぶーぶー‼」
全く、本当に……
どうしてこうも、私の
そう、本気で思う。決して強がりなどではない。本気で
・・・ ・・・ ・・・
そして、部屋で着替えを済ませて私達は
まあ、予定時間より三分程早かったのでまだ
「
「……えっと、予定時刻の
「
「っ、イ、イエスマム‼」
くそっ、結局訓練内容が
それに対し、ユキがあわあわと慌てながら教官に進言する。
「え、えっと……
「ほほう?そうか、じゃあ有栖ユキ!貴様は
「あ、あうぅ……」
悲しそうに
理不尽だったけど、それでも教官に
ぐぬぬっと歯を強く食い縛る私に、
その視線に、新人達はさっと視線を
叢雲イブキだ。
「えっと、教官!
「何だ、叢雲イブキ!」
「僕もランニングを二百週に追加してもらっても
その
本気で分からない。
それは、アリカ教官も
「む?どういう事だ?自ら
「いえ、他にも
一瞬、私の方をちらりと見て
わざわざ、他人の為に自分から
けど、それでも。イブキの発言に何を思ったのかアリカ教官はにやりととても面白そうに笑った。とても面白そうな、心底愉快そうな笑みだった。
「そう、か。なら
「ありがとうございますっ‼」
そうして、話は
悔しい。気に食わない。どうして、この男は。
そう、憤る気持ちも
まさか、本当に強くなりたいという
そう、思っていたら……
「ふふっ」
「何よ、ユキ。どうして笑っているのよ?」
「いえ、イブキ君はきっとアサヒちゃんの為に自分から
「何を言っているのよ、貴女は。そんな事、
「だって、イブキ君はアリカ教官に理由を
「……………………」
と、一瞬だけ反射的に
「それって、きっとアサヒちゃんの
「……馬鹿馬鹿しい、それは貴女の思い
「そうかな?だって、さっきからイブキ君は私達の後ろで
「っ、何ですって?」
少し、ペースを
……何だろうか、この
思えば、あの公園で
叢雲イブキ。彼が私に
けど、ペースを無理矢理速めたのがいけなかったのだろう。五十週もした所で私は走れなくなってきて、そのまま私は無様に地面に
其処に、アリカ教官の
「どうした!自分のペース
「くっ……い、イエスマムっ」
「
「イエス!マム‼」
そうして、私は無理矢理身体を
くそっ、ペース配分を見失うとは。自分自身が
そう、悔しさに
「教官!
「む、貴様。叢雲イブキ!一体どういうつもりだ、花咲アサヒを
「いえ、
「……………………」
イブキが走りながら、教官に
それも当然だろう。イブキは今、アリカ教官の
何を
まさか、本当にそんな理由であのアリカ教官を
もちろん、走りながらだけど。
やがて、アリカ教官はとても面白そうにふっと
「面白い。いや、本当に面白いぞ叢雲イブキ。久々に私に
「イエスマムっ‼」
「い、イエスマム……」
そうして、私は最終的に二百五十週は
それでも、アリカ教官から
そんな私を、ユキはずっと
何、この
そして、ランニングの後は
~3~
そして、次の訓練が
「さて、次の訓練へと
「うーいっ、紹介に
そう言って、現れたのは
そんなとてもやる気があるとは思えない言動に、アリカ教官はこめかみに
早速罵声が飛んだ。
「貴様、部隊の研究部署所長を
「いやいや、そんなに
「そんなもの、言い訳になるかっ!自分の体調管理くらいしっかりとしろ‼」
「はいはい、余計なお
「
アリカ教官の
今にも噛み付きそうな
……それはともかく、正直な話さっさと先に
「あー、
「む、それもそうだな。仕方がない、クロハの説教は一先ず
「おー、ジン君ありがとうね~。助かったよ~、
その一切悪びれもしない
まあ、正直その気持ちは理解出来るけどね……
「はぁ、そう言うならもっと自分の体調管理くらいしっかりして
「あー、はいはい。分かりましたよ~」
そう言って、クロハは私達の
へ~?ふ~ん?っと、そんな風に私達をまるで
正直、少しだけ
けど、それでも私はぐっとそれを
くっ……
「中々、面白そうな人材が
「専門用語、ですか?」
その言葉に、イブキが
対するクロハは、にんまりと嫌な
「そうだよ~、えっと?叢雲イブキ君だったっけ?確か、今期の
そう言って、クロハは精神エネルギーについて説明を始めるのだった。
精神エネルギーとは、云わば
それ故に、非常にムラがあり個々人によってその上限下限が
先ず、一つは
それにより、人類は高度な
そして、何よりも
何が
そしてそして、それにより
更に、もう一つの特殊性。それは、精神のエネルギーは
先ほど
量子力学によれば、この世の全ては
つまり、その精神エネルギーの操作を
人間には、そもそも様々な物事を
つまり、もしもこのような行動を
機械仕掛けの神威とは、その精神エネルギーを
その精神エネルギー操作の
「あ~、つまりだね。その精神エネルギーの操作を
「えっと、つまりその精神エネルギー操作の
「そうだよ~。けど、その前に君達には精神エネルギーの
「精神エネルギーの、数値?」
イブキが疑問の声を
まあ、けどその数値というものは言う程難しい
「そう、潜在精神力値と精神変換数値ね~。まあ、
そう、潜在精神力値と精神変換数値。それは
要するに、潜在精神力値が潜在エネルギー総量を。エネルギー出力が精神変換数値を差している。
恐らく、その数値を今から測ろうと、そういう事だと思う。
さて、少し
まあ、その
・・・ ・・・ ・・・
そして、それは
というより、
まあ、それも
言ってみれば、それぞれの内に秘めたエネルギー量に
それは荒れるのも
まあ、それはともかくとして……
精神エネルギーの数値測定。それは特殊な
その数値は、低い者も居ればかなり高い数値を
ちなみに、私の潜在精神力値は約五十万程度。精神変換数値は八千と至って平均的数値だった。むしろ、私よりもユキの方が数値が高い方だろう。
ユキの潜在精神力値は六十五万三千。精神変換数値は一万二千八百だった。
しかし、別にその
まあ、とりあえず私の測定はさっさと
どうやら、獅子堂ギンガの潜在精神力値は七百万に上り、精神変換数値は一万五千にも上るようだ。中々に高数値だった。
しかし、次の瞬間に高い
思わず、私は目を大きく
これは、簡単に言えば世界全体で見て第三位にも
「…………っ‼」
思わず、
ただ、エネルギーが多いだけでは宝の持ち腐れでしかないのだから。
だけど、それでも……
私は思わず、歯を食い縛ってイブキを
「アサヒちゃん……」
ユキが、私のランニングウェアの
そう思い、私は何とか嫉妬する心を
全く、本当に私もまだまだ
・・・ ・・・ ・・・
そうして、全員の精神エネルギーの数値を
つまり、精神エネルギーの操作訓練だ。
「さ~て、
言いたい事は大体理解出来る。まあ、
要するに、身体の内を
其処からは簡単な話だ。
けど、それは言う程簡単な話ではない。
けど、もちろん私は
それ故に、私はすぐにその訓練を終える事が出来た。今はゆっくりと
のだけど、再び周囲で歓声が上がる。今度は一体何なのかと思い、そちらへと目を向けたら其処には更に
というのも、イブキが精神エネルギーの操作は
そう思っていると、イブキが私の方に
「ありがとう、アサヒのお陰で精神エネルギー操作のコツが
「……えっと、それはどういう事?」
「以前、アサヒが僕の
「ええ~っ……」
それは、明らかに
そもそも、自分の体内を流れるエネルギーを知覚するのと他人の体内を流れるエネルギーを知覚するのとでは色々と
そう思うけど、イブキの心底嬉しそうな顔を見たら、何だか
いや、それよりも
どう考えても、おかしいとしか思えない。
イブキは、
「ねえ、少しだけ話を
「な、何だよ。カツアゲか?」
「
「え、ええ~っ……」
そう、ギンガは心底辟易したような表情で溜息を吐いた。
何よ、溜息を吐きたいのはむしろ私の方よ。そう思うけど、私はぐっと
こんな場所で無駄な
「あの男、叢雲イブキだけど……」
「ああ、えっと……もしかして、イブキに
「
「えっと、異常な才能って?」
「本来、精神エネルギーの操作はどう
「う~ん、秘密って言われてもなあ?えっと…………あっ」
どうやら、何か思い当たる
そう思い、詰め寄って
「何か、思い当たる事でも?良いから正直に
「え~?それ、普通人にものを聞く
「……何ですって?」
「あ、これはあんまり口外しないでくれって
「…………いえ、まあ良いわ。それで、頭が
「いや、頭が良くなったというよりも頭の
「……………………」
つまり、脳の処理能力が機械仕掛けの神威を移植した時から
或いは、
分からないけど、ともかくイブキの機械仕掛けの神威には私達に
そうでなければ、色々と説明が
けど、それでも。だとしたら。私は到底それを
そう、
~4~
もう、本当にあいつは
そう、荒れそうになる心を必死で
あの後も、イブキが新人達に精神エネルギー操作のコツを
そして、クロハに至ってはイブキに深い
イブキにコツを
いや、まあその事自体はどうでも良い。ただ、私はどうしても納得出来ない。私でもほぼ一年近く掛かった
あまりにも
それは、決して
結局、その後は
要するに、精神エネルギー操作の
今回、
・・・ ・・・ ・・・
そして、私とユキはそのまま宿舎の自室へと
その後、自室で私とユキは
ユキは、少しだけ
もう、一体どれくらいの時間ユキの話を
「
「……………………」
「それに、他の人達にコツを
「……………………」
「ああいうのを、いわゆる
「……えっと、ユキ?もう少しだけテンションを
「うん、なあに?アサヒちゃんってばもしかして
「良いから、もう
「……はい、ごめんなさい」
はぁっと、私は思わず
もう、
全く、
「本当に、自分が此処まで
「うーん、別にそういう訳でもないよ?私だって、あの
「えっと?確か、自分自身が自由意志を
「そうそう、夫婦仲良く首を
「……そんな壮絶な
そう、私の心からの
そして、やがて答えが
「何をするのよ、
「
「訳が分からないわよ。放して」
「いーや、放さないよ。よしよし、アサヒちゃんは本当に
「何よ、本当に」
「アサヒちゃんは本当に良い子だよ。だって、人の
「……
「いーや、
…………っ。
本当に、どうして。どうして、こんなにも私の
一人になりたい。私は、もう二度とあんな思いをしたくない。
もう、何も
どうして、こうも……
涙が
分からない。理解出来ない。理解したくない。
・・・ ・・・ ・・・
どうやら、少し泣いていたらしい。涙を服の
……うん、やっぱり私もまだまだ
宿舎の入り口ドアを
こんな時間に、
「あれ?アサヒ?」
「何?げっ……」
宿舎を出てきたのは、何の
まあ、私だってこれ以上この二人に
「あ、
「何よ」
思わず、殺気の
けど、どうやらイブキの方は
その表情に、私の心の奥底で妙な
「何よ、また私に
「いや、別にアサヒが本心から
「……私が、本心からそう
私が本気の殺気を籠めて、
もし、本気でそう思っているのなら。私は決して叢雲イブキを
「いや、別に
「……それは、どういう事よ。私が
「
「……そんな事、」
「だって、君は
「……………………」
真っ直ぐと私を
一体何を言っているのだろうか?私が、本心では誰かに
そうなのだとしたら、私は断じてこの男を
けど、イブキの
「あ、アサヒ!
そう、呼び止める声も
悔しい。本当に、自分自身が
そう思うけど、自分自身どうしようもなくて。自分自身が情けなくて。私は宿舎の裏で一人、声を上げて
……自分自身が、情けない。
そう、思った。
~5~
その後、一通り泣いた私は自室に
「ど、どど、どうしたのアサヒちゃん!まさか、私の言葉が
何故か、ユキは
けど、私はそんなユキに一切構う事なくベッドに
……そして、私はそのまま意識を
・・・ ・・・ ・・・
此処は、
けど、それでももう私は何処にも行く事は
だから、もう此処で
そう、思っていたら……
「
「…………っ」
その
目を
そう、思っていると。
「お姉ちゃんにはまだ、
「ごめんね、お姉ちゃん。今は
そんな私の
待って!お願い、待ってよ!私を置いていかないで!私を一人にしないで!
もう、
ユウっ‼
・・・ ・・・ ・・・
「……………………っ⁉」
気付けば、私はベッドで目を
ああ、そうだった。私は
くそっ、こんな夢を見るなんて。何て
枕元に置いてある
そして、そのまま衣服を
今日は、訓練は
そう思って、思って……
「…………………………」
ユキに対するメッセージでは、断じてない。そのメモ用紙を半分に
こんな事に、何の
私が
これで良い。これで、中に居る人が目を
これは一つの
けど、それでも私は
そのまま、私はその場を
そう、私がメモ用紙を差し込んだ部屋は叢雲イブキと獅子堂ギンガの部屋だ。
そして、私はそのまま
宿舎の二階、三階へと上がっていき。そのまま更に
けど、それでも私は罰則覚悟で
その理由は、
……それから十数分後。慌てて階段を
その人物は、私の
心配は、
まあ、それだけの
イブキは
私がイブキに残したメッセージ。それは、
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