第36話:見に来てくれる人目線で見やすいホームページ作りをするのが一番大事って話

 そして最後に三つ目だけど、それはもちろん……。


「という事で以前にも言っていた“倉瀬スズハちゃんの公式ホームページ”の件なんですけど……ついにようやく完成しました!」

「えっ、ほ、本当ですか!?」


 という事で最後の三つ目とはもちろん“倉瀬スズハちゃんの公式ホームページ”の作成の件だ。俺はこの一ヶ月半の間に本気を出してしっかりと見やすいホームページ作りを頑張ってきた。


 俺は今までにも一人でクルスドライブのホームページを作ったり、修や紘一などの個人用ホームページも作ってきたし、さらにはファンミーティングなどの各種イベント用のホームページなども作ってきた。


 なので今までのホームページ作りの経験や知識を全て活かして今回のスズハちゃんのホームページ作りを頑張っていっていた。


「はい、それで今日は桜井さんにそのサイトを確認してもらいたいんですけど大丈夫ですかね?」

「はい、もちろん大丈夫です! 是非とも見せて貰いたいです!」

「わかりました。それじゃあ早速準備しますね」


 という事で俺は自分のノートパソコンを使ってウェブ公開する前の状態にしているホームページを開いていった。そしてそのままホームページを開いたノートパソコンを桜井さんに渡していった。


「これでよしっと。はい、それじゃあノートパソコンの画面にホームページを表示させたので、桜井さんの方でも確認をお願いします!」

「はい、わかりました、それじゃあ早速拝見させてもらいますね! ……って、えっ!?」


 桜井さんはそう言って早速ノートパソコンの画面を見始めていってくれたんだけど、でも桜井さんはすぐさまビックリしたような声を上げてきた。


「ん? えっと、もしかして何か問題でもありました?」

「え……えっ? あ、い、いえっ! そういうわけじゃなくてですね……いや普通に凄すぎてビックリとしちゃったんですよ! な、何ですかこのホームページ!? 友瀬さんが自身の手で作られたんですよね? プロが作ったようにしか見えないですよ!!」


 桜井さんは興奮気味にそう言いながらもノートパソコンの画面を見入っていってくれた。


「あはは、流石にプロが作ったサイトには負けますよ」

「いやいやそんな事ないですよ! 本当に凄すぎですって! この淡いピンクな色調のデザインはすっごく可愛らしくて素敵ですし、それにプロフィールとか配信スケジュールとか動画一覧とかも全部わかりやすくまとめられているので、初めて見に来てくれた人にも視覚的にわかりやすいサイトになっていて本当に凄いですよこれ!」


 流石にプロまでは言い過ぎだと思うけど、でも桜井さんにここまで喜んでもらえたのなら本当に良かったよ。頑張って作った甲斐があったな。


「はは、そうですか。いやでもそう言って貰えて本当に良かったです。実はこのホームページのコンセプトとしては、スズハちゃんに興味を持ってホームページを見に来てくれた人に対して、これからもスズハちゃんの事をもっと好きになって貰えるようにしたいというコンセプトでデザインしたんです。だから初めて来た人にも視覚的にわかりやすいホームページにしようと心掛けて作成したので、桜井さんにそんな感想を言って貰えたのは本当に嬉しいです」


 実はこの一ヶ月半の間に俺はスズハちゃんのサポート役として色々な作業をしてきたんだけど、その中でも俺が特に力を入れて作業していたのはこのスズハちゃんの公式ホームページ作成だった。


 その理由は至極単純で、倉瀬スズハちゃんに興味を持ってウェブ検索までしてくれた人達に対して酷いホームページを見せる訳にはいかないと思っていたからだ。


 せっかく興味を持って検索してホームページまでも見に来てくれたというのに……それなのにホームページに書かれている情報が不明瞭でわかりにくかったり、そもそも酷すぎるデザインのホームページとかではガッカリとさせてしまったり呆れられてしまう事になる。そしてそのまま二度とスズハちゃんに興味を持ってくれないという可能性も出てきてしまう。


(ファンになり得そうな人達の事をガッカリさせてしまったり期待を裏切るような事だけは絶対にしてはならない……これは俺がクルスドライブに所属していた時に学んで来た事だ)


 だから俺はとにかくホームページに関しては見に来てくれる人達の目線で“見やすさ”と“わかりやすさ”を重点的に考えていった。やっぱり見に来てくれる人達の事を第一に考えたウェブデザインにしないと心を掴む事なんて絶対に出来ないからな。


(それについ先日にも超大手の小説投稿サイトがランキングページを大幅に改修するってアナウンスが来て、それが今もネット上で大きく盛り上がってるしな。うん、やっぱり見に来てくれる人達の事を第一に考えるのが大事なんだよな)


 これはつい最近の出来事なんだけど、超大手の小説投稿サイトである“小説家になりたいな”のランキングページが大幅に改修されるというアナウンスがつい先日に入ったのだ。


 ここ近年の“小説家になりたいな”はランキング上位がほぼ全て異世界恋愛になっていてそれ以外のジャンルは中々読まれないという環境になっていた。また中途半端な所までしか書かれていない短編小説詐欺が続出している問題なども出てきており、利用しているユーザーから多くの問題点を指摘されている状況だった。


 そしてそんな状況下でついに“小説家になりたいな”のランキングページが近日中に大幅改修されるというアナウンスが入ったので、このサイトを利用しているユーザー達はこの話題で大いに盛り上がっていっているのであった。


 ちなみに俺も“小説家になりたいな”は暇な時に利用していたので、今回のランキング改修はとても楽しみに思っている一人でもあった。近日中には“小説家になりたいな”に改修アプデが入るとの事で今からとても楽しみだ!


(今回の大幅改修を機に色々なジャンルの小説がどんどんと活性化してくれていったら嬉しいよなー!)


 まぁという訳で話を戻すんだけど、この事からもウェブサイトは見に来てくれる人達目線で“見やすさ”や“わかりやすさ”などを重点的に取り入れていく事がとても大切だと俺は思うんだ。


 だからこそ俺はスズハちゃんのホームページ作りに関しては最初の段階から全力で取り組もうと決めていたんだ。そしてデザインコンセプトも最初の段階で視覚的にわかりやすいデザイン性に重きを置いたホームページ作りを心掛けていったんだ。


 そしてこのデザインコンセプトは桜井さんには一切伝えていなかったんだけど、でも桜井さんがホームページを一目見て感じた事は“わかりやすくて見やすい!”という感想だったので、俺の思惑はバッチリと上手くいったようだ。


「なるほど、そうだったんですね! いやもう本当に見やすくてわかりやすいサイトだったんで思わず感動しちゃいましたよ……って、あれ……?」

「ん? どうかしましたか?」

「い、いや……ちょ、ちょっと待ってくださいね……? え、えっと……あれ? す、すいません友瀬さん……こ、このファンアートなんですけど……」


 すると桜井さんはそう言って指を差しながら俺にモニターを見せてきた。その指を差してきたファンアートとは……。


「ん? あぁ、これはイラストレーターの香月……さんに依頼して描いてもらったファンアートですね。それがどうかしましたか?」

「あ、な、なるほどー! これってイラストレーターの香月さんが描いてくださったイラストなんですね! ……って、えぇええええっっ!?」


 桜井さんが指を差してきたファンアートは香月に依頼して描いてもらったファンアートだった。なので俺はいつも通り普通な感じで香月の名前を出していったんだけど……そしたら桜井さんは急に滅茶苦茶ビックリとしたような大きな声を上げてきた。

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