超人気インフルエンサーの裏方をしてたけど、給料が高すぎると言われて無理矢理クビにされた件。でもやっぱりお前が必要だから戻ってこいと言われたけど、新人VTuberのサポートで忙しいんでもう無理です。
第12話:え、桜井さんってVTuberやってるの!?
第12話:え、桜井さんってVTuberやってるの!?
俺と桜井さんはただのお隣さん同士という間柄でしかないけれど、でも桜井さんと外で会ったりする時にはいつも優しく微笑みながら気さくに話かけてくれる明るい女の子だった。それなのに……。
(い、いやこんなにも悲しそうな桜井さん……初めて見たぞ……)
俺はこんなにも悲しそうにしている桜井さんの姿を見たのはこれが初めてだった。そしていつも優しく微笑みかけてくれていた桜井さんが今目の前でこんなにも悲しそうな表情をしているだなんて……何かよっぽどショックな事でも起きたとしか思えなかった。
(い、いったい何があったんだろう……?)
だから俺は失礼になるかもしれないとは思いつつも……その原因について桜井さんに尋ねてみる事にした。
「え、えっと、その、もしかして何かありましたか? 今日の桜井さんは何だかとても辛そうな表情をしてますけど……」
「え……? あ……あぁ、いえ……別に大した事じゃないんで大丈夫です……ちょっとネットで変な事に巻き込まれただけなので……」
「え……えぇっ!? い、いやそれ十分に大変な事じゃないですかっ!」
「え……?」
桜井さんは大した事じゃないんですと俯きながらにそう言ってきたんだけど……いや“ネットで変な事に巻き込まれた”なんて十分に大変な事じゃないか!
炎上とか晒上げとか個人情報の漏洩とか……ネット上で変な事に巻き込まれるというのは本当に恐ろしい事だというのは俺も重々理解している。そもそも今までにも何度もそんな対応をさせられてきたしさ……。
「あ、すいません、大きな声を出しちゃって……でも俺で良かったら相談に乗りますよ? ネット関係での困りごとだったら、もしかしたら俺でも何か力になれる事があるかもしれませんし」
「え……? 友瀬さんが力に……ですか?」
俺がそう言ってみると桜井さんは少し驚いた表情になりながら俺の方をチラっと見てきた。まぁそんな事を急に言われても信じれるわけないか。
「はい。あぁ、いや、実は俺……今はネット関係の仕事をやらせて貰っているんですよ。つい最近にも大手ウーチューバーの方とも一緒にお仕事をさせて貰っていたりもしましたし――」
「えっ!? そ、そうなんですかっ!?」
「え? あ、は、はい、そうなんですよ?」
俺は自分の仕事内容を桜井さんに軽く言ってみると、突然と桜井さんはかなり驚愕とした表情になりながらも大きな声を出してきた。そんな桜井さんの驚愕とした反応を見て俺も少しだけビックリとしてしまった。でも……。
(う、うーん? いやでもそんな驚かれるような事を言ったか……?)
今時ネット関連の仕事をしてる人なんて大勢いるだろうし、別に隣人がそういう仕事をしていたとしても何もビックリする事はないような気が……って、あ、そっか! ひょっとして桜井さんも……。
「すいません、ひょっとしてなんですけど……もしかして桜井さんもウーチューバーをされていたりする感じなんですかね?」
「え……えぇっ!? あ……う……そ、れは……その……」
俺がそう尋ねてみると、桜井さんは暗かった表情から一転して顔を赤らめながらとても恥ずかしそうな表情になっていきだした。その表情からしてどうやらそれは正解のようだった。
(あぁ、でもなるほどな。確かに桜井さんってめっちゃ可愛いし、声も綺麗だからウーチューバーをやってるって言われても納得だな)
桜井さんと最初に出会った頃はアイドルとかモデルさんとかをされているのかなって思ってたんだけど、でもどうやら実際にはウーチューバーをされている女の子のようだ。
(でもこれだけ恥ずかしそうにしているって事は……あぁ、もしかしたら顔出しNGのウーチューバーさんなのかもしれないな)
もしそうだとしたらこれ以上桜井さんの事を詮索するのは確実にNG行為になるので、俺はもうこれ以上の詮索はしない事にした。
「……あぁ、すいません、そういうプライベートな事を詮索するのは良くないですよね。今の俺の質問は聞かなかった事にしてください」
「え……あ、あぁ、いえ! ぜ、全然大丈夫です! 大丈夫なんですけど……そ、その……私……ウーチューバーでは無いんですよね……」
「え? あ、そうなんですか?」
「は、はい……その、えっと……じ、実は私……Vチューバーをしているんです……」
「あぁ、なるほど、Vチューバーをされて……って、えぇぇぇっ!?」
それはあまりにも衝撃的な一言だった。い、いやまさか桜井さんがVTuberをやっているだなんて……いやそれは意外すぎるって!
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