第7話:久々にオリジナルソング作りをしていく
その日のお昼頃。
「……ふぅ、ちょっと休憩しようかな」
俺はパソコンでデスクトップミュージックの作成をしていた。これは俺が中学生の頃からずっとやっていた趣味みたいなものだった。
俺が中学生くらいの頃に合成音声ソフトの“如月サク”を使ったオリジナルソング作りが爆発的に流行り出していた。今では如月サクの人気は世界中に広まっており、オリジナルソングだけでなくアニメや漫画、ゲームなどの多岐にわたるメディアミックス展開もされる程の大人気コンテンツになっていた。。
そして俺は中学の頃から如月サクのオリジナルソングがとても大好きで、次第に俺も如月サクを使ったオリジナルソングを作ってみたいと思っていくようになっていた。
なので俺は中学生の頃に両親に土下座してDTMが出来る程のスペックのPCを買ってもらい、その日から毎日のように音楽の勉強をしながら如月サクのオリジナルソングを作っていったものだ。そして大学生になったあとも俺は趣味でオリジナルソングを作ったりフリーBGMを作ったりしていった。
そんなある時に大学の集まりで秀と出会った。秀はかなりのイケメンだったんだけど、意外とゲームとかアニメが大好きな一面があった。しかも秀も如月サクが好きなようで、一緒にカラオケに行った時には二人で如月サクの曲を歌って盛り上がったりもしたもんだ。という事で秀と仲良くなるにはそんなに時間はかからなかった。
それから秀とは頻繁に一緒に遊ぶようになっていき、そしてしばらく経ってから秀に一緒にウーチューブでゲーム実況とかやってみないかと誘われたのがきっかけで“クルスエンジン”が始動したのだ。
まぁでも六年近く経ったらそのクルスエンジンをクビにさせられたわけなんだけどさ。はぁ、全く、アイツも色々と変わっちまったよな。
「んー、でも久々にサクのオリジナルソングを作るのは楽しいなぁ」
まぁせっかくクルスエンジンをクビになって暇になった事だし、たまには自分の時間を有意義に使おうと思って俺は久々に如月サクのオリジナルソングを作っていたというわけだ。
俺はウーチューブに如月サクのオリジナルソング(チャンネル名:雪丸P)を投稿するための個人チャンネルも持っているのだけど、でもここ数年はクルスエンジンの仕事が滅茶苦茶に忙しすぎて何も投稿が出来ていなかった。だから久々にP活動をしていくのもアリかもしれないな。
◇◇◇◇
という事で改めて、俺の名前は友瀬雪兎、24歳の男だ。
身長は173センチで体型はそれなりに筋肉質な感じの普通の男だ。元々はインドアな人間だったから結構線の細いヒョロヒョロっとした感じだったんだけど、でも毎日のように撮影機材の搬入やら運搬を一人でやってたおかげでそれなりに筋肉がついていた。嬉しいやら悲しいやら……
容姿に関しては外部の人とのやり取りが非常に多い立場だったので、なるべく清潔感のある容姿でいられるように常に心掛けていた。
なので奇抜な髪型とかにはせずにド定番の黒髪のショートヘアを維持しつつ、髭も永久脱毛をしておいた。相手に威圧感などを一切与えないように伊達メガネをかけて優しくて柔和な雰囲気をいつでも醸し出せるように頑張っていた。でもそんな頑張りを秀は“なんか詐欺師みたいな風貌だな”と鼻で笑ってきた事だけは一生忘れない。
趣味は如月サクを使ったオリジナルソング作りやフリーBGMを作ったりするのは昔から好きだ。あとは一応ピアノとアコギも多少は弾けるけど、これは本当に軽くしか出来ないから趣味って程でもないかな。
まぁでもここ数年はずっと忙しかったからそんな趣味に使う時間なんて一切無かった。それだけクルスエンジンが人気だったという事なんだけど。
「うーん、でも次の仕事は何をしようかなぁ……」
やっぱり今までやってた事を活用出来る仕事にしようかな。今の俺に出来る事といえば……動画撮影、企画作家、編集、機材搬入、楽曲作成、ウェブデザイン、SNSを駆使した広報活動に誹謗中傷の対応などなど……あれ、意外と何でも出来るな俺。
これだけ何でも出来るんなら俺自身がウーチューブに転職しても何とかなるんじゃないか? 一人で活動する分には五万再生くらいの動画をコンスタントに出し続ければ問題無く普通に暮らせるし。
「んー、でも俺は自分が主体となってやる気はないんだよなぁ……」
やっぱり俺自身はあまり表舞台には立ちたいとは思わないタイプだったので、実は裏方作業をしてるのは正直に言うと結構好きだった。
だからクルスエンジンの皆が顔出しウーチューバーに転身して大人気になっていったのを俺は羨ましがったりとかは全然思わなかったし、むしろ秀達がどんどんと人気になっていってくれて俺も嬉しくなっていったくらいだしな。
「……ま、貯金はまだまだあるし、しばらくの間は自分のために時間を使おうかな」
とりあえず次の就職については一旦考えるのは保留にして、しばらくの間は自分の時間を自由に過ごす事にした。
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