第2話:説得しようと試みたけど無理でした
でもこれだけ精力的にユーチューブ活動をしてきたおかげで、クルスドライブのチャンネル登録者数は300万人を突破しており、動画再生数も累計20億再生を突破していた。そしてもちろん収益に関しても莫大な利益を上げていた。
クルスドライブの主な収入源は動画広告と企業案件、さらに生配信による投げ銭とサロン会員費だ。これらの収入を合算すると毎年数億円はこのクルスドライブの懐に入ってきていた。
でもこの収益に関してはきっちりと俺達で四等分にするのではなく、俺だけは毎月50万円の固定給料になっている。理由は編集や裏方作業のような簡単な仕事しかしてないからだそうだ。
そして残りの利益に関しては演者の三人できっちりと三等分するという内訳になっている。だから俺以外のメンバーには毎年数千万円程が懐に入っているという計算になる。まぁ税金でガッツリと引かれる事になるだろうから実際の手取りまではわからんけど、でも相当なウーチューブドリームを獲得したグループだと言えるはずだ。
という事で現時点でのクルスドライブは日本のユーチューブ界隈の中でもかなり上位の地位を築く事が出来たのであった。それなのに……。
(こんだけ沢山の仕事を俺一人やらさせといて休みも全然ないってのに……俺の仕事が遅いからクビだと? ふざけすぎだろコイツら)
俺は内心ブチギレそうになってしまった。確かに毎月給料で50万は貰っているけど、これを時給換算にしたらガチで恐ろしい事になってるからな。こんなのもし普通の会社だったら速攻で労基に密告されて終わりだからな! まぁ俺達は個人でやってるウーチューバーだから労基とか関係ないんだけどさ……。
という事で俺は内心ブチギレそうにはなったけど、それでも冷静に対応をする事にした。
「いや確かに動画のストックは溜まってきてるけど、でもそれはしょうがないだろ。お前らが裏方の仕事を何一つとしてをやろうとしないんだからさ。撮影も編集も機材搬入も……あとはコラボとか企業案件とかの窓口だって全部俺がやってんだぞ? そんな状態なんだからたまにはお前らも動画編集くらいは自分でやってくれよ。昔は四人で仲良く動画編集してたじゃねぇか」
俺達がウーチューブを始めたばかりの頃、ゲーム実況とか歌ってみたとか雑談ライブ配信とかをしていた時は四人で集まってワイワイと動画編集をしていた。それなのに今では誰も動画編集をしようとしなくなってしまった。
「はぁ?? いや何言ってんだよ、お前が顔出ししたくないって言うから俺達は三人で動画撮影を頑張ってんだぞ? だから編集作業に関してはお前の仕事だろうがよ。それなのに何で俺達に編集作業をさせようとしてんだよ、お前マジで仕事舐めてんのか??」
「はは、そんな舐めた態度で毎月50万も貰ってるとか本当に終わってんなお前。もうやる気ないんだったらさっさとクルスドライブから抜けてくれよ」
俺が編集作業を手伝ってくれよと言ったら、秀達はふざけるなと怒りだしてきた。
「いやいや、編集作業が俺の仕事だっていうなら俺に他の裏方仕事を全部振らないでくれよ。ってかお前らが誰一人として裏方の仕事をやらないから全部俺がやるハメになって、そのせいで編集時間が減ってんだよ。それならお前らも裏方の仕事を少しくらいやってくれよ。お偉いさんとの会議に参加してくれるでも良いし、撮影機材の調達をしてくれるでも良いし、ロケ先の事前アポを取ってくれるとかでも何でもいいからさ……何かしらの裏方仕事もやってくれよ」
「いや馬鹿かお前。何で俺達が裏方の仕事をしなきゃいけないんだよ。そういうのは一番疲れてないヤツがやるべきだろ? なぁ、紘一?」
「あぁ、全くだな。俺達は毎回動画撮影でしんどい思いをしてるってのに……あぁ、すまんすまん、そういやお前は演者じゃなかったよな。だから演者のしんどさなんて裏方のお前にわかるわけないよな、あははっ」
「……」
いや俺も撮影現場には毎回いるし、機材搬入は俺がしてるし、というかカメラ撮影だって俺がやってるのに……いや、何でここまで馬鹿にされなきゃいけないんだよ……。
「……あぁ、わかったよ。それじゃあ一人で良いから編集スタッフを雇ってくれよ。そうしてくれれば俺は裏方の仕事に専念出来るからさ、これで裏方仕事も編集仕事も全部滞りなくスムーズに進行出来ると思うぞ」
「はぁ、それこそ馬鹿かよお前? 編集作業も裏方作業も全部お前の仕事だろ? それなのになんで追加で金を払ってお前の仕事をやらせるスタッフ雇わなきゃいけねぇんだよ。流石に人生舐めすぎだろ」
「あぁ、全くだな。お前さ、クルスドライブの収益に全然貢献してないクセに自分の担当である編集作業までも外部に発注するってか? いやそれは社会人として流石に終わってるわ。そしたらお前はもう何の仕事もしないで月50万を貰える事になるじゃん? マジで自分勝手すぎる提案だな。編集スタッフを雇いたいんなら自分が貰って50万をそっくりそのまま払えよ?」
「あぁ、それ良いな。新しい編集スタッフを雇ってもいいけど、その場合は編集スタッフの給料は友瀬に払ってる給料をそのまま渡すって事でいいか? それなら編集スタッフを雇ってやるよ、あはは!」
秀はそう言ってまた俺の事を嘲笑うようにして俺の事を馬鹿にしてきた。
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