エピソード2:入学式

 始まった。ついに来た。

 「ようやく俺の時代が来たぞー!待ってろ、モテモテ高校生活!!」

 今日は入学式。悪魔とあんな契約をしてしまった以上、失敗は許されない。こんなところで命を取られるなんてごめんだね。    

 僕は入学式であるこの日を非常に重要視している。

 この段階で全体的に学校にどんな子がいるのかを知っておきたい。僕にはそう悠長にしている時間はあまりない。

 そういえばあの悪魔はランクがなんちゃらとか言っていたよな。それはどこかに書いてあったりするのか?

 会場である体育館を端っこからざーっと見渡してみる。

 「流石に顔とかにランクが表示されてる訳ないか。」まぁ、ランクについては一端頭の隅にでも置いておこう。次悪魔に会った時にでも聞けばいいや。

 さて、学校生活において重要なこと。それは【キャラ設定】だ。これがまたスクールライフにおいて非常に重要になってくる。これでスクールカーストとかも決まったりするからなぁ。油断はできぬ。

 盛り上げ役とかいいなぁ。でもそんなコミュ力ないか。

 まぁドラマとかでモテるやつというのは総じて、1人で行動する1匹狼で、教室の隅で本とか読んでるミステリヤスなやつなんだよな。

 みんな遠くからそいつに目線を向けて、周りでこそこそかっこいいよね。とか言って盛り上がってる。

 ふっふっふ。これで行こう。題して、〈1匹狼、ミステリヤス大作戦〉だ。

 と、決意した。なんだかやばそうな気がする?そうだ。とってもやばいのだ。。

 そんなかんなで、入学式がまもなく始まる。

 さて、僕の席はっと、

 どうやら式は出席番号順で座るらしく、僕は1番後ろの列の左から3番目の席だった。

 まずここで僕のクールぶりを同じクラスメイトの隣の席のやつにお披露目してやろう。

 ふっふっふ。見よ!!!!!僕のクールな佇まいを!!!!

 右をちらっと見てみた。

 はい来たーー!キラキラ系のイケメン。僕はこの手の人間が大嫌いなんだよ。  

 僕みたいに努力しなくても、圧倒的な美貌で女の子にひゅーひゅー言わせるんだ。 

 つまんねー。はいはい無視無視。

 僕はそうしてこの隣の席の村田悟と距離をとることを村田をチラ見して1秒で決意したのだった。

 この時はまだ、この無性に気に食わないイケメンとタックを組んで、学校中のモテを独占していくとは思ってはいなかった。

 隣のイケメン。顔を見るからに、初対面にも関わらず圧倒的なコミュ力を活かして声をかけてくるタイプだと思ったんだけどなぁ。

 もう入学式始まって30分が経つ。まだ何も仕掛けてこないな。

 まぁ、どうせ話しかけられてもシカトするし、そっちの方がありがたいんだけど!

 「新入生代表挨拶!」

 そう生徒会長っぽい綺麗なお姉さんがはっきりとした口調で宣言した。

 「はい!」

 なんかものすごく近くで大きな声がした。

 僕の席の左側の女の子だった。

 確かこういう挨拶をやるのって、入試成績が1位の人とかがやるんだよなぁ。どんな子なんだろう。

 結構可愛い声してたなぁ。

 挨拶が終わってその子が自分の席に戻ってきた。

 一瞬目が合った。

 「わっ、可愛い。可愛すぎるだろ。」

 僕は心の中で大興奮をしていた。

 名前はさっきの挨拶で言っていた。たしか、はしもとあや、だったっけ。

 可愛い子のことは問答無用で要チェックだ!今後僕に告白してきてポイントになってくれる子かも知れないからな!

 入学式が終わったら話しかけてみようかなぁ。いやダメダメ、俺はクール系でいくんだ。あくまでも向こうから追われる対象でなければ

 そんなことを考えているうちに入学式が終わった。

 今から自分の教室にいくらしい。

 その道中で願ってもないあの娘から声をかけられたのだった。

「さっき、ちょっと目あったよね(照)」

新入生代表挨拶をした橋本彩だった。

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