第2話




 さて、父さんに呼ばれたので、鍛錬用の服に着替えて訓練場に来た。

 するとそこには、木刀を二本持った父さんが佇んでいた。


「来たよ。父さん」


「ああ、準備運動は済ませてあるな?早速模擬戦を始めるぞ?」


 おう、前から思っていたが我が父は少しばかり脳筋寄りのようである。事実俺が剣術の基礎ができたと分かるや否や、型の鍛錬もそこそこに模擬戦ばかりしているからな。

 あと他にやっている鍛錬といったら、俺が赤子の時から続けている霊力操作以外は柔軟と体力をつけるための走り込みぐらいだ。


 基礎の大切さはわかっているつもりだが、それはそうと毎日毎日木刀で体を打たれるのは勘弁願いたい。だからと言って逃げたりはしないがな。死にたくないし。


 そこまで考えると、父さんの差し出した木刀を受け取り、正眼に構えた。


「よし!いつでも良いよ」


「おう、まずはこのままやるが限界になったら霊力による身体強化を許可する。まあ、つまり、いつも通りというわけだ」


「はい」


 すると、会話はそこで終わり。父さんは上段の構えをとり、距離感が掴みづらい独特な歩法で俺の方に突っ込んできた。

 俺は正眼に構えた木刀を、右足を引いて脇構えに変更し、父さんが上段から振り下ろしてきた木刀の側面を叩くように木刀を思い切り振り抜いた。


「ぐぅぅっ......」


 父さんも手加減はしてくれているのだろうけど、やはり重い。なんとか全身の力を使い父さんの木刀を弾いたが、衝撃が骨まで響いた感じがして手が痺れてしまう。


「ふむ、このぐらいならば弾けるか。ならば手数を増やしていくぞ」


 父さんの言葉に、「勘弁してくれ」そう思ったが、言葉に出す暇もなく父さんが繰り出す木刀の攻撃に対処するので精一杯になってしまう。

 一応、剣術における基本的な型である・真向斬り · 袈裟斬り · 一文字斬り · 逆袈裟斬り · 左袈裟斬り · 左一文字斬り · 左逆袈裟斬り · 突き・の八種類しか使わないでいてくれるが、それでも身体能力でも技術でも負けている俺からすればかなりキツく、骨にまで響く衝撃などはここ最近上手く受け流すことで軽減したりなどはしているが、やはりまだ足りない。

 そんなことを思っていると、既に素の身体能力では限界が見えてきた。父さんからも許可は出ているので、早速霊力による身体強化を使い始めようと思う。


「いま、から、身体強化をッ使うぞッ」


「ああ、衝撃の受け流しは上手くなっている、ここからはお前がどの程度剣を扱うか見るためにもオレは攻撃を控えめにするから、遠慮なく打ち込んでこい」


「はいっ」


 父さんにそう言われた俺は、先ほど父さんが俺に使ってきた剣術の八つの基本の型を使い父さんに切り掛かった。まあ、速い話が変にやるより今の俺の技量では基本に忠実である方がいいというだけなんだが...


 これが鍛錬の終盤になると蹴りや、木刀に霊力を込めて斬撃を飛ばしたりするんだが、結局全ていなされ防がれ、まだまだ先は長い。





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「はぁはぁ......はぁ...」


 あの後結局肉体的に限界が来るまで父さんと模擬戦をした。霊力的には余裕どころか有り余っているんだけれど、身体強化は体力を素早く回復させるなんて効果はないし、自己治癒能力が上がっても限界があるので結構早くギブアップとなった。


「うん、順調に技量も体力も伸びているようだな蒼夜」


「はぁはぁ...そりゃあね、毎日限界まで鍛えているし、ある程度は霊力を際限なく使えば無理やり支えられるしね」


「うむ、そのまま鍛え続ければもっと先に進める。そうだ、霊術の方はどうだ?剣術ばかりで最近はあまり霊術について教えられていないだろう?」


 あー霊術ね。簡単と言えば簡単だし、難しいといえば難しいんだよね。

 具体的には下級、中級、上級、最上級みたいな段階があったとして。今の俺は中級までなら【炎よ】だけで火の霊術ならなんでも使える状態だけど上級より上はしっかり詠唱も必要な感じかな。


 俺はそこまで考えて、父さんに実際に見せることにした。


「そうだな、剣術に比べると少し遅いかもしれないけど、このぐらいはできるよ」


【炎の槍よ】


 俺がそう唱えると、紅蓮の炎で作られた槍が宙に現れた。


「これは...緋炎槍ひえんそうか。この術をもうこの練度までできるとは......」


「さすが父さん、正解。これより上はまだ少し厳しいかな獄炎槍ごくえんそうとかは無理だね。にしても、炎の槍系は外見似てるの多いよね」


「そういう問題ではないのだが...まあ、お前は霊力量やその操作能力は色々おかしいから今更何も言わんが...」


 父さんがなぜか渋い顔をしてしまった。

 解せぬ。


 正直、霊術はイメージがしっかりしてるなら簡単にできると思っていたけど、最初は詠唱と術式の二つが必要だし。その後も詠唱は省略したり無視したりできるけど、術式はしっかりしないといけないし、完全にイメージだけで瞬間発動するにはまだまだ鍛えないといけない。足りない事だらけだ。

 それに、鍛えればもっと強力でかっこいい術も使えたり開発できるようになるしな!

 俄然やる気が出てきた!

 






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 主人公の外見は、青みがかった黒髪に深い蒼色の目ですね。将来的に母親にのイケメンいなる予定です。




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