ミッション2
ミッション2
北天騎士とSDの間に緊迫した空気が流れ、
「ーー即時掃討」
リースの静かな掛け声に、他のSD等は各々が得意とする武器を構えた。暫しの膠着(こうちゃく)が訪れ、リースが地を蹴って走り出した――
リースの動きを見逃さない北天騎士の狙撃隊は瞬時にアサルトライフルを発砲させる。
――ドタタタッ……!!
自動連射による発砲音と共に数え切れない程の弾丸がリースを目掛けて降り注ぐ。しかし彼は素早く移動しつつ弾雨(だんう)を掻い潜り狙撃隊の懐に入り込んだ。
「ー…くッ、貴様……ッ!!」
狙撃隊の一人、狙撃兵Aがアサルトライフルを翻(ひるがえ)しグリップでリースを殴打しようとするその隙をついて、リースの光刃が横一閃に眩(まばゆ)く煌(きらめ)いた。
光り輝く刃が狙撃兵Aの胴体を綺麗に薙いだ――サイソード本来の特徴は、精神体エレルギーを刃として具現化させており、刃自体はプラズマ光やレーザー光に近い。
人体などは最(いと)も簡単に切り裂かれ、尚且つ切断面は光熱線により焼かれてしまう。そう言った事から『血みどろ』の戦場になる事はない。
次に狙撃兵BとCが、リースと同じく武器をアサルトライフルからサイソードに変更して切り掛かってくるのをリースは膝を折り屈んで躱(か)わす。と、同時に両手のサイソードを真ん中で交差させ左右に開いた――崩れ倒れる狙撃兵BとC。
「……ッ。兵長ッ、ここは一旦引きましょう!」
北天騎士第三部隊の兵長、アンドリアン・インディの隣に控えていたロニー・マーシャルが、リースの登場により状況が不利になると判断したのかインディに進言をする。
「ー…クソッ、仕方がない! ここは一旦……?!」
――ガアァァンッ!
踵を返し、交戦している北天騎士の面々を尻目に逃げようとするインディの言葉尻に重なる拳銃の発砲音。
リースが、逃亡するインディを横目に、右手のサイソードを懐に戻す代わりに基本装備である拳銃を手にしてインディの足元に一発放ったのだ。同時に、左手に握るサイソードの光刃で残っていた狙撃兵DとE二人も沈黙させる。
それと同じ頃、北天騎士の前方部隊と対峙していたホルスを含めたSD三名もまた鎮圧がすでに済んでいた。
リースは左手のサイソードをしまい、インディ目掛けて拳銃を一発、二発と放った――所謂、威嚇射撃である。
「ー…クッ、貴様一体何者だ?!」
逃げれまいと悟ったインディは恨みがましくリースを睨む。
「俺を、ただの民間人だと思ったのが間違いだったな」
リースはインディを一瞥しつつ言い、
「ーーさて。この闘いは誰の入れ知恵だ?」
銃口の向きをインディの眉間で固定する。
「……な、何の事だ?」
インディは内心冷や汗を掻きつつも、しらを切る。
「……」
「ぅぐッ! 痛(つ)ぅ……ッ!」
リースが黙してインディに足払いをかけて転ばした。途端に尻餅をつき痛みに顔を歪めるインディ。
そばに居たロニーはホルスによって後ろ手に拘束されて身動きが取れない状態だった。
地に尻をつけたインディの肩口を踵(かかと)で蹴り押すリース。拍子にインディの身体は仰向けの体勢となり、リースはそのまま容赦無くインディの胸を踏みつけ逃げないよう身体を固定させる。
「……説明しなければ、分からない貴公ではないと思うが?」
リースの表情は行動のそれに反して実に穏やかな笑みを見せており、インディは背筋に恐怖を纏った。
「……し、知らんッ。わ、私は何も知らん……! す、すべては……、全てはっ、上層部の命令だ……っ!」
迫り来る恐怖から逃れるようにインディは首を横に振った。
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