第8話氷見雪斗とマカロン

「くっ…マカロン様の前で恥をさらすとは…マジパティども、覚えてなさいっ!!!」

そう言いながら、ティラミスは「フッ」と音を立てて消えてしまった。サントノーレも、いつの間にかいなくなっている。

「あら…ホントに週刊「ZBAズバ!」の烏森かすもりだったのね…看護学校に通っていた頃、私をストーカーした罪…今、警察に訴えてもいいのよ?」

「へっ…それなら、SNSで拡散してやろー☆彡」

「でも、目を覚ました時がヤバイな…こういう時は…」

カオスイーツから元の姿に戻ったジャーナリストの烏森を見て、マカロンはいつもの調子に戻るが、赤い甲冑の勇者は最悪の状況を察知した。

「こういう時は…」


「勇者及び、精霊を含む勇者を知る者、マジパティ達全員、グラウンドからずらかれ!!!!!」


勇者の鶴の一声で、ミルフィーユ達は一斉にグラウンドから正門へと走り出す。走り出したと同時に…

「って、俺達のカバン~~~~~~~~~!!!」

変身前にブレイブスプーンを持ったまま教室を出たため、いちごんはカバンの事を思い出してしまったのだった。

「大丈夫だ。私が全員分アンニンの車の中へ乗せた。」

「あ…それならいいや。」

それでいいのか…いちごん!いちごん達は本校舎にある昇降口で変身を解き、急いで学校を出る。

「こういう事もあろうかと、いつものポルシェじゃなくてミニバンで出勤しといてよかったわ。元々ジュレの車だけど…」

そう言いながら、仁賀保にかほ先生の姿に戻った僧侶は一悟達を乗せたミニバンのエンジンをかけ、男の勇者はバイクにまたがる。




「なぁ…氷見雪斗ひみゆきと…」

「何だ?」

仁賀保先生が運転するミニバンの中、マカロンは僕にある事を話す。

「カオスソルベ…いや、ユキに伝えてほしい…「これからは光に生きろ」…って。敵がこんな事言うのも変だよな?でも…もうユキもお前も…一人じゃない。これ以上闇に染まるな…」

「言われなくとも、もう闇には染まらんさ…今回、お前には本当に感謝している。お前がユキを大切にしてきたからこそ、僕はユキを通して、自分の過ちに気づくことができた。」

「だから…お前も、ユキも…次に会う時は、敵同士だ!!!」

マカロンは安心した表情だった。やがて仁賀保先生の運転するミニバンが木苺ヶ丘の商店街入口にあるバス停に停まり、そこでマカロンは雪斗にボストンバッグを託し、ミニバンを降りた。そしていつものゴスロリ姿へと戻り、「フッ」と音を立てて廃デパートへと帰っていった。


「ユキ、これからよろしくな…」

「こちらこそ!」

マカロンが去っていく姿を見届けた後、僕は意識の中でユキと握手を交わした。

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