第7話カオスソルベからユキへ

締め付けから時間が経過し、カオスソルベも段々と黒いもやの中へ消えつつある…もう時間がない…


「カオスソルベを救うだと?闇の力を使い誤った傀儡に生きる価値はない!!!」


「違います!!!闇の力だって、人を救うために使えば、立派な正義の力です!!!あなたにとって価値はなくとも、他の方たちに対しては十分な価値があります!!!!!」

そう言いながら、みるくはカオスソルベの左手を握りしめる。


「なにをほざく!!!我はカオスソルベの父親であるぞ!!!!!子供をどうしようが、親の勝手だ!!!!!」


「何が父親だっ!!!!傀儡だの、価値なしだのほざいて、今、まさに娘を消そうとしている奴が、今更父親ぶるんじゃねぇっ!!!!!そんなの…ただの他人だ!!!!!」

カオスに対する怒りを叫ぶいちごんは、カオスソルベの右手を握りしめる。


「こやつは消えるべき存在だ!!!貴様らにとっては意味なき存在に等しい!!!!」


「カオスソルベは…ユキは…消えるべきでも、意味なき存在でもない!!!もう1人の氷見雪斗…もう1人の僕だっ!!!!!」

僕が初めてカオスソルベを「もう1人の氷見雪斗」として認めた瞬間だった。僕はいちごんの肩を飛び出し、カオスソルベの唇に己の唇をかさねた。それと同時にいちごんの右手がみるくの左手と重なり合った刹那、3人の身体からピンク、黄色、水色…と、3色の光が放たれ、僕とカオスソルベの影が一体化する。




ドーナツカオスイーツの空洞の中央部からピンク、黄色、水色の光が現れ、カオスイーツとティラミスはその衝撃で5メートルほど後退する。


「カッ…」


空洞から現れた光に呼応するかのように、ライスの持っている水色の宝石が付いたブレイブスプーンが光を放ち、3色の光が現れた空洞へと飛んでいく…

「どうやら元の持ち主も、再び「勇者の力を受け継ぎし者」として覚醒できたのね。」

「覚悟はしておりましたが…突然、戦線離脱を告げられるのは悲しいものですわね…」

視線は皆、3色の光へ集まる。3色の光は段々と大きくなり、ライスの目の前に舞い降りると、3人の少女が現れた。いちごんとみるく、そしてカオスソルベと同じ髪型をした藍色のロングヘアーに白いリボンの少女…

「か…カオスソルベでも…氷見雪斗でも…ない?」


「違う…僕はもうカオスソルベじゃない…もう1人の氷見雪斗…ユキ!!!!」


そう叫んだカオスソルベ改めユキの姿を見て、マカロンは少々寂しそうだ。

「ここからは俺達のターンだ!行くぜ!!!」

「「OK!!!!!」」

ユキ達は同時にブレイブスプーンを構えた。


「「「マジパティ・スイート・トランスフォーム!!!」」」


ピンク、黄色、水色の光が3人を包み、いちごんはピンク色のロングヘアー、みるくは金髪のロングヘアー、ユキは水色のロングヘアーにそれぞれ変化する。それと同時に3人は背中合わせとなり、いちごんの右手はみるくの左手が握り、みるくの右手はユキの左手、ユキの右手はいちごんの左手がそれぞれ握りしめる。髪をなびかせながら、トップス、スカート…と、上から順に光の粒子によって装着され、それぞれのコスチュームに合わせたかのように、太ももから足元にかけて光の粒子によって装着される。いちごんとユキにはチョーカー、みるくにはチョーカーとアームリングが装着される。手袋、イヤリングが装着されると、今度は全員身体をくるりと回し、向かい合う。いちごんの髪はポニーテールに結われ、もみ上げの毛先がくるんとカールし、みるくの髪は触角が現れ、ツーサイドアップにされた髪ともみ上げが縦ロールにカールし、下された髪は2つに分けられ、それぞれ毛先をオレンジ色のリボンで結われる。ユキの髪は右側でワンサイドテールになり、青いリボンでまとめられる。それぞれの腰にチェーンが現れると、そこにブレイブスプーンが付くと、3人の瞳の色が変わり、変身が完了する。


「ピンクのマジパティ・ミルフィーユ!!!」

「黄色のマジパティ・プディング!!!」

「ブルーのマジパティ・ソルベ!!!」

「スイート…」

「「レボリューション!!!」」


「「「マジパティ!!!!!」」」


最後はポーズが決まり、見事にハモった。

「禍々しい混沌のスイーツ、勇者の知性でその頭を冷やしてみせる!!!」

変身したのはユキとしての人格だが、カオスイーツに対するその目つきは、完全に僕そのものだ。

「えぇいっ!!!3人になろうが同じこと!行きなさい、カオスイーツ!!!マジパティどもをパパラッチするのです!」


「ドドドドドドドドドド…」


ティラミスの命令に従うかのように、カオスイーツが空洞からガトリング砲の要領でリングドーナツを飛ばし始めた。

「ミルフィーユリフレクション!!!」

いちごんはミルフィーユグレイブを回転させ、リングドーナツを弾き飛ばす。そしていちごんの背後からソルベが飛び上がり、カオスイーツに向かってソルベアローを投げつける。


「ソルベブーメラン!!!」


ソルベの言葉と同時に投げ出された長弓は、水色の光に包まれ、いちごんが防ぎきれなかったリングドーナツを次々と一刀両断し、再びソルベの手元に戻った。ソルベが再び地上に着地すると、今度はいちごんの背後からプディングがプディングワンドの球体を回転させながら飛び上がる。

「プディングメテオ!!!キャラメリゼ!!!」

プディングワンドの先端から飴色の球体が現れ、球体はカオスイーツの空洞の前で爆発四散し、カオスイーツの空洞が塞がれる。カオスイーツは思わず封じられた空洞を叩くが、その空洞であらゆるものを吸収する能力を失ってしまった。そして、バランスを崩し…

「わわっ…」


「ドオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!!」


ティラミスを下敷きにして倒れてしまった。

「今だ!マジパティ!!!3人の武器を重ね合わせるんだ!!!!!」

赤い甲冑の勇者の言葉に、3人はそれぞれの武器を重ね合わせる。


「「「3つの心を1つに合わせて…」」」


3人がそう叫んだ瞬間、3人の武器は光の粒子となり、それぞれのカラーに合わせた細身の剣・パティブレードに変わった。


「勇者の力を1つの剣に!!!ミルフィーユブレード!!!」

「勇者の愛を1つの剣に!!!プディングブレード!!!」

「勇者の知性を1つの剣に!!!ソルベブレード!!!」


3人はそれぞれのパティブレードを構え、ピンク、黄色、水色の光をまといつつ、カオスイーツに飛び掛かる。


「「「マジパティ・トリニティ・ピュニシオン!!!!!」」」


ティラミスに蹴り上げられ、やっと起き上がったカオスイーツだが、ピンクの光を纏ったミルフィーユにミルフィーユブレードで縦に斬られ、続いて黄色の光を纏ったプディングにプディングブレードで横に斬られる。そして、最後に水色の光を纏ったソルベによってソルベブレードで斬られた。

「「「アデュー♪」」」

3人が同時にウインクすると、カオスイーツは光の粒子となり、本来の姿を取り戻す。

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