第4話氷見雪斗と真実

肌に感じる空気…灯る光…なんだか心地いい…そして、僕の目の前で着替えるカオスソルベ…


「…!?」

黒と水色の下着姿のカオスソルベが、僕の目の前で制服のスカートをはいていた。少しふらつく感覚がするという事は、恐らくあまり寝ていないようだ。それにしても、アレでいちごんを誘惑するつもりか?いちごん、ああいうのに弱いって聞いた事…

「今…下着見て、「派手だ」って思ったでしょ?えっち…」

「べ、別に見たくて見てるワケじゃないっ!!!大体、中学生は白って…」

「知らないの?白いブラって、意外と白いシャツから透けるモノなんだよ?それとも何?「白以外はつけるな」って言いたいの?この大きさなのに…へーんーたーいー…自分が望んだ体系なのに、変なのー!!!」

流石の僕も、彼女のその言葉にぐうの音も出なかった。あの体系なら、いちごんの気を引けるって思った僕がおろかだった…


カオスソルベが住まいにしているのは、廃デパートらしく、広いフロアをパーテーションで区切ったスペースが、彼女とマカロンの部屋のようだ。どこから電気と水道を引っ張っているのかは謎だが、トイレも手洗場も普通に使える。カオスソルベはマカロンが買ってきたコンビニ弁当を食べ、身支度をする。

「それじゃ、いってきまーす♪」

そして、廃デパートの1階でマカロンと別れ、廃デパートから瞬く間に別の場所へワープした。


「よーし、ミルフィーユが来る前にお昼ごはん、買いに行けるー♪」

ワープ先は、いちごんとの待ち合わせ場所にしているコンビニの裏だった。彼女はマカロンに渡された500円玉でサンドイッチとペットボトル飲料を購入し、駐車場でいちごんが来るのを待った。駐車場には報道陣の車が何台も止まっているが、今のカオスソルベが学生にしか見えない限り、僕の事には気づかれないだろう。

「僕の家は和食って決まっているのに…」

「僕が食べたいの選んで、文句ある?」

大体…三食コンビニ弁当なんて、僕には考えられない。


「ちゃんと来たんだな?」

「ミルフィーユが誘ってくれたんだもん♪」

背後からいちごんの声がして、カオスソルベはいちごんの声がする方向に振り向いた。勇者からの罰として、いちごんは暫く女の子の姿にはなったが、いちごんの女の子の姿はりりしくてかっこいい。冷斗れいとが憧れるのも納得だ。そして、隣には…

媒体ばいたいが媒体である以上、実力テストはお前が「氷見雪斗ひみゆきと」名義で受けなければならない。それにしても、カオスの力でカオスイーツに牙を剥くなど、本当に悪い奴には見えないが…まぁ、その着崩した制服だけは個人的には認めんがな!!!」

「ムッシュ・エクレール」って…英語の下妻しもつまの事だったのか…道理で球技大会の日、ソルベに変身した僕に気づいたワケだ。

「おはよう、いっくん。」

そこへ、米沢よねざわみるくと高萩たかはぎあずきが合流した。

「おはよ。」

「おはようございますわ、叔父様に一悟。そして…ユキさん。」

「ユキ…さん?」

高萩あずきの突然の呼び名に、カオスソルベは首をかしげる。

「昨日話し合って決めたんだもんね?」

「えぇ…彼を媒体としているのなら、彼の呼び名に近い方がよろしいかと思いまして。ご迷惑でした?」

「別にいいよー♪だっていちいち「カオスソルベ」じゃ長いもんね?」

そう言いながら、カオスソルベはいちごん達と正門へ向かった。


いちごんは相変わらず、米沢みるくと手を繋いでいる。見ていて正直腹立つ…でも、カオスソルベは気にしていない。

「ユキさんって、一悟とみるくが手を繋いでも平気なんですわね?」

「だって、ミルフィーユが幸せな顔してるんだもん。ミルフィーユが幸せなら、僕は何も言わないよ?」

「その割り切れる気持ちがある分、媒体とは雲泥うんでいの差ではあるな。これで英語が人並みにできれば、私としては完璧だが…」

英語の成績が酷くて悪かったな…この教師…一言多いぞ!!!


でも…カオスソルベが感じた事を通して、僕は今まで自分がいちごんの気を引くことしか考えていなかった事に、改めて気づいた。あら


身長を盾に笑いものにしたり、僕より英語の成績がいいのに、落ち込むいちごんを小馬鹿にしたり…理由も知らずに無理矢理部活に入れようとしたり…僕にとってはそれでよくても、それはいちごんを怒らせるにしかすぎなかった…


だから…いちごん…許してほしいとは言わないから…今までの事…謝らせてほしい…

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