第3話氷見雪斗は謝りたい
カオスソルベの声しか聞こえなくなって、どれだけの時間が経過したのだろう…カオスソルベが戦った感覚は、確かに感じた。カオスソルベは
カオスソルベは誰かと話しているようだが、誰と話しているのかはわからない。カオスソルベと話している相手の声が…聞こえない…
「そうだよ…僕は
「違う!僕は傲慢で自己中なんかじゃないっ!!!」
暗闇の中、僕は叫んだ。だけど…
「やかましい…媒体は媒体らしく大人しくしてよ。ウザいんだよ…」
僕の言葉に向かって、カオスソルベはそれを一蹴した。
「氷見雪斗の失踪事件が全国に知らされたのは知ってる…でも、変に強がり続けてずっと1人ぼっちのままでいる奴なんて、もういなくなっていいと思う。レイトとミカンには悪いけど…」
カオスソルベの口から冷斗とみかんの名前が出てきた途端、僕は思わず暗闇の中から身を乗り出そうとした。
「だったら、早く僕の身体を返せ!!!」
「返さないって言ってるでしょ!!!!!」
カオスソルベは声を荒げ、僕の頼みを一蹴した。
「僕はお前と違って、ミルフィーユとケンカするつもりなんてない!!!ただ「トモダチになりたい」、「一緒に戦いたい」って言えば済む話を、ここまで引っ張った分際で…だから、お父様の力がカオスイーツを強める力であろうとも、僕はミルフィーユと一緒に戦うもん。媒体は引っ込んでなよ…」
そう言いながらカオスソルベは変身を解いた。悔しいが、彼女の言葉は紛れもない事実…何も言い返せない。
初めて変身した時…あの時…いちごんの手を突っぱねていなければ…
「カオスソルベ…明日、一緒に学校へ行こう!!!お前に…話したいことがある…」
突然、いちごんの声が聞こえてきて、辺りを見回す。だけど、いちごんの姿は見えない。
「このままだと俺も…お前も…前に進めない…」
「前に…進めない?」
「アイツのことで、思い出したことがあるんだ。頼む…俺を…
い…いちごんが…僕と話がしたい…って!?ぼ、僕…こ、今度こそちゃんと…言える…よな?
「いいよ?でも、媒体はまた突っぱねるかもしれないよ?それでもいい?」
もうそんなことしないっ!!!
いちごんとしゃーべーりーたーいー!!!!
「それでも構わねぇ…学校のある高台のふもとに、「フェアリーマート」ってコンビニがあるだろ?そこに7時50分集合、それでどうだ?ムッシュ・エクレール同伴にはなっちまうけど、みるくとあずきも協力してくれ!!!」
…え?ムッシュ・エクレール?…って、あの高飛車のことかーーーーーーーーーっ!!!なんでしれっといちごんと一緒に学校に行ってるんだよ?あの男はーーーーーーーーーーっ!!!
「あの英語教師の事でしょ?一度話してみたかったんだー♪7時50分に「フェアリーマート」…ね?りょーかいっ♪媒体の事は何とかするから、それじゃまったねー♪」
元気よくいちごんに挨拶するカオスソルベ…僕も…彼女みたいに…いちごんの前で笑っていられたら…
「今…羨ましいって思ったでしょ?」
突如、僕の目の前にカオスソルベが現れた。恐らく、僕の意識の中に入り込んできたのだろう。カオスソルベは勝ち誇ったような表情をしている。
「べ、別に羨ましくなんて…」
「失踪する前は、ファンクラブの子達に囲まれていたんだってねー?でも、失踪したと同時にファンクラブは解散同然…いいチャンスだねー?ミルフィーユと一緒に居ても、やかましい奴らが近寄ってこないよー?」
「な…何が言いたい!!!僕はもういちごんを突っぱねたりしないっ!!!いちごんに謝りたい…いちごんと…話が…したい…もう一度…いちごんの顔が…笑顔が…見たい…」
涙で言葉が詰まる…いちごんの声が聞こえるたび、どんどんといちごんに会いたい気持ちが募る…でも、僕がもう一度いちごんに会うには…カオスソルベの力を借りないと…
「ドサッ…」
急に体の自由がきいた途端、カオスソルベは突然僕の事を押し倒してきた。
「覚悟…できてるって事だよね?ミルフィーユに会いたいって願ってるって事は…僕を受け入れるって事だよ?つまり…僕を受け入れない限り、もうミルフィーユとは会えなくなる…ずっと…このまま…」
「覚悟は…できてる…」
「それなら…決まりだね?僕が見た景色…聞いた音…嬉しさも…いとしさも…痛みも…悲しみも…僕が感じたすべての感覚は、これでお前にやってくる…」
そう言いながら、カオスソルベは勢い任せで僕の下腹部に馬乗りになってしまった…
「うっ…ぐっ…」
全身が張り裂けるような痛み…もう2度と味わいたくなかった…でも…もう一度いちごんと笑って話せるくらいなら…僕はカオスソルベの痛みを全て受け入れてみせる…
「全部…入っちゃったね…?」
僕の上で身体を揺らしながら、彼女は僕に顔を近づける…
「大丈夫…ここはお前の意識の中…お前の身体には、お前と僕のこの契りが行われた形跡は残らない…」
そう言いながら、彼女は…カオスソルベは、己の唇を僕の唇に重ねた。
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