1 (11) 『アンビバレント独善』
一
それから私とお義父さんは穏やかに暮らした。
日の出と共に起きて、眠い目を擦りながら体操して、お祈りをして、朝ご飯を食べて、砂糖たっぷりのコーヒーを飲みながらお喋りをする。
その後、お義父さんはシテへお仕事に出るから、私は家の外まで見送る。見送ったら、寂しい気持ちになりながら家の掃除と洗濯をする。そしたら、いつの間にか昼になってる。
昼になったらお昼ご飯を食べて、ちょっと昼寝をする。目が覚めた後は、お義父さんが帰ってくるまでやることがないから、早く帰ってこないかなと礼拝堂をウロウロする。節操ないなと反省して、落ち着くために部屋で本を読んだり、外で遊んだりする。けど、それでもやっぱりソワソワして、礼拝堂に戻ってきてウロウロする。長い一人ぼっちの時間が過ぎるのを待つ。
日が暮れた頃、ウロウロし過ぎで疲れ切った頃にお義父さんが帰ってくる。物音が聞こえたら、私の方から玄関の扉を開ける。扉の先にいるお義父さんに飛びついて、期待の目を向けてワクワクする。察したお義父さんが微笑んで、頭をワシワシ撫でてくれる。嬉しくなる。
その後は、一緒に晩ご飯を作って、食べて、お風呂に入ったら、ベッドに潜って、眠たくなるまでお喋りする。気がついたら、私は眠りこけてるから、お義父さんがそっと灯を消してくれる。
そんな、理想の日々。
…だけど、休みの日だけは違った。
確かにお義父さんは、私への魔術の指導も、使用の強制も、『シャトー・ブリアン』としての使命の刷り込みも、何もかもを止めた。
私を道具から、子にしてくれた。
また、自分への戒めなのか、私への誓いなのか、お義父さんは、星型の石で作った首飾りをいつも首に下げていた。
お義父さんの野心は、これ以上無く小さくなった。
でも、消えたわけじゃなかった。
特に、歴史という一点において。
お義父さんは間違った世間への僅かな抵抗として、不定期に貰える仕事休みの日だけ、アメリーで熱心に布教活動をするようになった。
尤も、布教活動と言っても、説くのは神様についてじゃなくて、今の歴史が間違っていることについてだけど。
(流“布”している現行の歴史が間違っていると“教”える“活動”で、“布教活動”って感じかな?…無理があるか。でも、お義父さんが『これは政治的アジテートじゃない。神聖なる布教だ』って言い張ってたから、やっぱり布教で決まり)。
布教活動は、中央広場に人混みが出来る昼頃から始めて、閑散としてくる夕暮れ時まで続ける。
お義父さんが演説しまくって、私はそれを横目で見る。
お義父さんは最初、雄弁に説く。元気があるからだ。でも、中央広場を通る“常識的な”人たちは、お義父さんの話なんて余裕で無視したり、小馬鹿にして嘲笑う人ばかりだから、お義父さんは段々と声を荒げて「なぜ分からないんだ!」や「どうして話を聞いてくれないんだ!」と、布教そっちのけで叫ぶようになる。そして最後には、みんな呆れるか、飽きてしまって、留置場詰所の衛兵さんが遠目でこちらを見ている以外、誰も見向きしなくなる。そうなると、お義父さんは膝から崩れ落ちて、言葉にならない声を漏らす。
その後、私は元気がなくなって消沈したお義父さんを励ましたくて、何度も声をかける。「“僕”はずっと聞いてたよ」とか「“僕”はお義父さんが正しいって分かってるよ」とか、色々。
…全部、嘘なのに。
二
私ももう10歳。自由に外に出られるようになってから2年が過ぎる。
私はそろそろ、世の中には社会というものがあることが分かってきた。
…そう、私は歳と知見を重ねてしまったせいで、変なことを言うお義父さんのことを「なんだかきな臭い」と感じるどころか、「全くの陰謀論者で、本当に気が狂っている」と酷く冷たく見下すようになってしまった。
お義父さんの発言と社会の常識が完全に違うと知ってしまった決定打は、お義父さんに内緒で買った、神学校発行の歴史書をコソコソ読んだこと。
…それは別に、お義父さんへの疑いを確信に変えたくて読んだわけじゃない。私は単に、同年代のみんなと同じように神学校に行けなかったことが悔しくて、みんなが神学校で勉強していることを知るために読んだだけだ。
でも、動機がどうであれ私は知ってしまった。
王家…、つまり、『レクトル家こそがアメリーで魔族を退けて、シテに人々を集結させて、この国を建国した』という、ごく当たり前の常識を。
『フラン家がこの国を治めていた時期』なんて存在しない、『フランの姉妹』や『祝福』なんて単語も出ない、そんな与太話が入る余地もない、ありありとした正しさを。
神学校で誰もが学ぶ世の常識、お義父さんの発言とは全く異なる事実。
こんなもの、知らなきゃよかったって本当に思った。
…お義父さんが明らかにおかしいという確証を得てから、私は「神学校は間違ったことばかり教えるから」と、頑なに私を神学校に行かせないお義父さんのことが分からなくなった。
隠していた神学校発行の歴史書が見つかった時は酷かった。お義父さんは途端にカッとして、かつてないくらい私を怒った。
怒るどころか、お義父さんは「私の子なら、自分の手でこれを処分しろ」と、私に歴史書を魔術で燃やすことを強制させた。私は、そんな悲しいことをするのが嫌で、「ごめんなさい」と泣いて何度も謝った。でも、お義父さんは、平手打ちをしてでも、それだけは私にやらせた。
お義父さん、私に嫌いな食べ物があっても「無理なら食べなくてもいいぞ」と寄り添ってくれる本当に優しい人のはずなのに、歴史という一点だけは、あの日を越えてもムキなままで、絶対に譲らなかった。
「今日も布教活動、頑張ろうな」と、お義父さんに腕を引かれて中央広場に続く大通りを歩く朝、時間帯が時間帯なので、横並びで楽しそうに登校する制服姿の同い年の子らとよくすれ違った。
その度に、私は、私の腕を強引に引っ張るお義父さんを見上げた。そして私は、お義父さんは大好きなお義父さんなのに、なんでこの一点だけこんなにおかしいんだろうと思って、辛くなった。
私は殆どの場合で自由だったけど、信仰と信条だけはギチギチに束縛されていた。
三
私は布教活動中、いつも周りの目ばかりが気になった。常識とは違うことをくっちゃべるお義父さんが恥ずかしかったし、そんな人の隣にいるなんて嫌だった。
お義父さんにはもう、布教活動なんて止めてほしいと常に考えていた。
でも、私は決して本音を表に出さなかった。
だって、お義父さんは私のために夢を諦めてくれたのだから。
壮大な国家転覆から、ちんけな布教活動に落ち着いてくれたのだから。
私は、これ以上、お義父さんの枷になりたくなかった。何より、お義父さんに嫌われたくなかったし、可愛い子だと思われたかった。
だから、私はどんな不満も言葉にできなかった。逆に、どれだけ苦痛でもお義父さんの隣に立ち続けるしかなかった。
辛いのは休みの日だけ、休みの日だけだからと、腹に一物抱えて生活し続けることにした。
…11歳の頃、お義父さんは唐突に仕事を辞めた。
色々あって、自分から辞めてやったらしい。お義父さんはそのことについて清々しかった。「私はようやく責務の一つを全う出来た!」と喜んでいた。
…一方で、私の顔は真っ青になっていた。
暗雲が立ち込めていた。そして、その陰りは、私の覚悟を待つことなく、間もなく仕事を果たした。
お義父さんは、今までは休みの日しかしなかった布教活動を毎日するようになった。
だって毎日休みの日なんだから。
私は毎日アメリーに連れられるようになった。
やがて、たまの日だけ喧しいだけだからと、お義父さんを寛容に許していたバラルダ公が耐え切れなくなって、布教活動を取り締まるようになった。
衛兵たちが私たちを中央広場から追い払うようになった。
中央広場にいなくても、衛兵たちは、私たちをまるで犯罪予備軍かの如く睨み、排斥するようになった。
それに合わせて、私たちを厳しく迫害して良いんだと知った領民らが、私たちを故意に嗤い、差別するようになった。
元々、私たちは結構良い生活をしていた。お義父さんは『高位神官』だったから、お世辞抜きに稼ぎが良かった。
でも、お義父さんが仕事をせずに、衛兵たちの目をかいくぐってでも布教活動に明け暮れるもんだから、当然の帰結として、私たちの家から貯蓄は尽きて、生活はたちまち貧窮した。
その影響は如実に出た。お小遣いが貰えなくなって、欲しい本が買えなくなった。砂糖たっぷりのコーヒーがただの白湯に変わった。嗜好品にありつけなくなったどころか、日々の食事に困るようになり、一日一食、晩ごはんのみの生活になった。
ひもじい節約を強いられた。多少カビが生えた程度の食糧なら迷わず口にしなくてはいけなくなった。服は買い替えられないから、破れても穴が開いても、ボロ布を貼り合わせて、ダサダサのパッチまみれにしてでも使い切らなきゃいけなくなった。新聞や雑誌を読みに行くために、2,3日の断食を強いられた。
どうしてもお金が底をついた時は、最寄りの村で日銭を稼ぐようになった。私も当然、働きにかり出された。畑や倉庫で朝から晩まで肉体労働をして、わずかな小銭をもらった。手にマメがいっぱいできて、身体中が痛くなった。
それなのに、お義父さんは布教活動を続ける。
ある日の朝、お義父さんがネズミの死体をダイニングテーブルの上に置いて、頭をひねらせていた。
尋ねると、こう返された。
「シャトー、お前の魔術でコイツが持っている病気を祓えたりはしないか?」
私は思わず泣き崩れてしまった。
…ふと、スラムでの日々を思い出した。
いや、実際には、今までが恵まれ過ぎていただけなのかもしれない。
でも、全てはお義父さんが変なことを言うせいで。
それに、固執するせいで。
私は、凄まじく苦しむ羽目になった。
これなら、寂しい方がまだマシだとさえ思った。
四
…ところで、話が変わるけど、魔族の魔術には、物質創造の魔術があった。
それは、具体的なヴィジョンがなくても、抽象的なイメージさえあれば、無から爪楊枝だって、お城だって創れる凄まじい魔術だ。
これを使えば、お金でも金品でも無限に生産できて、誰だって大金持ちになれた。それどころか、人類が住まう大陸に限れば、物質創造を見せびらかせば、集客ができて、名声が集められた。だって、無から有を作り出す魔術なんて、少なくとも人間の魔術には存在しないから。物質創造はもはや、人間にとって、神の奇跡だった。もしかしたら、これならば名声を超えて、信仰だって集められたかもしれない。
«天位 変性魔術 万創光(バンソウコウ)»
…私はもちろん、この魔術が使えた。
11歳の冬頃、暇つぶしに、読み残していた魔導書をお義父さんと一緒に読み進めていった過程で何気なく覚えてしまった。
端的に言って、私は、現状を一変させる力を手に入れてしまった。
今に苦しめられる貧乏を脱却できるだけでなく、不況の限りを往く布教活動を一瞬にして薔薇色に変えてしまう、最高に冴えた最強の解決法が、私たち親子の前にぶら下げられた。
でも、私はこの魔術を自分で使うことはなかった。使いたくなんてなかった。
だって、私は色んな想いを経て、ようやくお義父さんの子になれたんだ。
お義父さんに、私の魔術の才ではなく、私自身を見てもらえるようになったんだ。
それなのに、再び私の有用性を見せびらかしてしまったら…。
…だから、私はこの魔術を覚えて以降、お義父さんに怯えていた。
だって、私の方から申し出なくても、お義父さんが私にこの魔術の使用を命じてくる可能性はあるから。
空振りする努力と貧困、このうんざりする現状に、お義父さんが耐え切れなくなったその瞬間こそ、私が『道具』に戻ってしまう瞬間だろう。
日々が過ぎるほどに、私はカウントダウンをされているような気持ちになった。
いつ、爆弾が暴発して、お義父さんが再びただの気狂いに堕ちてしまうのか、私はその日を人生最後の日かのように震えて待っていた。
…しかし、結論を言えば、それは全くの邪推だった。
お義父さんは、いつまで経っても私に物質創造を使わせなかった。
決して、一度たりとも、期待の素振りすら見せなかった。
私の方が待ち切れなくなって「使おうか?」と、性格悪く、試すように、悪魔の囁きのように申し出ても、お義父さんは何も言わずに微笑んで、私の頭を撫でるだけだった。
私は、こんなにも生活を惨めにしてくれたお義父さんのことを、どこか愚か者だと思っていたのかもしれない。
でも、本当の愚か者は私の方だった。
私が、お義父さんの愛を疑う一方で、
お義父さんは、何があろうとも、絶対にお義父さんのままだった。
布教活動がどれだけ無様に失敗しても、日々の生活がどれだけ切羽詰まったものに凋落しても、お義父さんは、ソワソワしている私を見かけたら、大きな手で私の頭をワシワシと撫でてくれて、そして、優しく微笑んでくれた。
お義父さんは不器用な人で、もうすぐ大人になる私に対しても、子どもにするような愛情表現ばかりしていた。
それでも、お義父さんは目一杯に私のことを自分の子だと見てくれて、心の底から大切にしてくれていた。
お義父さんの愛は、揺ぎなかった。
私はとことん、最低だった。
12歳の誕生日の夜、お義父さんがサプライズでケーキを一切れプレゼントしてくれた。
上にいちごがちょこんと乗った、かわいいケーキ。この日のために密かに貯めていたお金を使って、買ってきてくれたらしい。
それを見た私は、ボロボロに泣いてしまった。
あまりにも泣いてしまったため、ケーキに手を付ける余裕がなくなってしまった。結局、それは明日食べることになった。
お義父さんは、サプライズがそんなに嬉しかったのかと、もらい泣きしていた。
でも、それは違った。
私はサプライズが嬉しかった以上に、突きつけられた自分のあまりの愚かしさに心のダムが崩壊して、だから泣いたのだ。
私は、お義父さんに照らされるほどに、自分の憎たらしさを目の当たりにした。
頭が良くて、冷めていて、いつだって物事を穿って見ている。そんな阿呆な自分に、この上なく吐き気を催した。
こんな自分なんて、“理知”なんて疎ましくて、殺したくてしょうがなくなった。
消灯後、私は、自室の壁に何度も頭を打ち付けて、嚙み千切りそうになるほどに下唇を噛んで、自分の愚鈍さを悔やんだ。
…私はもう、恥ずかしいとか嫌とか言ってられなかった。陰謀論とか、カルトとか気にしていられなかった。
私は、こんな私に心底うんざりした。
真実が、常識がどうとか関係ない。変わなきゃダメだと思った。
お義父さんがずっと私を愛してくれるのなら、私は、大好きなお義父さんの愛に応えなきゃいけない。その義務がある。
そうでなきゃ、私がお義父さんに拾われた意味は無い。
お義父さんの全部を信じられない自分なんて、絶対に殺さなければいけない。
五
それ以降、私は積極的にお義父さんの布教活動を手伝うようになった。
布教活動の朝は、お義父さんの腕を引っ張られるのではなく、お義父さんの先頭に立ってズンズン歩いた。
布教活動中も、俯くんじゃなくて、一歩前に出て、自ら表に立って、今の歴史が間違っていることをお義父さんと同じくらいの熱量で叫んだ。
衛兵に追われたら、自ら囮になってお義父さんを逃がした。
周囲から後ろ指を差されても、笑顔を絶やさず気丈に振る舞った。
順調に育つ同い年の恵まれた子らは見ないふりをした。
家に帰ったら、お義父さんと互いにボロボロになった姿を見合って一緒に笑った。
貧乏も懸命に乗り越えた。欲しいものがあっても、口や態度に出さないようにした。無味な白湯でも「あったまるから好き」「寝る前に飲んだら、ぐっすり眠れるんだよ?」と、美味しそうに飲んでみせた。
ひもじい節約にも進んで協力した。土壌を調べて、小教会の隣でじゃがいも畑を始める提案をした。裁縫の腕を上達させて、簡素な服や雑貨なら、ボロ布から自力で作れるようになった。
村での日銭稼ぎに懸命に取り組むようになった。
それだけじゃない。根本的に、お義父さんが日銭稼ぎに布教活動を妨げられないよう、お義父さんには内緒で深夜に小教会を抜け出して、アメリーで仕事をして、給料をコソッとお義父さんの財布に入れるようになった。
…シスターの“フリ”をするようになったのは、そういう努力の一環。
12歳の夏頃、思春期、性意識と性差に理解が及んだ頃、私は女の子の姿でいた方が、布教活動でも仕事でも何かと『都合がいい』ことに気づいた。
だからこそ、私は本来の性別さえ捨てると決めた。
当然だけど、本物の修道服は手に入らなかった。作るのも、当時の私じゃ難易度が高過ぎた。だから私は、仮装用の、生地が薄く、スリットスカートがいかがわしいエッチなものを買うしかなかった。
…私は元々、フェミニンな顔立ちと体つきをしていた。男の子の格好をしていても女の子と間違えられることがよくあった。だから私は、私が女の子の格好しても違和感はないだろうなと予見していた。
結果は予想以上だった。私のシスター姿は異様にしっくりきていて、逆に、今までの格好の方が偽物だったんじゃないかとさえ思えた。
鏡に映る自分を見て、自分の変容っぷりに慄いた。でも、同時に、これこそが本来の私だったんだと心底納得して、また一歩『理想の自分』に近づけたんだと嬉しくなった。
唐突にシスターになった私を見たお義父さんは、最初、物凄く驚いた(そりゃね)。煽情的なスリットスカートを摘まんで、顔を赤らめて、「これはどうなんだ…?」と苦言を呈した。そして「理由は察するが、無理はしないでくれ」と心配してくれた。
けれども、私がこの格好を気に入ってること、かこれからは女の子として頑張りたいことを話すと、お義父さんはすぐに理解を示してくれた。仕方なく苦笑して、「本当はよく似合ってると思っていた。可愛い」と褒めてくれた。
その言葉が、たまらなく嬉しかった。いつの間にか、私は功利のために女の子をしていることを忘れてしまって、もっと可愛くなりたい、女の子みたいになりたい、そして、お義父さんに褒めてもらいたいと思うようになった。だから、私は一人称を変えたし、髪を伸ばし始めた。
私はがむしゃらに頑張った。この時の私には『滅私奉公』って言葉がよく似合ったと思う。それくらい汗水流して、“自分を削った”。
それでも結局、私の努力を足しても、お義父さんの活動はすかんぴんだった。
相変わらず、誰も話を聞いてくれない。ひたすらに衛兵に追われて、遂には留置場どころか、刑務所にブチ込まれてしまった。
周囲の人から本格的に煙たがられるようになり、私たちを一目見て入店を拒否する店さえ現れた。
魔族の大陸侵攻が加速して、それによる不況のせいで、村で仕事を手伝っても日銭に足る程の駄賃を貰えなくなった。アメリーでの仕事の数も減って、仕事を選べなくなった。やがて私は『破戒のシスター』と呼ばれるようになった。
小教会から、質屋に入れられそうな家具や器具が殆ど無くなった。貧乏が深刻化した。魔術に頼らなくちゃ水にありつけなくなった。修繕用の糸と針さえ手に入らなくなった。本気でじゃがいもくらいしか食べるものが無くなった。新聞や雑誌は恵んでもらわなければ読めなくなった。
それでも布教活動は絶えず続けるから、私たちは着実にみじめになっていった。
でも、私はそれでも良かった。
相変わらず、お義父さんの主張には「なんだそりゃ」って感想しか持てなかったけど…。
…それでも、私はむしろ、お義父さんに熱心に乗っかることで、冷めていた時よりも幸せになれていた。
何より、お義父さんが柔らかくなった。
正しい歴史を人々に懸命に訴える私を見て、嬉しさを隠せずこっそりと顔をほころばせてくれた。
誰も話を聞いてくれない、同じ悲しみを共有する私の肩を叩いてくれた。
白湯を片手にでも楽しくおしゃべりができた。
私が縫い直したスターンを着て「ありがとう」と言ってくれた。
工夫して作ったじゃがいも料理を「美味しい」と食べてくれた。
村で一生懸命に働いた後、お風呂で互いに疲れを労い合えた。
深夜にアメリーに働きに出ていることがバレた時は本気で怒ってくれた。「ごめんなさい」と謝る私に、「そんなに気を使ってくれなくていい」と逆に泣いて謝ってくれた。
あまりにもシスター姿が馴染み過ぎて、私のことを「私の娘だ」と人に紹介してくれた。その後、「ごめん、つい」と照れ笑ってくれた。
私は、お義父さんと心で繋がれていると確信した。
だから、私は日々に何の実りがなくても良かった。
打開も、進歩も、何もいらなかった。
私はお義父さんの協力者として尽くせて、お義父さんはそんな私を気にかけてくれて、互いに寄り添えているのなら、それだけで良かった。
…いつの日か、布教に共感した誰かが来るかもしれないと、いつもピカピカにしていた礼拝堂と長椅子に、遂に誰も来ず、私たち親子だけがポツンと座る。
そんな、報われない日々こそが、私にとって幸せそのものだった。
誰も、私たちのことなんて分かってくれなくていい。
日々が、明るくならなくてもいい。
どれだけ疎まれても、暗くても、貧しくても
無駄に塗りつぶされていく時間を、大好きなお義父さんと一緒に過ごせるのなら、それだけで満足だった。
私は、お義父さんからの愛に恥じない立派な子に成れたと心の底から思った。
…でも、それは私の独り善がりで、自己満足だった。
私の方は凄く幸せだと思っていても、お義父さんは違った。
私が自分のためだけに布教活動を頑張っていた一方で、お義父さんは自分が知る歴史を本当に正しい歴史だと信じて、本気で世の中を変えようと思って、だからこそ周囲に訴えて、苦労して、分かってもらいたくて、悩んでいた。
私が依然、歴史なんて、真の支配者なんて、王家や政治なんて、何もかもどうでもいい、お義父さんのこと以外どうでもいいと思っていた一方で、お義父さんは現状を何とか打開しようと、進歩しようと、そして報われようと、光を求めて必死だった。
周囲が私たちのことを何も分かってくれなかったのならば、私はお義父さんのことを何も分かっていなかった。
結局、私は私を殺せなかった。
私はどこまでいっても利口ぶった猿だった。
心の底からお義父さんに報いたいと思っていて、表向きには熱意をもって協力している風だけども、
腹の底ではお義父さんや、お義父さんの信じるモノのことを安易に品定めして嗤っている。
自分の尺度しか知らない。
そんな私の幸せは、アンビバレントな独善だった。
そんな想いの乖離の顕著な例として
私という愚かさへの罰として
お義父さんは、ラディカ様の公開処刑の翌日、シテの王宮前で失意にまみれて殺された。
六
…ラディカ様が拘束されたというニュースを新聞で知ってから、お義父さんは心穏やかじゃなかった。
ずっとイライラして、「こんなのはデマだ」「有り得ない。何故間違いだと誰も気づかない」と唸り続けていた。
どころか、お義父さんは王宮に乗り込もうとさえした。フラン家に反抗する人を全員殺して、ラディカ様をお助けしようとした。…それについては、私が必死に止めたから行動を抑えてくれた。けど、殺気立った目は依然変わらなかった。
その後、お義父さんは布教活動を止め、朝に新聞を取りに行く以外は小教会に引きこもるようになった。自暴自棄になって、ご飯を作っても食べてくれなくなった。寝ることさえ拒んで、一日中長椅子に居座って、爪を噛んでいた。たまに、黙々と家事をこなす私の方を向いて、「何でお前はそんなにヘラヘラしていられる!」と理不尽に怒鳴った。
私は耐え忍んだ。お義父さんの言うように、ラディカ様が無罪であるのなら、全てが丸く収まる。そんな朗報が飛び込んでさえくれれば、お義父さんも元に戻ってくれる。
しかし、その期待が無謀な望みであることを、私は理解していた。私はラディカ様の悪評を曲解せずにちゃんと把握していた。
だから、遂にラディカ様が処刑されたことを報じる新聞が発布されるまでの間、私もまた、処刑台に上るような心持ちでいた。
その一報は、処刑の翌朝、フラン・シテ自由労働新聞の号外として無料で配られた。ただし、辺境のアメリ―では号外にはありつけず、私たちはシタニア地方最大の街、ツロンでそれを受け取った。
一面に、一枚だけではあるが処刑の様子の写真が貼られていた。お義父さんはそれを見るや否や、固まった。
お義父さんが再び動き出したのは、それから30分後くらいだった。周りの人々が“朗報”に浮足立ち、お祭り騒ぎになっている中、お義父さんはわなわなした。
…黒い顔、漆黒の顔。心の全部を使って業を煮やしている。でも、その顔は、怒りを行き場のなく沈下させる気のない、あからさまに何か良からぬことを考えていた。
次の瞬間、お義父さんは私の腕を強く掴んだ。私を引っ張ろうとした。
…その行動の意味、私にはすぐに分かった。
私は咄嗟にお義父さんの手を振りほどいて尋ねた。
「お義父さん…、本気なの…?」
その言葉に、お義父さんはハッと我に返った。顔を真っ青にした。衝動的にでも私を『使おうとした』自分の手を見つめて、ガタガタと震えた。
お義父さんは、自分の激情を恥じるように俯いた。でも、それでもお義父さんは未練がましく言った。
「…やっぱり、お前は手伝ってくれないか…?」
私は、首を横に振って答えた。
「分かるよ…、お義父さんがどんなに悔しい気持ちなのかは…」
「でも、私には理解できない…。なんで、悪女のラディカ様のために私たちが危険な目に合わなくちゃいけないのか…」
「…!それは…!だから、いつも言っているだろう…?世間の噂なんてものは全部嘘だって…」
「嘘だったとしても…!そうであったとしても、私は嫌だよ…」
「私は…」
…その後の言葉に詰まった。私は、本当にこんな想いを伝えても良いのかと暗くなった。
それでも、この想いを受け止めてくれたなら、私たちはきっと幸せに戻れる。
元の、お義父さんと私だけの冴えない生活。ちょっと変わった父と子の世界。
お義父さんだって、心の中じゃきっとそれを望んでいる。だから、お義父さんなら私の気持ちを分かってくれると、
そう信じて、私は言った。
言ってしまった。自己中心に。
「『悪女ラディカ』なんかのために、人殺しになりたくないよ…」
…瞬間、お義父さんは血相を変えた。私の胸ぐらを掴んで、声を荒げて叫んだ。
「シャトー!お前は…、お前だけは“分かってくれている”と思っていたのに…!寄り添ってくれていると思っていたのに…!」
「まさか…、これほどまで何も分かっていない、恩知らずだったとは…!」
…見ると、お義父さんは泣いていた。
私は、自分が間違った選択をしてしまったことに一瞬で気づいた。
弁明しようとした。いや、言い訳をしようとした。お義父さんに嫌われたくないからって。
でも、お義父さんはもう私に呆れ果ててしまって、私からぞんざいに手を離した。
「…お前は、家に戻ってなさい」
そう言って、お義父さんは飛行の変性魔術を唱えた。私も慌てて唱えようとした。
しかし、そんな私をお義父さんはギッと睨んだ。
「家に戻ってなさい!…帰ったら、私もちゃんと『お義父さん』に戻るから…」
「…それまで大人しく待ってなさい」
結局、私が意を決してシテに向かえたのは、その日の夕方のことだった。
七
私は、どちらかと言えばお義父さんを止めるためにシテに来たのかもしれない。
いや、自分でも分からない。ただ、お義父さんに嫌われたくないという気持ちと、それでも不条理な理屈には納得がいかないという気持ちがせめぎ合っていたから。
着いたら、シテでお義父さんを見かけたら、その時に自分の行動を決めようと決めていた。
私は未だ、籠の中で買われた犬のように鈍感な感性を持っていた。
だから、私は肝心な時に間に合わなかった。
夕暮れ時。
王宮前に人だかりが出来ていた。
悪寒がした。
私は無茶苦茶な気持ちになりながら、気がおかしくなりながら、人だかりをかき分けた。
辿り着いた、そこには、頭が割れたお義父さんがいた。
仰向けで、私が何度も補修したせいで、パッチまみれになったスターンを血まみれにして、瞳孔を開いて、口を大きく開けて、頭から脳漿を垂らして。
明らかに命が無くなったお義父さんがいた。
関係者以外は下がれと、王宮の門兵らしい騎士の一人が私の腕を引っ張った。私は振り払って、お義父さんにしがみついた。
そこで、触れて気づいた。お義父さんの身体はちょうど体温を失って、冷たくなりつつあった。お義父さんは死んで間もなかった。
…使ったこと、今まで一度もなかったけど
あれなら、何とかなるかもしれない。
私の前に、可能性がたらりと見えた。
私は過呼吸になって、震えて、それでも一切の狂いなく、使い得る最高の回復魔術を唱えた。
«天位 回復魔術 理即叛(りそくはん)»。
重症だって、重病だって、何だって一瞬で治癒できる究極の回復魔術。
この魔術を使うのは久々だった。
でも、私の魔術の腕は確かだった。
お義父さんの外傷はみるみる無くなった。
いつも通りの姿に戻っていった。
穏やかな顔に戻っていった。
優しい、優しい、お義父さんの顔。
私の口角が気持ち悪く上がった。
へ、へ、へ、と変な笑いが出た。
お義父さんが蘇ると確信した。
血色が戻って、脈が戻って。
起き上がってくれると確信した。
だって、だって、直ったから。
待った。
目を見開いて、笑みを絶やさず待った。
けど、お義父さんは一向に目を覚まさなかった。
身体は無事なのに、体温は依然、冷たくなり続けた。
笑みが消えた。
「なんで」「なんで」と訴えて、回復魔術を何度も唱えた。
何度も、何度も、声が枯れるまで唱えた。
それでも、お義父さんは目覚めなかった。
血色すら、脈すら、戻らず。
身体が段々カチコチになって、やがて、僅かなぬくもりさえ消えた。
失いたくなかった。絶対に。だって、お義父さんは私のたった一人の家族だから。
でも、お義父さんは蘇らなかった。遂に、私は完全に手遅れになってしまった。
私は、その時初めて、魔術では“外層”は直せても“内層”は治せないと知った。
魔術は、再生すらままならない、本当に無力なんだと知った。
全ての可能性を奪われてしまった、空っぽになってしまった私は、魔術のおかげで綺麗な遺体になってしまったお義父さんに突っ伏して、泣き崩れるしかなかった。
どうしようもないことへの涙を、止め処なく流すしかなかった。
辛さと、辛さと、辛さだけが、私を支配した。
最初、私をお義父さんから引き剥がそうとした騎士は、私が魔術を使うことに驚いたのと、様子からして身内だと理解したのとで、私に対し、とやかく言わなくなった。
騎士は、人だかりと共に私を稀有な目で見つめるだけになった。
私だけが泣き声を上げる、嫌なくらい静かな時が流れた。
「………!!」
「…え?」
突と、私の涙は途絶えた。
何故なら、急激に別の感情が沸き上がったから。
私は、情動に従い騎士の方を見上げた。
聞き間違え、見間違えじゃなかった。
騎士はやはり、お義父さんを指して、呆れて、クスクス嗤っていた。
…よく見ると、騎士が帯びる剣の柄には、赤々い滴りの跡が付いていた。
「なんで…?」
私は、空虚な眼差しで尋ねた。
騎士に。
騎士だけじゃない。
騎士につられて、お義父さんを嗤い始めた人だかりに。
「あなたたちが…、殺したの…?」
私の問いに、騎士や人だかりは首を傾げた。
が、直後、まるで、親切でもしてやるかのような気味の悪い表情になって、口々に、身勝手に、ことの顛末を、何の気兼ねもなく、容赦なく話し始めた。
そして、私は知らされた。
怒り心頭でシテに現れたお義父さんが、シテの大広場で、アメリーでの布教活動のように、声高らかに、公開処刑が間違いだったと訴え始めたことを。
しかし、厄介者の悪女らが死んでせいせいしている、都会のシテの人たちは、田舎者のアメリーの人たちより過激で、お義父さんの訴えを嘲笑い、馬鹿にするどころか、取り囲んで言い返しまくったり、あまつさえ、殴ったり、水をかけたり、石さえ投げ始めたことを。
そうして、侮辱されて、傷つけられて、あまりにも世間に絶望したお義父さんが、顔面蒼白になって、強硬手段に出てたことを。
シテの大広場から走り出して、王宮に向かって、中位の破壊魔術を使ったことを。
その結果、不意をつかれた門兵の一人が軽傷を負い、対してお義父さんは、王家への反逆者と断定されて、その場で思い切り殴り殺されたことを。
「…意味分かんねぇよな。馬鹿みたいに狂乱して、自分から殺されに来て。灯に飛び込む蛾みてぇだ。…お前の親父さん、残念な奴だったんだな」
お義父さんを殺した騎士が、半笑いで言った。
「…は?」
私の中で、ドロっとした殺意がうねった。
「ホント、何だったのかしらねぇ…。『王家は偽りだ!』とか、『処刑されるべきは王家の方だ!』って、物凄く不敬なことを叫んでらしたのよ…?」
人だかりの中の一人、貴婦人が、隣の奥様方にヒソヒソ話をした。
「あのシスターさん、この変人の娘さんかしら…。可哀想に、頭のおかしい親を持つと大変ねぇ…」
奥様方の一人が、私を指して話を広げた。
その談笑につられて、人だかりは口を合わせて、好き勝手に言いまくり始めた。
あの神父は気狂いだとか
俺はこんな与太話を叫んでいるのを聞いたとか
背教者だとか
王を馬鹿にするなとか
悪女が何をしたのか知らないのかとか
馬鹿がとか
殺されて当然だとか
あのシスターはきっと洗脳されているとか
気の毒にとか
可哀想だからコイツも殺してやれよとか
…それらを聞いて、私がどんな顔をしていたのか、私自身にも分からない。
でも、少なくとも、顔、と呼べる形をしていなかったと思う。
グロデスクな衝動が、全身を静かに流れて、私の身体をゆらりと動かした。
立ち上がった私から、息を吐くほどに黒い感情が漏れた。
殺意。
「有象無象が…!」
「お義父さんのことを…、理解する気すらなかったくせに…!!」
…本当、自分を棚に上げた発言だと思う。
でも、この世で一番大切な人を失った私には、そんな内省にかまける余裕がなかった。
心の中が、ドス黒さでいっぱいだった。
私は歯をガチガチ震わせ、騎士を、人だかりを、ギロリと睨んだ。
どんな悪魔の呪いよりも恐ろしい、定まった害悪を、涎と共に垂らした。
にじむ、透明の涙の奥には憤怒の瞳があった。
私の意志は、もはや明確だった。
私は、何も迷わずに両の指を軽く絡めた。
両腕を伸ばした。
魔術詠唱の構え。
あの時から、お義父さんに愛を貰ったあの時から、私は一度も破壊魔術を使っていない。
久々のことで不安はある。
でも、あの頃の、気の狂ったお義父さんはいつも言っていた。
私の破壊魔術なら、この街一つを消し飛ばすことくらいワケないって。
「≪匣天…」
私から滾る決意に、騎士がギョッとした。
部外者気分でいた人だかりは、状況が理解できていない馬鹿丸出しの顔をした。
クソが。
揃って死ね。
見せつけてやる。
眼前のゴミ共に。
分からせてやる。
『シャトー・ブリアン』を。
その威力を。
「開≫…!」
狂気が、私の内を走ろうとした。
その瞬間
私の背後に、ふわりと何かが舞い降りた。
「え…?」
直後、私が振り返る間もなく、周囲に幾千もの鋭い風が吹いたかと思えば、騎士を含む人だかりの全てが1cm角にも満たないブロック状に分解されて、原型を失った。
私以外の、お義父さんを罵った全てが汚い血しぶきと無数の肉塊に化して、辺りに飛び散って、殲滅した。
「これ、は…」
こんなの、私の魔術じゃない。
私の魔術じゃ、こんなことできない。
振り返ると、そこには、レイピアの一本を柄に納めて、にこやかに微笑む女性が一人いた。
「…貴女、愛に育てられたのですね。剥き出しの殺意の割に、まるで戦い慣れていない」
「やめておきなさい。貴女はこんなところで血に染まるべきじゃない」
レジティ様はそう言った後、私に軽く会釈をした。
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【人物紹介】
『シャトー』
ビフォー父の日、父の日本番、アフター父の日と、合わせて3回も父の日を祝っていた。プレゼントもその度に必ず渡していた。
『ジーヴル』
シャトーからもらったプレゼントを全て捨てようと思ったことが何度かあった。結局、どれ一つとして捨てられなかった。
『レジティ』
家族の写真は、全部燃やしたからもう無い。
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