吉村航太郎

自宅にて

2020年12月7日、友人が自らの手でこの世を去った。その日は彼の誕生日だった。後から聞いた話だが、彼が死んだとき部屋には水道すら通っておらず、冷蔵庫の中は空の状態だったという。葬儀の間、彼の母親はずっと泣いていた。彼と僕、そしてもう一人の友人。3人で撮った写真は副葬品にして燃やしてしまった。火葬場から出てきた遺骨を見て、彼の母親はもう一度泣いた。係員が収骨の説明をしていたが、そんなものは僕の耳に届かなかった。僕は夢でも見るみたいに、昔のことを思い出していた。


 先日。年の瀬の前に友人の墓参りにいった。その日はひどく寒くて、かすかに雪が降っていたのを覚えている。僕は一時間かけて彼の墓を掃除し、その後に二対の菊を添えてやった。最後に綺麗になった墓の前で遥か昔のネアンデルタール人に思いを馳せながら、彼の愛煙だったケントを一本吸い、残りを墓の前に置いて二年半の喪に服した。


 新年という素晴らしい日に、このような話を持ち出すことを申し訳なく思う。


                 

                        2024年1月4日 吉村航太郎  

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吉村航太郎 @Y-Kotaro

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