第0話【3】

 夢を視ていた。


 ──ぽつんと雫が零れ、伝う。


「…………なんで、泣いて……?」

「目が覚めたようだね」


 伝った雫を拭い、呪いを落とす。


 とても醜く、触れられたものではないのに。


 飄々としている君が嫌だと思ってしまった。


「な……」

「やぁ、おはよう。幸」

「…おは、おはよう」


 君は飄々としながら空を見つめた。瞬間。

 何故泣いて居たのか理解わかった気がした。


「──こうッ!」

「な、何だい…」


 ケホッと咳き込みながら君の手を握り締めた。ほんのりと熱帯びた君の手は温かくて泣きそうになりかける。


 けれど、そんな事はどうでもいい。


 今一番、君に言いたい事があるのだから。


 頬を染め、君をまっすぐに見た。

 君は訳が分からないと言う表情をしながら見つめ返してくれる。


「いつもありがとう…!君が居る。花を空へ届けてくれるから僕は安心して守る事が出来る」

「少しでも幸の力になれているのなら願ったり叶ったりさ」


 負けじと見つめ返しながら思いの丈をぶつけ合う。それは魂と魂のぶつかり合いとも言えるものだけれど、今の僕には必要な事だと感じながら吐いた。


「だからありがとう。出逢ってくれて」

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駆けたるは星空。 逢坂 晴月 @AMAGAI0406

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