第6話


「何で……、どうして…?何も書いていないの…?」


 息を呑んだのは切符に行き先が書かれていなかったこと。それと同時に自分以外の人々は降りて行ってしまっていること。


 どうしてと少女は又、呟いた。


 独りぽっちは嫌だ。独りにしないで。──と。


 そんな少女を置いて車内アナウンスは無慈悲に告げる。よく通る、少年の声が少女の鼓膜を包んだ。


『次は、星海せいかい、星海。お忘れ物なさいませんよう、ご注意ください』


 星海。


 その単語にドクンと心臓が跳ねる。

 そして思う。私はこの星海と言う駅名を、否、場所、、を知っていると。

 覚束無い足取りで少女は扉の前に立とうとした。すると誰かに肩を引かれた。


 それはあの少年、たった今。


『星海』とアナウンスをした少年だった。

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