たったひとネタのためにガチでタイトルとあらすじ変えてみた。


「……おにい、Twitter始めたんだよね?」


 そう言って、テーブルに置いたスマホを手に取る凛。


「え? ……あーそうだったわ。まだ1回も開いてないけど」


 俺、というよりはcubeのソラのアカウントだ。


 二宮が、「ついに参謀がSNSデビューする時が来た、これはcubistたちへの重大報告になるぞ」とかなんとか言って、良い感じにデザインしてくれたアカウントを俺に渡してきた。


 ちなみに、cubeの公式アカウントは実質リクの個人アカウントになっているので、二宮は必要ないのだとか。


「てか、そんなどうでもいいことよく知ってたな?」

「……だってほら」


 そう言って、凛が俺にスマホ画面を見せてきた。


 ─────────────────────

 リク@第4回so cube!!!放送中

【重 大 報 告 】

 全国に散らばる妹たちに告ぐ。


 この度、我らが参謀Twitterアカウントを開設!

 謎に包まれた参謀の一挙手一投足を見逃すな!

 ...

 ─────────────────────


「あいつもよくやるよな。別にcubeのソラがTwitter始めるなんて、どうでもよすぎて誰も1ミリも興味ねえよ」

「……おにい、自分の影響力わかってる?」


 ……影響力? 凛は何を言っているのだろうか?

 ってかお前の方が絶対影響力あるだろ……こいつ煽ってんのか?


「つーかこの投稿、来崎さんも拡散してそうだな……」

「してたけど──来崎さんあの女



 ──目を細めて優しく微笑みをたたえる凛。


「……」


 一体俺の頭はどうしてしまったのだろう?


 ──凛の弾んだ声やその明るい表情から、人間として自然に推測できる感情。


 ──俺の第六感が本能的に感じ取った彼女の感情。


 この2つの感情が──綺麗に矛盾してしまっている。


 ……俺の脳がバグってしまったか?

 なんか急速に部屋の温度が下がっていく気が……。


 きっと疲れてるのかな。

 確かに最近色々あったしな。


 なんとなく──ただなんとなく。

 ソファの上でゆっくりと腰を引き、俺の隣に座る対象との距離を開けようと──


「ねえ教えて? ほらこっち見て?」


 ──俺が引いた分だけ距離を詰めてくる凛。


 凛の朗らかに凍てつく眼差しが、優しく俺の全身が貫く。

 突き刺すような温もりのある視線に震えが止まらない。


「べ、別にそんな深い理由はないって……」

「じゃあ浅い理由でいいから聞かせて?」


 なんだその詰め方。


「……あの、まあ……ほら、俺が柊木の外に出た唯一の番組でとてもお世話になったというか、どっちかっていうとお世話してあげたというか……」

「……ふぅぅん?」


 徐々に瞳のハイライトがなくなっていく神月凛さん(16)

 流石、お芝居を生業としているだけあって、感情表現が豊富だなあ……。


「それで?」

「いや、それでって言われても……あ、もしかしてお前もリツイートとかしてくれたのか?」

「それは……ラジオでも話した通り、あたしはcubeソラの大ファンってことにしてるから……」


 と、凛がそっぽを向き、やっと凛のロックオンから逃れることができた。

 瞳にも生気が戻ってきており、その頬はほんのり赤く染まっている。


 ふう……なんとかなったか……!?


 先日のラジオの一件がまだ尾を引いているのかもしれないので、しばらく凛の前で来崎さんの話は出さないほうが良さそうだな。


「そういえば、俺にアカウント作ったってことは、もしかしたら更級のSNSアカウントも作ってあんのかな?」

「──ふぅぅぅん?」


 そこも地雷だったんですね。


「そういえばおにい……更級さんがラジオで言ってたけど、家より部室の方が居心地いいとかって──」

「あれは冗談だって!! あれは更級が緊張のあまり変なこと言っちゃっただけだから!」


 やばい!

 せっかくなあなあにできてたのに、これ完全に墓穴掘ったわ!


「……ほんとに?」

「ほんとですほんとです。”隙あらば自宅”──これが僕の座右の銘ですよ」

「じゃあこれから週末は必ず帰ってくるよね?」


 ──仕方ない。


 使


「凛さん、そういう細かい言葉尻にあれこれ言うのは良くないと思う。俺のようにもっと寛大な心を持たないと」

「……おにいに寛大な心を感じたことないんだけど」

「だったら──この前俺に送ったRINEを見てくれないか?」

「……急に何?」

「とりあえず『凛とした空を』に出る前に送ってたメッセージをよく読んでほしい」

「……まあいいけど」



 ──以下、回想シーン。

 ******************


 通知表示とタップしてアプリを開くと、1時間ほど前にRINE特有の短文メッセージが連投されていた。


 ─────────────────────

 おにいだいじょうぶ?

 ─────────────────────


 妹なりに炎上した兄の身を心配しているようだ。


 個人的には有象無象の世間の声よりも、明確な殺意があるクラスメイトたちの方がはるかに厄介なので、相対比較で炎上はさして気にしていない。どうせ引退するんだし。


 でもこうやって、心配してくれるだけでもありがたい……世間から批判される兄を見て同情心が湧いたのだろうか?


 この炎上を通して、意外にも我が兄妹のわだかまりが解消されつつあるのかもしれない。


 ─────────────────────

 むりしないで

 ─────────────────────


「……おう」


 ─────────────────────

 あたしはおにいのことわかってるから

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「……」


 あの凛がこんな健気なメッセージを送ってくるなんて……なにか裏があるに違いない。


 ……。


 ……。


 いや待てよ?


 もしかしたら、のか?


 ……あの凛が?

 と、すぐに疑いたくなる気持ちをなんとか抑えつけて、その可能性について真剣に検討してみる。


 ここしばらくの凛の様子を思い返してみると──確かに最近は少し様子が変わってきたような気が……。


 来崎さんのラジオ出演を機に、少しは仲が修復したかと思えば、俺が連絡を無視して激おこ凛さんになってしまい、しまいには学校公開に降臨する始末。


 でも昔のような刺々しさがなくなったというか……丸くなったというか……俺とコミュニケーションを取ろうという意思を感じる行動が増えたのは事実。


 ……あれ?



 もしかして俺──今まで凛のことを誤解してた……?



 ─────────────────────

 でもおちんこでもしかたないよね

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 うん、本当に誤解してたわ。

 とんでもない緩急でアッパーぶち込まれたんだが。

 頼むから誤字であってくれ。


 ─────────────────────

 だからげんきだして

 ─────────────────────


 それ元気出しちゃだめだよ!?

 ちょっと何言ってるの凛さん!?



 ******************

 ──回想終了。




「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」


 RINEを開いて履歴を見返し──声にならない悲鳴を上げる妹。


「兄は寛大な心をこれを水に流してあげてるわけだけど──これso cubeで話して良い?」

「駄目っ!」



 ブラコンエピソードが増えてなによりだ。




※タイトルとあらすじを変えて投稿してみた結果、ものすごい勢いでフォローが剥がれていきました☆

もう二度としない。

きっと、あの手の込んだあらすじを読めた人はラッキー。

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