後から悔やむと書いて後悔。



──柊木寮の自室にて。


寮の自室は下が勉強机で上がベッドになっているセットが、両壁にそれぞれついている。


ベッドの上から下を見下ろすと、向かいで勉強机にノートPCを置いてアニメを視聴している二宮が視界に入る。


──ちょうど二宮が見ているアニメが終わったタイミングで声をかける。


「なあ二宮、いつか話してた紅葉ちゃん応援アカウントってまだ動いてんの?」

「もちろんだ! だが旧部に入ってからお知らせ放送はしてなかったからな、おにーちゃんたちは紅葉ちゃん成分に飢えているぞ……!」

「……それはちょうどいいな」


夏休み終わりから突如として現れ、声で皆に癒やしを届けていた紅葉ちゃん(更級)。


二宮の布教のおかげか、一部に熱狂的なファンもいる。

せっかくならばそれも利用させてもらおう。


「cube公式SNSのアカウント、ちょっと借りていいか?」

「むむっ! ついに参謀が再始動か! どんどん発信していってくれてもいいぞ!」

「じゃ、明日使わせてもらうわ」

「明日か……明日といえば学校公開だが、そういえばお前の親は来るのか?」

「いや、幸いながら来ないぞ」


来ないとは聞いてるけど──なんか嫌な予感がする……。


一応確認しとくか……?


でも直接電話したら、俺が来てほしくて電話してるみたいな変な勘違いをされて、急遽来る……みたいなことになったら最悪。


ここは少し回りくどいけど、凛にメッセージを送って確認するか。

もしかしたら俺から凛にメッセージを送るなんて初めてかもしれない。


と、スマホでチャット画面を開くと


『なんでもうso cubeやらないの?』


やべっ……そういや1週間前にこんなメッセージ来てたわ……。


なんか凛のやつ、意外にも放送してくれって意外にしつこいんだよな……。


なんでそんなに放送してほしいのかを本人に聞いたら、「……なんとなくだけど? 悪い?」って答えられた。

いや悪くはないんですけど理由が欲しいというか……神崎に何か吹き込まれてるパターンなのか?


それとも──もしかしてただ単純に放送を聞きたいのだろうか?


いやでも凛に限ってそんなことはなさそうだよな……。

まあとにかくメッセージの内容は一旦いいとして……本題は凛のメッセージを既読無視していたことだ。


どうするか……今さらだけど謝った方が良いか?


だが、もうすでに1週間も経っている。

今さら謝ったところで、もしかしたら凛は俺にメッセージを送ったことなんて忘れている可能性も全然ある。

というか普通に考えて、1週間も経っているわけだから凛が忘れている可能性の方が高い気がする。


ここで今、俺が凛にメッセージが送れば、当然このチャット画面を開くわけだから、凛は俺が無視していたことを思い出してしまう。


……逆に考えてみよう。


俺からメッセージが送らなければこの画面を開くことはないわけだから、俺が既読無視したという事実を思い出すこともない。

となると当然……メッセージを送らない、というのが俺が取る選択。


母さんは土曜日はパートだろうし、まあ問題ないだろ。



──この時の選択ほど、後から悔やんだことはない。




─────あとがきのこーなー!──────

「久々の後書き回だよな?」


『うむ! 妹からギフトが送られていたのでな。少し遅れたが欠かさずにお礼をしておかねばなるまい。応援誠に感謝だ!』


「じゃあ久々の──おたよりのこーなー!」


『妹からの声を勝手に紹介していくものだな』


「今回紹介するのはizumiが思わず吹き出した”@apq2012”からのおすすめレビューコメント!」


『レビュー、恩に着るぞ!』


「【僕は、彼女が出来たらすごい祝福してくれるいいクラスだと思いました!!】」


『……確かに額面通りに受け取れば良いクラスなのかもしれんな』


「仲間思いで一人ぼっちを作らず、誰ひとり取り残さず、連帯感と団結感に溢れる──僕たちはそんな素晴らしいクラスです!」


※次回更新はちょっと遅れます。

 詳しくはizumiの近況ノートへ!

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