第3回放送 〜御礼放送〜 part3

「……残りはお前が読んでくれ」


『……承知した。続いて、CN:“心中しんじゅう心中しんちゅう”』


「紛らわしい」


『【リク代表、闇堕ちロリコン、きゅーぶ!】』


「……」


『【もー、ちょっと参謀、無視しないでくださいよー!】』


「……」


:読まれてて草

:リスナーの掌の上で草

:あ、ソラの顔が赤くなった。可愛い


『【2回の校内放送と、参謀はソロでラジオに出ていましたが、何かお二人に反響などありましたか?】』


「お前な……さっきも言ったけど恋愛対象が6歳の幼女とか拡散されて、まともな反響があると思うか?」


『確かに。ちょっとインパクトに欠けたか』


「常識に欠けてんだよ……例えば今朝、一番早い時間のバスで通学したんだが、俺の隣に柊木の女子生徒が座ってきた」


『ほう?』


「おそらくその人は俺たちの放送をSNSでしか知らなかったんだろうな。でも俺の顔は認識していたみたいで」


『柊木生ならそういう人もいるだろう』


「その人は俺に気付くな否や、「あたし童顔だけど、と、とと年上! 年上だから! 年上!」と、謎の弁明を残して速攻で去っていった」


:襲われると思ったのね

:正しい判断だ

:ロリコンの撃退方法ってこれか……

:参謀は見境ないからなあ


『それは……つらい経験だったな……』


「……この境遇を理解してくれているのは、やっぱお前だけか……!」


『ああ──年下に見える年上ほど、裏切られた気分になるよな』


「俺は今、お前に裏切られた気分だ」


『?』


「お前は良いよなあ。今日なんて入ってきたらキャーキャー言われてさあ……つーかなんでこんなヤバい奴が人気あんだよ!?」


:代表は参謀の暴走に優しさで付き合ってあげてるだけだからな

:リク君、イケメンだし

:二人で並んで鏡見てきたら理由は分かるぞ


「てめーらニヤニヤと……!」


『参謀よ、お前も登校中にキャーキャー言われていたと聞いたぞ』


「お前のとは意味合いが違うんだよ!!」


『難しい話はよく分からないが、参謀には妹たちを笑顔にする才能があるとオレは信じているぞ!』


「それは笑わせてんじゃねえ!! 笑われてんだよ!!」


:名言出たw

:なんかソラが叫んでる声聞くと、落ち着くよな……

:分かる

:もうどうせならずっと叫んでてほしい


『そういえばオレもバス登校中に反響があったぞ』


「お? まじで?」


『ああ、今朝バスであったんだがな。皆オレの隣に座りたがらないんだ』


「おお! お前もついに避けられる側の気持ちが分かるようになったか……!! 心の友よ!!」


:参謀のテンション爆上がりで草

:途端に嬉しそうw


『顔出しした影響からか一部の人に顔が知られているようになり、オレの隣の席がずっと空いたまま、女子生徒が少し距離を置いて、ぼそぼそ喋りながらこちらを見てくるのだ』


「そうそうそう!! いやーわかるわその気持ち!! ……ようこそ! こちら側の世界へ!!」


:めっちゃ頷くやん

:やっぱソラめちゃくちゃ嬉しそう笑

:まあ確かに浮いちゃうのもわかる


「今まででお前と一番シンクロしてる自信あるわ!」


『うむ、なぜか──男子高校生が座りたがらないんだ』


「……男子が? なんで?」


『オレの隣に男子高校生が座っていると、オレに話しかけてくる女子生徒は必ず、オレに隣の奴に向かって「も、もしかして……ソラさんですか!?」と聞かれてな』


「……」


『すると当然、「え、ち、ち、違うって!? ソラじゃないから!! ほんとに違うからな!? まじで違うからな!!」という反応になり、ソラと勘違いされないようにオレの周りに男子が座らなくなったという……』


「……結局避けられてるの俺じゃねーか!!!」


:ソラと間違われると思ったんだな

:これは賢明な判断

:俺もソラと間違われた日には不登校になるわ

:誰だって恫喝真正ロリコン変態野郎と間違えられたくないよな


「おい誰だ今の言葉送信した奴!! 名乗り出ろやおい!! さっきから匿名性を盾にしやがって!! よーしわかった、全員スマホを床に置け!! 今から怪しい動きした奴、俺のことを馬鹿にしてる犯人として晒し上げてやる!!」


『おいおい、落ち着けよ参謀。そんなこと言うと──』


:俺が犯人です

:私が犯人です

:僕が犯人です

:バレたか……

:あたしが犯人です

:ボクのこと呼んだ?

:誰一人スマホ置かなくて草

:全員ソラのこと馬鹿にしてて笑う

:1対1000のリアルファイトの始まりか……


「こいつら…………っ!!!!」


『参謀……遅ればせながらアドバイスだが、彼らをあまり刺激しない方がいい』


「…………どういうことだ?」


『彼らを刺激すればするほど、投影される言葉は増える。ということはつまりSNSでつぶやかれるということだ』


「それがなんだよ?」


『事前に告知した投影用のハッシュタグはSoCubeだ。おそらくこの短期間に大量につぶやかれている』


『あ……』


『世間のcubeの注目度は高い。今回の放送は告知されてはいるが内々で行われているので、柊木生以外の妹たちはみなこの閉鎖的な空間で何が行われているのか、SNSで状況を注視しているだろう』


「……」


『そんな彼らが目に入ってくるのは参謀をバカにするつぶやき。そしてその言葉が更に拡散され……誤解を招く最悪の形でトレンドに──』


「それもっと早く言って!? なんで黙ってたんだよ!? よし……一旦スマホを置いて話し合おう。な? ちょっと不幸なすれ違いがあっただけ。僕たちまだ分かり合え──」


『まあもうトレンドに入ってるから手遅れなんだが』


「──このクズ共がああぁぁああああ!!!」


:www

:ソラが生で叫んでるとこ見れてよかった

:これが本場の闇落ちか


『さて、いつもの参謀の発狂も聞けたところで、ここで事前に募集していたこちらのコーナー!』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る