かつてプロローグだったエピローグ

 

 ──夏休み明け最初の登校日。


 毎年この日が来るとふと、こんなことが俺の脳裏をよぎる。



 ──この世に永遠なんてないのだと。



 諸行無常に有為転変というように、どうやら始まるものには終わりがあるらしい。


 早く現実を見てオトナになれと言わんばかりに、ひと夏の終わりが俺たちコドモにそんな受け入れ難い残酷な事実を囁きかけてくる。


 そしてコドモたちの無垢なる瞳は濁り、活力ある手足は縛られ、鋭い牙は抜かれ、自由なる翼はもがれてしまう。


 学校という鳥籠の中で先生という名のオトナたちに少しずつ飼い慣らされたコドモたちは少しずつ、だけど着実にオトナに近づいていく。



 ──なんてつまらない……なんて愚かなんだろうか!!


 そんなことがオトナになるってことなら、こっちから願い下げだ。


 オトナたちの言いなりになることが正しい、なんて誰が決めた?


 そんなことが本当にオトナになるってことなのだろうか?


 混迷極まる先の見えないこんな時代だからこそ──自分が正しいと思ったことを本能の赴くままに行動するべきなんじゃないのか!?


 他人じゃない──己自身の揺らぐことなき決意と信念を、最後まで貫き通すことが何よりも大切なことなんじゃないのか!?



 つまり、俺が言いたいのは──



「白崎、お前の夏休みの課題が全て白紙のまま提出されているんだが……理由を聞かせてもらおうか?」

「……」

「……何か申し開きがあるなら聞くが?」


 眉間に皺を寄せて固く拳を握り、鋭い眼光を飛ばす担任女教師の冷酷な問いかけに屈することなく──俺は胸を張って答えた。



なので──休むことに専念していました」


 ……。


 訪れる静寂。その後に──


「白崎……これから私が言うおかしなことを、笑い飛ばしてほしいんだが……」

「なんでしょうか?」

「先生はな……たまにお前を──天才なんじゃないかと思うことがある」


 ……。


 …………。


 ………………。


 ──俺はどこで笑えばいいんだろう?


 そう思った直後、形容し難い衝撃が俺の脳天を貫いた。




 ──この物語は、どこにでもいる普通の高校生である俺──白崎凛空と、頭のネジがぶっ飛んだバカな奴らのバカ話だ。


 とりあえず暇を潰したい人や、何かにひどく疲れてしまった人が、これを読んで少しでも退屈しのぎになってくれたら幸いだ。


 これは世界を救う大冒険のような、ハラハラドキドキ心踊る物語とは程遠い。


 だけど、難しいことは何も考えず、つい呆れて笑っちゃうような──そんなバカ話がこの先もずっと紡がれていくことだけは約束しよう。



 つつがない日々が続かない──そんないそがしくてせわしない日常でいいのなら。





─────あとがきのこーなー!──────


「怒涛の3連続更新を行ってもうizumiの体力は限界……!」


『明日か明後日ぐらいに大々的にあとがきのこーなー!をするぞ……だから妹たちよ、1学期編の感想でも評価でもなんでも待ってるぞ……!』


「よろしく頼む……!」

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