あやのんと! part2


『【どうも! 最初に初回放送後にcube公式Twitterを大々的に色々な手段で拡散した者です!】』


「お前……Twitterで放送を聞いてないやつに熱心に布教してたやつじゃねーか……」


『【参謀、旧校舎で始まった放送もついに全国放送ですよ……ついに我々もここまで上り詰めましたね……】』


「なにナチュラルにお前こっち側立ってんだよ」


『【旧校舎、全国ときています。この勢いのまま──次は悲願の新校舎にも放送を届けようじゃないですか!】』


「──いやなんで範囲狭まってんだよ。イナイレかよ」


『『我々もイナズマイレブン方式を取り入れるべきかと』』


「こいつと思考被った……しかもイナイレで……恥ずかしい……」


『【それにしても今のcubeの熱狂に微力ながら貢献できただけでも嬉しいです】』


「お前さえいなきゃ、第2回放送やる羽目にならずにすんだかもしれねーのになあ……」


『【ところで今、SNS上では柊木生のSNSからcubeの第2回放送の存在が明るみになっており、盛り上がりを見せています】』


「おお、タイムリーだな」


『【全国に散らばるcubeリスナーのために、僕の方で以前まとめたハイライトを再びTwitterに投稿したら、大反響がありましたのでご報告までに】……これはTwitterの投稿でしょうか?』



────────────────


so cube!!! 第2回放送まとめ


リク代表(イケメンの方)

・妹にしたいランキングを画策中

・妹じゃないという理由でお誘いを断る


ソラ参謀(イケメンじゃない方。闇落ちロリコン)

・手馴れたアンチ対応

・匿名でフラれる

・学校内で孤立

・闇堕ち

・cube OBを完全掌握

・OB全員を秒で土下座させる


────────────────


『……これだけ見ると、逆に第2回放送の内容の謎が深まっているんですが』


「こいつは本当に余計なことをしてくれる……っ!!!」


『他にもありますよ。キューブネーム:”我らcubist”さんから。【今日の放送はソラのことを知らない人もたくさん聞いていると思うので、私がソラの性格を完璧に表した二つ名を教えてあげます】』


「俺二つ名なんてあんの?」


『【ソラはよく、”ピンチの百戦錬磨”、または”リカバリーのスペシャリスト”とcubeのリスナー、通称cubiestの間では呼ばれています】』


「不名誉すぎる……」


『これを見ると柊木学園の生徒さんたちがちょっぴり羨ましいですね……なんか青春っぽくて!』


「どこに青春を感じたのか問いただしたいですね……やっぱ柊木生はみんな俺の敵かよ……」


『あ、そんなことありませんよ! キューブネーム:”参謀の参謀”さんから【参謀、全国放送で緊張していると思いますが、私はいつだって味方です!】』


「……そんなこと初めて言われるな」


『【今回の放送で参謀が失言をして、仮にSNS上で袋叩きになったとしても私だけはいつだって味方です】』


「いや縁起でもないこと言わないでほしいけど……まあ、そう言ってくれる人もいるのか。嬉しいわ」


『【だから安心して放送に臨んでくださいね!】』


「ありがてえ……」


『【たとえ参謀が女子小学生に手を出したとしても私は絶対見捨てませんから!】』


「できればそこはもう見捨ててほしい」


『と、さながら甲子園のイニング間に読まれるような熱い応援メッセージでしたね』


「なんか……内輪ノリに付き合わせてしまって申し訳なくなってきました」


『そんなことないです。私もその内輪の仲間に入れたみたいで本当に楽しいです! それにソラさんの愛されぶりが伝わってきますね!』


「これ愛されてる?」


『それでは最後の質問ですね。シンプルに一言。【ソラにとって妹とは?】』


「これなんかリク宛っぽい質問ですね。あいつなら長々語ってくれそうですけど」


『ソラさんは妹いらっしゃるんですか?』


「まあ……いますね。仲は良くないですけど」


『あらら……ソラさんはいいお兄さんをしそうですけど』


「いやーそれはないと思いますけどね。まあ昔はちゃんとお兄ちゃんしてたかもですね。その頃はまだ仲も良かったし」


『今はたくさん喧嘩しちゃうとか?』


「いや、むしろ喧嘩は全くしないっすね。本当に関わりがなくなったというか、持たなくなったというか……まあ仲良くできるならしたいですけどね」


『妹さんもきっとそう思ってますよ!……それではここで、名物コーナー、”あやのんチャレンジ”にいきましょう!』


「お、なんですかそれは?」


『これは視聴者から寄せられたお題をランダムで一つ、私と一緒にチャレンジしていくコーナーです。今日も視聴者からのお題がたくさん届いておりますので、ぜひこの中から一つ、取り出して書かれている内容を読み上げてください』


「お、なんかおみくじみたいなのがたくさん出てきた……この中から選べば良いんですね?」


『はい、良いお題をお願いしますね!』


「いや100パー運だと思いますけど……はい、取りました。中身はえっと……”お互いに向かい合って真剣な告白をする!”……ですね」


『ちょっと!? なんてお題を引き当てちゃってるんですか!? というかなんでそんな危険なお題が……』


「来崎さん。あっち」


『へ? あっちって…………あれ、どうしてブースの向こうで神崎さんがニヤニヤ笑ってるんでしょう?』


「まあ誰の仕業かは火を見るより明らかですね」


『ですね……私は初めて神崎さんに対してムカついてるかもしれません』


「あー、まあ……さすがの来崎さんでもそうなっちゃいますか……!」


『いきなりこんなことされたら、そりゃ当然腹が立ちますよね!』


「そりゃ立っちゃいますよね──中指」


『違いますね』


「え、じゃあ……親指でしたか?」


『違いますね。なんでこの状況で神崎さんに”グッジョブ!”みたいにサムズアップしてるんですか』


「ほんとすみません……人差し指でしたね」


『違いますね。なんでこの状況で”見とけよ”ってキメなきゃいけないんですか』


「あ、もしかしてブースの向こうに、コレがいたんですね」


『なんで小指立てて女がいるアピールするんですか! もう、違いますよ……』


「となると、残りの指は……」


『……さっきから立てた指が違うと訂正してるわけじゃないですからね!?』


「あれ、違いましたか」


『見えないからって嘘はやめてください!? 皆さん私は中指なんて立てたことないですからね!? そもそもそんな失礼なことはできませんってば……』


「おふざけはその辺にして、じゃあまずは僕からいきます」


『え、もういきなり!? まって私、心の準備が──』


「来崎さん──いえ、彩乃さん」


『え、あ、は、はいっ!』


「ひと目見たときから、彩乃さんに対して隠していた気持ちがあって」


『な、なんでしょう……っ!?』


「実は俺────うるう年生まれなんですよね」


『…………はい?』


「以上、僕からの真剣な告白でした」


『ふえ……? あ、こ、告白ってそっちですか……?』


「どうしました来崎さん? なんか顔赤いですけど」


『ひ、ひどいですよっ!? それならもっとわかりやすく言ってくださいよぅ……』


「でも今ちらっとブースの方見たら、携帯のカメラ構えてたスタッフさんが俺の方見て”いい絵取れたわ……こりゃバズるぜ。ソラ君グッジョブ!”みたいな感じでサムズアップ決めてましたよ?」


『へーなるほど? 今日の放送終わりの反省会が本当に楽しみで仕方ないですね。あとでその方のお名前をしっかりと控えさせてもらいますので、放送後にそのスタッフの顔を指さしてもらえれば助かります。ぜひご協力をお願いします』


「あれ今、中指が──」


『──なにか言いました?』


「──言ってないです」

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