第52話 巨人族との戦い

「ガアアア……!!」


 ズシンズシンとこちらを踏みつぶそうと迫りくる巨人族の一匹だが、その巨大さはやはり狭いダンジョンで動き回るのは相性が悪い。ダンジョン内で体が引っかかって身動きが取れない瞬間に、詩音がその足を両断していく。体液をまき散らしながら倒れていく巨人に対して、巻き込まれないように彼らは退避していく。


「このっ!食らえ!!」


 瑞樹は多脚戦車を召喚して、その胴体部の下部から粘着弾を射出してべちゃりと5mの巨人族の顔部に張り付く。そしてその張り付いた粘着剤に目を封じられた彼は暴れまわりながら壁に衝突して体液を待ち散らしていく。

 このダンジョン内部と巨人族というのは、極めて相性が悪かった。巨人族たちはその巨体はダンジョンではようやく動き回れるほどでしかない。そんな状況では彼らのポテンシャルを十分に発揮できるはずもない。

 そんな巨人族を上手くすり抜けながら下層へと向かって階段を必死に駆け下りていく。そして次の階層に突入した彼らだが、その階層はさらに強大な力を秘めた狂暴な巨人族の階層だったのだ。

 瑞樹たちが下りてきたのを見た瞬間、怒り狂った巨人族はダンジョンの壁をぶち破ってこちらへと進撃してくる。さらにそれだけではなく、壁の残骸を掴むと、それを投擲武器として投げつけてきたのだ。

 質量は純粋な武器である。そんな巨大な瓦礫が命中すれば彼らもトマトのように潰れかねない。


「仕方ない……!!地竜化ッ!!」


 瑞樹がそう叫ぶと同時に、シュオールの鱗が搭載された多脚戦車はベキベキと音を立てて変形を開始し、巨大な地竜になって彼らを瓦礫から防御する。地竜の強靭な装甲は、高速で飛来する瓦礫を固い音を立てて弾き返す。

 だが、今度は巨人は無数の瓦礫を手にすると、それを投げてくる。無数の瓦礫はまるで散弾銃の散弾のように高速で彼らに襲い掛かる。


「うわーっ!!《聖盾》ッ!!」


 地竜がガードするだけでなく、姫奈は聖盾を展開して皆を防御して散弾のような瓦礫の余波から皆を防御する。地竜の装甲と聖盾の防御により、散弾のような瓦礫を何とか彼らは防御する。再度攻撃を行おうとしている巨人に対して、その顔面に襲い掛かる影が存在する。それはドローンゴーレムが変化したワイバーンである。

 ワイバーンと化したドローンは的確に巨人の目を攻撃して瞳を切り裂いていく。悲鳴を上げている巨人に対して、地竜は牙をむきながら襲い掛かり、首元へと噛みついていき、そのまま首をへし折っていく。

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