第47話 多脚戦車強化と竜変化。

「それでさらに多脚戦車を強化したいんだけど……何か手段とかあるかな?後やることと言えば魔力容量を増やすとか?」


 一回しか撃てないというのなら、その分魔力容量を大幅に強化すればいい。至極当然ではあるのだが、それでもそんな大容量の魔力蓄積装置が積み込めるはずもない。

 大容量の魔力蓄積装置を積み込めば、その分機体が巨大になり、使役するのがさらに難しくなっていく。巨人族に対してはそれでいいかもしれないが、これから先の事を考えると機体が大きすぎると狭いダンジョン攻略は困難になってくる。

 どこの世界でも容量を大きくするのは機体が大きくするのは避けられないらしい。

 どこかに小型軽量の魔力蓄積できるような物はないか、と考えていた瑞樹たちのところにシュオールが話しかけてくる。


「ん?小型軽量の魔力蓄積?なら妾の鱗をくれてやろうか。妾の鱗ならばいくらでも魔力の蓄積が可能だぞ。まあその分蓄積するだけの莫大な魔力は必要になるが、それはこのダンジョンで蓄積していけばよかろう。」


 いかに膨大な魔力蓄積ができるといえど、シュオールの鱗一枚とDの巨大極まりないダンジョンが生み出す魔力量は十と一万ぐらいの差がある。

 ここからあふれ出す膨大な魔力からすればすぐさま補充はできるはずである。


「ふむ……。それならさらなる強化というのはどうじゃ?妾の鱗を触媒とする術式で、一時的に多脚戦車を竜化するというのはどうじゃ?D様が認めているそなたなら妾の力を分け与えてもいいぞ?」


 おお!とそのシュオールの言葉に、思わず瑞樹も喜びを隠せなかった。竜を使役するなど、その辺の冒険者でもまさに憧れの的である。竜騎士、ドラゴンライダーなどと言った二つ名は魔物使役者の中では憧れの二つ名である。

 だが、シュオールは地竜のためワイバーンのように乗りながら空を飛ぶのは難しいが、それでも竜を使役するのは強大な力になることは間違いない。

 この鍛冶階層も広大な空間であるため、他の高炉などない場所で変身すれば問題あるまい。周囲の施設がない場所まで行った所で、竜変化を行ってみた瞬間、多脚戦車は物理法則を無視してベキバキとその機体を変化していく。

 そして、次の瞬間、金属の鱗で覆われ、瞳も赤い人工的な瞳でありどことなくメタリックな5mほどの地竜へと変化する。


「グァアアアアアア!!」


 その機械で組みあがったかのような多脚戦車地竜は、口を開けて天を上げて咆哮を開始する。ドラゴンブレスの代わりにおそらく口から魔術砲台と同じ魔力加速砲であり、そこから魔力を加速して射出することが可能だろう。これから巨人族に対しても対抗できる力になるはずである。






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