第16話 バジリスクとの戦い
その後、ゴブリンを倒した後彼らはドローン型ゴーレムとストーンゴーレムを先行させて、その後を続くという形を取っていた。
罠のありそうな扉は、ストーンゴーレムの一撃によって叩き破り、弓矢が左右から飛んでくるアロースリットがある場所でもストーンゴーレムは小動ぎもせずに弾き返しながら進んでいき、アロースリットの部分を叩き潰していく。
「うーん実に力技。でもこれだと落とし穴にゴーレムがはまったら偉い事になるからそれは気を付けてね~。」
それに頷きながらも、やはりゴーレムの操作がいちいちマニュアル操作であるというのは集中力も負担がかかるし、疲労もある。
慣れた魔物使役は、マルチタスクで複数の魔物を操ることはできるというが、それら魔物を全て完全にマニュアルで動かすなど流石に不可能である。
各自が自意識を持った存在を纏め上げて的確な指示を出して敵を攻撃する。それこそが優れた魔物使役者というものであろう。
(やっぱりゴーレムにAIを搭載してある程度自律機能を持たせるべきか。しかしへっぽこAIだと敵の罠にはまったりしそうだから問題もあるよな……。ともあれ、Dと色々相談してみるべきか。彼女なら何とかしてくれるだろう。)
そう思いながら、ドローン型ゴーレムを先行させて落とし穴を警戒したり罠を探して、ストーンゴーレムで進んでいくが、ちょこちょこ出てくる怪物たちはストーンゴーレムにとって全て叩き潰されていった。そして、奥に進めば進むほど、さらにダンジョン自体からの敵意が増していく。それはまさに殺気と言っても良かった。そして、ついに最下層に辿り着こうとした瞬間、ドローン型ゴーレムはその手前で異形の怪物の存在を発見した。
「こ……これはバジリスク!?」
そう、それは頭に王冠のようなものを載せているかなり大きめの蛇、すなわちバジリスクである。
バジリスクの厄介な所は視線だけで相手を石化することができ、その吐息から何まで全て猛毒という事である。前線で戦う戦士たちにとってはまさに天敵とも言える敵だ。真向面から戦ったら毒や石化などで瞬時に倒されてしまうし、バジリスクの猛毒は武器を通して戦士にまで伝わって死に至らしめるといわれるほどだ。到底真向面から戦うべき怪物ではない。
「……でもオタクくんのはガンメタ張ってるもんね~。ストーンゴーレムに石化とか毒とか通用しないし、毒に塗れても私が解毒できるしね~。おまけにバジリスクにはストーンゴーレムを破壊できるだけの破壊力ないし。行け!オタクくん!!やっちまえ!!」
「了解ッ!行けストーンゴーレム!!」
自分たちは被害を受けないように通路の曲がり角の向こう側からストーンゴーレムを操作させ、バジリスクへと接近させていく瑞樹。
ゴブリンの攻撃はその硬い石によって弾き返された際に、フィードバックとして多少の感覚は伝わってきたが、ストーンゴーレム自体に毒が通用しないのなら別に毒に侵されても瑞樹にフィードバックは伝わってこない。ストーンゴーレムが破壊されればフィードバックも襲い掛かってくるかもしれないだろうが、バジリスクにストーンゴーレムを破壊できるほどの破壊力はない。通常ならばこれで完封なはずである。
ズシンズシンと四足歩行で接近してくる振動に気づいたのか、バジリスクはこちらに対して迎撃態勢に入る。シャー!!と威嚇するバジリスクだが、そんな事は気にせずストーンゴーレムは足音を立てながら接近し、攻撃を仕掛ける。そうして、バジリスクとストーンゴーレムとの戦いは始まった。
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