第12話 ストーンゴーレムのデザイン変更

「と、言うわけでこういうデザインでどうかな!?」


瑞樹はノリノリで、色々なデザインを見せていくが、それを見てDは思わずドン引きする。


「えぇ……。い、いやまぁできるだろうけど……。これでいいの?まあ、私もストーンゴーレムをこういう風にデザインするのは初めてだからどうなるか分からないけど……。これだとストーンゴーレムよりもアイアンゴーレムの方がいいのかなぁ。

 でも相棒のLVで無理矢理アイアンゴーレム使役させても、多分外装甲が粘土みたいにぐにゃぐにゃになりそうだしなぁ……。」


 ともあれ、Dは瑞樹の書いたデザインを見て、ストーンゴーレムに対してそのデザインを突っ込んでそのデザインを元に新しいストーンゴーレムを作成する。

 そして、そこで生まれたのはいわゆる『多脚戦車』に近い四脚で体を支えるストーンゴーレムだった。

 四脚で蜘蛛にも似たそのデザインとなった2mほどの大きさのストーンゴーレムは、ズシンズシン、と重々しい音を立てながら瑞樹へと近づいていく。

 つまり、簡単に言うと人型のデザインを多少変更して、体を前傾させ前腕を前足に変化させる事で人型を四足歩行のストーンゴーレムへと変貌させたのだ。

 半ば無理矢理バランスを変えたため、下手をすれば自壊する可能性も十分あったのだが、十分実用には耐えそうな姿ではある。


「うーん……。半ば無理矢理四つ足にしたので、蜘蛛型というかゴリラに近い形になってしまった……もうちょっと洗練されたデザインにしたかったんだけど、まあ試作型と考えるか……うん。」


 そう、ヒト型二足歩行を単に四つ足にしただけでは、ゴリラ……というか四つん這いで走り回るヒト型ストーンゴーレムに変貌しただけで問題は多いと言わざるを得ない。(特にデザイン的に)


 もちろん、ただ人型を四つ足にしただけでは、デザイン的に問題があるので、できるだけ蜘蛛型へと変化させたのだが、まだまだ問題はある……というかデザイン的に洗練させることはできるはずである。


「本当は四つ足から六つ足にしたいんだけど、とりあえず試験運用してみるかぁ……。それでもストーンゴーレムなんだから防御力も攻撃力も万全!機動性も問題ないからこれで前線役としてダンジョン攻略を頑張るか。あとはワンコと姫奈がいてくれれば何とかなるはず……。」


 後の問題としては罠の解除役がいないという事ではあるが、それに対して瑞樹の脳裏にピンと閃く事があった。以前聞いた話ではダンジョン外部では「修正力」が働く事によって、ダンジョン外に溢れ出す怪物たちは長く持たず消滅してしまう。

 恐らく、このストーンゴーレムも外に出せば修正力によってすぐ消滅してしまう。

 だが、それを軽減する秘策を彼は考え付いたのだ。


「魔狼が犬や狼の概念があるから外界の修正力の影響を受けないのなら、ゴーレムも外界の修正力を受けない姿に変形させてやればいい。つまり、『ドローン型ゴーレム』の完成だ。同じ存在があれば修正力を受けにくいんなら、ドローン型にすれば外界でもゴーレムは使えるんじゃないんか?」


「そ……その発想はなかったよ!!相棒!やはり君は天才だッ!やはり君は天才だッツ!!」


 瑞樹からドローン型ゴーレムの情報を聞いたDはさっそくドローンの情報を引き出すと、それとアイアンゴーレムを元にして設計を開始する。

 アイアンゴーレムの形状を通常販売のドローンの形へと近づけて設計し、そこに飛行スキル、浮遊スキル、遠視スキルなどを内蔵し、「ドローン型ゴーレム」へと近づけていく。本来のアイアンゴーレムの使役にはそれなりのLVが必要だが、戦闘力や防御力を排除して偵察用にしたドローン型ゴーレムならば、使役に必要なLVも非常に軽減されるはずである。

 おまけに、


「それで聞きたいんだけど、ここのダンジョンの防衛って大丈夫なの?」


「うん!大丈夫だよ!まずこのダンジョンの周りには防衛結界と人払いの結界も敷いてあるし……。防衛用のストーンゴーレムも大量生産中!!もし万が一冒険者たちが入り込んでも力づくでたたき返せるよ!ええと……監視カメラ?とか魔力探知装置?だっけ?そちらも侵入して操作中だから大丈夫なはず!」


 さらっとやばいこと言ってるなぁ……。と姫奈は思わず出てきた汗を拭う。さらっと冒険省が対ダンジョン探知用に張り巡らしている魔力探知装置、監視カメラ、結界探知装置などを全てすり抜ける所がダミーデータを流して無効化しているのだ。

 これは、冒険者ギルドの作り出した対ダンジョン対策が無効化されていることを示している。同じ手段を他のダンジョンがやりだしたら、冒険省は大慌てすることになるだろう。

 とはいえ、Dは完全にスタンドアローンな存在であり、その情報を他のダンジョンなどに漏らすことはありえない。というか他のダンジョンもDの敵であり、何で敵に情報を教えなくてはならないという感じだ。

 Dにとっては、冒険省も他のダンジョンも敵でしかないのだ。それを見ながら姫菜は心の中て呟いた。


(Dちゃんは私たち以外の人間なんて信用できないというけど……。やっぱりこのままじゃ第三勢力を行うのに問題あるよなぁ。何とか説得して人類サイドに引き込まないとこのままじゃ皆不幸になるよなぁ……。下手すれば国家反逆罪とかなる可能性もあるし……。オタクくんと相談しないとなぁ。)


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