1079 目的有りきの自戒

 一見すると自身の才能に無自覚に見える眞子。

そんな眞子を見て奈緒さんが少々不安に成ったので、そこを突いてみたら……


***


「ハァ……奈緒ネェ、その辺なら心配御無用だよ。今まで知らないフリしてたけど、もぅ正直言うね。私、自分の才能には十分気付いてるから」

「うん、知ってるわよ。それに、ワザと、それを人前で言わない訳も知ってる。……でもね、眞子。自分の力は、少しなら誇示しても良いのよ。眞子は、必要以上に隠そうとし過ぎなのよ」


……だと思ったよ。

結局の所、敢えて私の口から、それを言わせたかっただけだったんですね。


けど、まぁ良いか。

これ自体が、奈緒ネェを安心させる為に発した言葉なんだしね。

……でも、そう思う反面。

此処でキッチリ言って置かなきゃイケナイ事もあるから、そこだけはハッキリと言って置くね。



「別にね。奈緒ネェが言う程、特別、なにかを隠してる訳じゃないんだけど。これはね。自分を戒める為にやってる行為なの。慢心しない為の自戒」

「ふ~~~ん。その言い様だと目的有りなんだ。……でも、それは当然、仲居間さん絡みになるんだろうね」

「うん、そぉだよ。そこは奈緒ネェの言う通り、私は、崇秀と一緒に、もっと高見に行く事だけを目標にして生きてるの。だから、慢心してる暇なんて微塵もない。これは、その為の自戒。……だから、奈緒ネェとは言え。もぉ此処には2度と触れて欲しくない。自分の才能なら十分な位に自覚してるから」

「そっか。……じゃあ、眞子に、もぉ言う事はなにも無いよ。此処からは眞子のお望み通り、正々堂々と勝負だけをしてあげるから」

「うん♪向井姉妹の姉と妹。ドッチが良い女か手加減無しの勝負だよ。……此処だけは奈緒ネェと言えども、絶対に負けないからね」

「言う言う」


負けませんよ。


だって私は、あの仲居間崇秀が『ちょっとだけ』認めてくれてる女なんですから、頑張れば『ちゃんと認めて貰ってる』奈緒ネェにも勝てるかも知れませんからね。


やれば、なんとかなる!!


……かも知れない。



だから……弱腰也とも宣戦布告ですよ。



「……なんて姉妹なんだ、君達は。思考が壊れ過ぎてるな」

「そぉ?眞子をボコボコにするのなんて、最初から私の中で決まってた事ですから。別に、こんなの、なにも壊れてないですけど」

「なっ?最初から決まっていただと?……まさか奈緒」

「えぇ、今回は温情のつもりで、眞子を【GREED-LUMP】メンバーにするつもりでしたけど。此処までハッキリと『宣戦布告』されたんじゃ温情を掛ける気も失せました。仲居間さん共々、地獄に叩き落してやりますよ」

「しっ、信じられないな。……それは、本当の姉妹じゃないから出来る事なのか?」


そこは違いますよ。

例え血は繋がってなくても、間違いなく奈緒ネェは、私の本当のお姉ちゃんなんですよ。


だからこそ、こうやって課題を与えてくれてるんです。


けど、理論的に考えるホランドさんなら、そう言う一般的な見解が出てもおかしくはないのも事実。


だから、ムキになって怒ったりはしませんけどね。



「そうですよ。奈緒ネェとは血の繋がってる姉妹じゃないからこそ、お互いが深い繋がりを求めてるんです。馴れ合いと、本当の優しさは、根本的に違うんですよ」

「あっ、眞子。それ、上手く纏めたね」

「でしょ。でしょ」

「けどさぁ。奈緒に、鞍馬。姉妹仲良く一緒にとは考えないの?」

「考えないね。そこは姉妹とは言え、個人を尊重するのが私達のやり方。干渉しあってバッカリじゃ意味が無いもん。基本的には、自立自立」

「ふ~~~ん。そこまでお互いで考え合ってるんだ。……だったらさぁ、アンタ等の最終的な目的って、なんになるの?」


また、豪く当たり前の事を聞くんですね。


そんなの言うまでもなく、決まってるじゃないですか。

多分、この最終目標は、奈緒ネェも一緒だと思いますよ。


……って事で、せぇ~~の!!



「「彼氏に自慢して貰う事」」

「ブッ!!なにそれ?ちっちゃ!!ショボ!!」


なんでですか?

全然ちっちゃくも、ショボくもないですよ。


そりゃあまぁ、確かにね。

エリアスさんの言う通り、真琴ちゃんに自慢して貰っても、話自体が一気にちっちゃくてショボイ話に成りますけど。

崇秀に関しては、皆さんもご存知の通り人物なんで、この目標は全然、ちっちゃくもショボくもないですよ。


奈緒ネェには悪いけど、此処だけは、根本からして『彼氏の質』が違いますからね。


でも、正直に言ったらドツキ廻されそうなので、此処は大人しく辞めときます。


賢くダンマリです。



「全然ちっちゃくないちゅうの。女にとっちゃあ、それが一番大事な事。まぁ、小娘のエリアスには、この感覚は解んないと思うけどね」

「あの、奈緒。一応は私、これでも年上なんだけど」

「年は上でも。彼氏居ない歴が、生まれた年数の18年だけどね」

「ほっといてよ!!」

「まぁまぁ、それ程、良いものだって話ですよ」

「がぁ~~~っ、鞍馬にまで言われた」


そりゃあ言いますよ。

私には、世界一立派な自慢出来る彼氏居ますからね。


しかも初彼氏で、崇秀をGETしました。


自慢です。



「なんなら、誰か紹介しましょうか?知り合いの男性なら一杯居ますよ」

「うわ~~~っ、ムカツク、この子」


そうですよ。

最近の私は、とても嫌な子なんですよ。


これが本性です。


さっき少し化けの皮が剥がれたんで、少々本性を現しております。



「良かったじゃない、エリアス。眞子に、男を紹介して貰えば」

「嫌よ。絶対嫌。なんで年下の鞍馬に、男を紹介して貰わなきゃならないのよ。そんなの嫌に決まってるでしょ」

「えぇ~~~っ、酷いなぁ。これでも、良い人を一杯紹介できるんですよ」

「でも、イラナイ。そんな屈辱を受けてまで、彼氏なんてイラナイから」

「そうですか、それは残念ですね」


でも、もぉ一回、確認の為に言って置きますけど。


彼氏が居ると言うのは幸せなものですよ。

それに自分を良い様に見て欲しいから、色んな意味でヤル気が出ますので、自分磨きでパワーアップもしますよ。


まぁ……私が、エリアスさんに、それをした場合『敵に塩を送る』のと同じ事になっちゃうんですけどね。



「じゃあ、この話は、エリアスが独り身で、寂しいクリスマスを送るって事で終了ね」

「なに、その言われ様……」

「……さて、眞子」

「ハァ~~~ッ、出た出た。無視すると思ったよ」


無視はもぉ恒例行事ですね。


……っで、奈緒ネェなに?



「一応だけど【GREED-LUMP】のライブチケット渡して置くね。ライブを見て気が変わったら、いつでもウチのバンドにおいで」


そう言って奈緒ネェは【奈緒グリ】のチケットを私に手渡してくれた。


結局、奈緒ネェは、こうやって最後まで心配してくれるんだよね。


何所までも、お節介なお姉ちゃんだよ。


***


 まぁ……そんな感じで、今回の話は終わりなんだけど。


それにしてもなんだね。

来週の木、土、日曜日が、これでライブ観戦で全部埋まっちゃったね。


本当は……崇秀のお手伝いをする為に予定を空けてたんだけどなぁ。


なんじゃね、これは?



今後の展開に、イヤな予感しかしませんね。



あの……所で、私の『息抜きの話』は、何処に行っちゃったんでしょうね?


***


―――次回予告。


終わる事の無い勧誘。


他のみんなの受験問題で大忙しな、この時期なのに。

何故か、こう言う困った問題だけはドンドンと増加の一途を辿る。


そりゃあ迷惑とは思わないけど、流石に……ねぇ。


……次回。


『Study & Love%』

「勉強と好感度」

……を、お送りします。


なんかこのタイトルには、別の意味で不穏な空気が流れてますね……

これ、本当に大丈夫な方向なの?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>

これにて第一章・第六十三話【Many live and invitation(多くのライブの勧誘)】はお仕舞に成るのですが、如何でしたでしょうか?


少々簡単に纏めて置きますと……

①素直ちゃんからは『3B-GUILD』へのライブのお誘いがあり、今の所、倉津君と行く予定。

②『無名』のライブは、山中君から倉津君がチケットを貰ったので、受験勉強の息抜きとしてコチラも眞子と行く予定。

③奈緒グリに眞子を入れたい奈緒さんから『奈緒グリ』のライブチケットを直接渡された。

……っと言う感じで、今後3つのライブに行く予定と成っております♪


それでまぁ、此処で今回起こっている問題と言うのが。

倉津君。

①素直ちゃんとの恋愛問題の解決。

(これはかなり難易度が高い(笑))

眞子。

①眞子争奪戦に於ける自身の身の振り方。

(コチラも重要(笑))

……っと成っております。


まぁまぁ流石に、倉津君の問題は『序章から続く様な根の深い問題』ですし。

眞子に関しても、今後の人生にかなり影響のある話なので、アッサリ解決する様な話ではないので。

次回から始まる、第一章・第六十四話【Study & Love%(勉強と好感度)】では、この問題解決に向かう為の一石を投じたいと思いますので、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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