1078 ホランドさんの決意と、その結果

 眞子の才能を再確認し、奈緒さんは再度オファーを掛けたのだが、矢張り答えは「NO」

それを聞いた奈緒さんは、取り敢えず飽き等めるのだが。

眞子を本気で奈緒グリに誘いたいホランドさんは、それが納得出来ずに……


***


「待て2人共!!そんな事をして、なんの意味がある!!……オマエ達2人が、一番、眞子の参入を望んでいたんじゃないのか?」


あっ……ホランドさん。



「気が変わりました。こんな人の好意を無にする様な小生意気な小娘【GREED-LUMP】には要りませんよ。もぉ却下です却下」

「なにを言ってるんだ?眞子は、奈緒の妹だろ」

「関係ありませんね。私が気に喰わないだけですから」

「賛成。私も気に喰わないから入れない」

「……オマエ等」


そぉ……


奈緒ネェは、いつもの事だけど。

さっきの私の演奏は、エリアスさんの気持ちとしては穏やかじゃなかったと思う。

あんな『隠し芸レベルの芸当』だったとは言え、自分に出来無い事を、目の前で誰かにやられて良い気分な筈が無い。


それが特に同じベースシストにもなれば、尚更だ。


だから、此処は深い敵対心を持って貰って良いんです。


あぁ、でも……せめて、普段は仲良くして下さいね。

エリアスさんに嫌われるのは嫌ですから。



「よし。じゃあ、これで、鞍馬ちゃんの【GREED-LUMP】参入の話は100%無しって事で決定だな」

「ちょ!!先生、待って下さい。私は、まだなにも納得してませんよ!!」

「ほたえるな小僧!!姉である奈緒ちゃんが納得して、ライバルであるエリアスちゃんが、そう決めた。それで鞍馬ちゃん本人が、自らの意思を示して強い覚悟を見せた。それを男のオマエが、ミットモナク、ピィピィほたえるな」

「しかしですね、先生。眞子の可能性は無限大に広がっています。それをムザムザ他人の手に渡すなど愚の骨頂ではありませんか?」

「ホランド……じゃあ、そこまで言うなら、全てを捨ててでも鞍馬ちゃんの才能に賭けてみる覚悟はあるのか?無いなら、これ以上口を挟むな」


いや……ジムさん、それは言い過ぎですよ。

幾らなんでも、そんな無茶な注文は言っちゃダメですよ。


大体にしてホランドさんが抜けて【GREED-LUMP】が崩壊しちゃ、意味が無いじゃないですか。


それじゃあ、まさに本末転倒です。



「良いでしょう。元より私は眞子に救われた身。【GREED-LUMP】に愛着は有れど。それ以上に、私を引っ張り出してくれた眞子には感謝の念が尽きない。その話、乗りましょう。私個人が、全力で眞子を取りに行かさせて貰います」

「ちょ……」


だからダメだって!!



「良いね、良いね。ホランドの脱退は痛いけど。その眞子に対する本気は買わさせて貰うよ。思う存分、やっちゃえば良いよ」

「異存なし」


コラコラ!!そこで女子2人も悪乗りしないの!!


そんな事が許される訳ないですよ。



「悪いね2人共。私にとっては【GREED-LUMP】より、眞子の方が比重が重い。そこを理解して頂いた事には感謝する」

「なら後は、お互いの意地を通す為にも、多くを語らず。此処からは全力でブチ当たりましょうね」

「あぁ、それこそ、君達が後悔する程にな」


奈緒ネェも、エリアスさんも、ホランドさんも、ちょっと落ち着いてって!!


……って言うか!!

私を抜きにして、勝手に話を進めないで下さいよぉ。



「あっ、あの、私、ホランドさんイラナイです」

「ブッ!!」

「ちょ!!鞍馬!!覚悟を決めた男に、それは酷いんじゃない?」

「全然、酷く無いですよ。……って言うか。私の目標の1つを勝手に潰さないで下さいよぉ。大体ですね。今現行の戦力のままの【GREED-LUMP】を倒さなきゃ意味が無いんですから、なにを言ってもホランドさんは【GREED-LUMP】に固定です。脱退は許しません」

「うわ~~~っ、果てしなく、自分勝手な言い分だね」


そうですね。

確かに、自分勝手な言い分ですね。


でも、奈緒ネェの大切なバンドに、そんな悪影響を及ぼす様な無意味な脱退は認めませんよ。


ダメです。


メッですよメッ!!



「全然、自分勝手じゃないですよ。寧ろ、自分勝手なのはホランドさんじゃないですかぁ。なに、他のメンバーの人達と相談もなしに、バンドを辞め様としてるんですか?ダメですよ、そう言う我儘は。だから、今のまま頑張って下さい」

「いや、眞子。それは、あまりにも不条理だろ。一体なにを考えてるんだ君は?」

「なにも考えてませんよ。【GREED-LUMP】は、奈緒ネェ、エリアスさん、エディさん、ディックさん。……それにホランドさんが居て、初めて機能する最高のバンドなんです。だから、そんな自分勝手な理由で、バンドを辞めちゃイケマセン。自分の事バッカリ考えてないで、ちょっとはファンの方に申し訳ないと思って下さい」

「うわっ!!本当に、この子、自分勝手の塊だ」


なんか言いましたか?


もし、なにか言ったとしてもですね。

この件に関しては、絶対的に却下ですけどね。


私に命令出来るのは、崇秀だけですから。


そんで奈緒ネェは、姉妹だから諦めて、我儘を聞いて下さい。

最後に、エリアスさんも大好きだから、我儘を聞いて下さい。



「うぅ~~~、訳が解らん。では1つ聞くが眞子。それは、君が一番望む事なのか?」

「あぁ、はい、そうですよ。ホランドさんは【GREED-LUMP】の為だけに一生懸命演奏して下さい。それが私の一番の望みです。私の事なんか考えちゃダメです」

「そうなのか?……なんか、納得出来無い理由だな」

「じゃあ、無理矢理納得して下さい。兎に角、ホランドさんの脱退の件は白紙です。良いですね、奈緒ネェ、エリアスさん」

「あらら。なんか、メンバーでもない人に、勝手に仕切られてるよ」

「そんな事を言ってもダメですよ、エリアスさん」


兎に角、ダメなんです。


許されざる者です。



「もぉしょうがないなぁ、この子は。じゃあ、ホランドの件は白紙にしてあげるよ」

「ふふっ、ヤッタ!!奈緒ネェなら、そう言ってくれると思った。大好き♪」

「もぉ、相変わらず、調子良いなぁ。……って事だから、エリアス。ホランドは在籍したままね。OK?」

「勿論、良いよ。……って言うか。あぁは言って見たものの。正直言うと、かなり『ホッ』っとしてるよぉ。ホランドさんがバンドを抜けたら、実際は大打撃だからね」

「うん?エリアス。それは最初から無いわよ。ホランドは【GREED-LUMP】抜けれない運命。眞子が、そんな事を許す訳ないもん」

「じゃあ、奈緒、鞍馬が止める事を解ってて、ホランドさんをワザと嗾けたの?」

「当然でしょ。……眞子には、いい加減、『自分の価値を、少しは知っておかさないとイケなかった』からね」


あぁ……こう言う話を此処まで引っ張った理由は、ヤッパリそこなんだ。


でも、価値って言われてもねぇ。



「なぁ~んだ。意外と、奈緒も人の子なんだね。なんだかんだ言ってても、結局は、鞍馬が心配なんだ」

「そう言う事。自分の大切な妹を心配しない姉なんて、本当の姉妹じゃないわよ」


ハァ~~~っ。

此処まで奈緒ネェに心配掛けてる様じゃ、しょうがないなぁ。


じゃあ少しだけ、心の奥底にしまって置いた本心を語らせて貰おうかな。


それを聞いて貰って、せめて少しはは安心して貰わなきゃね。



でも、この私の本心って言うのが、結構厄介でね。

……本当は、あんまり口に出して言いたくはないんだよね。


それに、なぁ~~~んか、奈緒ネェの罠の臭いがプンプンするんだよね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


ホランドさんが、奈緒さんとエリアスさんの意見に賛成しなかったものの。

結局、眞子の要望を第一に考え、コチラも取り敢えずは眞子の参入を諦めたみたいですね。


相変わらずホランドさんは、眞子には甘いのです(笑)


さてさて、そんな中にありながらも。

そこで奈緒さんが心配してる様子を感じた眞子が、なにやら自分の本音を話すみたいなのですが。

一体、何を話すつもりなんでしょうね?


次回はその辺を書いて行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る