1073 早期帰国理由を聞こうとしたら、脱線しました

 飯綱ちゃんが蓮高の推薦合格を果たしたので、そのお祝いに『ズワイガニ』を要求して来たのだが、現在の眞子の経済状況では購入は不可能。

なので「どうしたもんかなぁ?」と悩んでいたら、発泡スチロールを持った奈緒さん達がやって来て……(笑)


***


 ……そうやって訳も解らないまま。

奈緒ネェ達を家に招き入れて、部屋には案内したんだけど。


それを終えると、私自身は、そのままその場には居らずに。

【Nao with GREED-LUMP】のメンバーが『何故、早期来日したのか?』の謎を解明したくて、奈緒ネェが調理している台所に向かって行く。



「……奈緒ネェ」

「うん?あっ、眞子。……コッチ来たんだ。じゃあ序に、手伝い宜しく」

「あぁ、うん。解った。……あぁ、いや、そうじゃなくてね。なんで、こんなに早く来日したの?奈緒ネェ、向こうで、なにか有ったの?」


そう言いながら、一応、野菜を切ったりしながら手は動かす。

そのまま突っ立って話を聞いてるだけじゃ、ただの時間の無駄だからね。


あぁそれはそうと、やはりあの発砲スチロールの中味はズワイガニでしたね。



「特になにも無いわよ。ただ単にホランドの師匠であるジムさんが、日本に行く予定があったから、来日を早目に設定しただけ。まぁ要するに、ライブ前の休養を兼ねて温泉巡りをしに来たって処ね」

「あぁ、そうなんだ。何事かと思ってビックリしたよ」


温泉めぐりですか……

これはまたメジャーバンドはゴージャスな事ですね。


私は、水蟹も買えないって言うのに……



「なんでビックリするのよ?【GREED-LUMP】は、眞子にとっても家族みたいなものでしょ。だったらビックリする必要なんてないんじゃないの」

「えっ?……家族?」

「嫌なの?」


いえいえいえいえ、滅相もございません。

私は、奈緒グリのメンバーもジムさんも大好きですから、嫌なんて言葉は微塵もありませんよ。


でも、私……そのメンバーじゃないんだけどなぁ。


そんなんでも大丈夫ですかね?



「そんな事ないよ。いつ来て貰っても大歓迎ですよ。嬉し過ぎますよ」

「じゃあ、それで良いじゃない。……ハイ、お仕舞い」

「あぁ、いやいや。でもさぁ奈緒ネェ。私メンバーじゃないんだけど。みんなは、それでもOKなの?」

「ふふっ、おかしな事を言うのね。嫌だったら来る訳ないでしょ。みんな、眞子に逢えるのを楽しみにしてたわよ。……特にエリアスがね」

「エリアスさんがですか?そりゃあまた、なんで?」

「なんで?って……ほらほら、あの子。前にエディ達が来日した時、此処に来れなかったでしょ。あの時、実は、あの子、風邪引いて部屋の中でダウンしてたのよ。だから、そう言う想いが募ってるんじゃないの」


あの時、エリアスさんが居ないと思ってたら……風邪引いてたんだ。

エリアスさんって小さくて可愛いから『ぷちゅん!!』とかクシャミしてそうだね。


なんか小動物っぽくね。



「へぇ~~~、そうなんですね。でも、前々から仲良くはして貰ってましたけど。なんか、そんなに想って貰えてると解ったら、凄く嬉しいですよね」

「そうね。【GREED-LUMP】のメンバーに、これだけ想って貰えるのは、世界で眞子だけなんじゃない」

「いや、そんな事ないですよ。美樹さんだって、みんなと仲良くして貰ってる筈だもん」

「ププッ……それもそうだね」


あれ?なんだろうね?その不敵な笑いは?


ひょっとして美樹さん、また、なんかやらかしたのかなぁ?



「奈緒ネェ、その笑い方って……また美樹さん、なんかあったの?」

「ププッ。なきゃ笑わないわよ。最近、私達の間じゃ、美樹は萌キャラ扱いだからね」

「美樹さんがですか?……あぁでも、なんか解る様な気がしますね」

「でしょ。それに、この間、あの子、とうとう『伝説の防具』をエディに使っちゃったからね。流石に、あれは笑ったわ」


あの人だけは……ほんと、人の話を聞いてるのかなぁ?

あれだけ『気安く装備しちゃダメだ』って念押しして言ったって言うのに、なんでその忠告を無視してまで、あの呪いの防具を簡単に装備しちゃうかなぁ?



「えぇ~~~っ、まっ、まさかとは思いますけど。あの、呪われた伝説の防具を装備しちゃったんですか?」

「そぉそぉ、そうなのよね」


もぉ……


厳重に封印されたと思ってたのに……早くも封印を解いちゃったんだ。



「しかもね。寄りにも拠って、エディの11月の誕生日にやっちゃったのよ」


あのお姉さんだけは本気でアホなんですか?

まだその呪われた防具を使うのは先だって、あれ程、口を酸っぱく忠告もした筈なのに……


さてはあの時、まだ納得してなかったぁ~~~。



「あぁ、やっちゃったんだ。……っで、反応は、どうだったの?」

「それがね。悪い事に、エディって性格が子供っぽいでしょ。……だから、その場で笑い転げっちゃったのよ」

「あらら。それはまた酷い結末ですね。……けど、それじゃあドッチもドッチですね。完全にお笑い系の、ちょっとしたコントじゃないですか」

「確かにね。……けど、決死の覚悟の美樹にしたら、笑われるなんて思ってなかったから。急に恥ずかしくなって、ちょっと怒ったまま日本に帰っちゃったのよ」

「あぁ、そう言う事だったんだ。だから今日、その謝罪も込めて、美樹さんも、エディさんも居ないんだ」

「そぉそぉ。今頃、浦安のネズミー・ランドでデートでもしてると思うから。そろそろ仲直りしてるんじゃないかな」

「そっか、そっか。それは凄く良い事ですね。でも、それだけで美樹さん『萌キャラ扱い』なんですか?」


叩けば、まだまだ埃が出て来そうな雰囲気だから、此処は容赦なく、思いっ切り叩いてみましょう。


笑い死にを覚悟の上で。



「……な訳ないでしょ。あのスットコドッコイが、その程度で終わる訳ないじゃない」

「あの、聞くのが非常に怖いんですけど。……その他にも、まだなにかやったんですか?」

「いや、そんな期待する程の大した話じゃないんだけどね。実は美樹ってね。体の割りに足が小さいから、慌てると、直ぐにコケるのよ。っで、そのコケた時に、あの子『にゃ』って言うのよね。それを見たみんなが面白がって、美樹がコケると、一斉に『にゃ』って言う様になって、萌キャラ扱いされてるって訳」


パッ……パクられた。


美樹さんはキャラ泥棒だ。

私が意図的にやってる『こけた時に、ニャ』を……パクッたなぁ。


あの裏技を恥ずかしげもなくパクるなんて、中々の強靭な精神力の持ち主ですね。


流石、エロパンツ姉さん、並外れた度胸の持ち主だ。


わたくし驚きですぞ。


……それにしても美樹さん。

アメリカに、よく行ってますね。

エディさんと、ナンダカンダ言いながらも、相当ラブラブなんですね。


なんだか、人の話だとムカつきますね。


コッチは、崇秀が忙しくて、相手にしてくれないって言うのに……



「あぁ、それって……」

「そぉそぉ。眞子のキャラ泥棒だよね」

「でも、なんでまた、そんな妙なキャラ作りを……」

「ギャップなんじゃない?……若しくは『私は可愛いアピールがしたかった』とか」

「あぁ、なるほど。それは中々強かですね」

「でしょ」


やれやれ、あの人は、本当に困ったお姉さんだね。


まぁでも、実際の話で言えば、美樹さんって、そんな事をしなくても可愛い人なのにね。

前から言ってますが、無理は禁物ですよ、無理は。


……さて、それはそれとして。

奈緒ネェ、そろそろこんなに早く帰国した本当の理由を教えて貰って良いかな?


早い帰国の理由って、ジムさんの温泉の話や、美樹さんのお笑い話だけじゃないよね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


奈緒さん達が、そう来日した理由は『ジムさんの温泉治療』と「美樹さんの伝説の防具事件」を眞子に教える為でしたね(笑)


……って、そんな訳あるかぁ!!


当然、ちゃんとした理由がありますし、ライブにも関係のある話ですので。

次回は、冗談抜きに、その真の理由を書いて行きたいと思います。

なので、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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