1071 珍しく眞子より早く帰宅していた飯綱ちゃんの重大発表
3B-GUILDのライブの誘いをすると同時に、今後の素直ちゃんと倉津君との関係問題を提示するだけして、後は丸投げして上星川の実家に帰る眞子であった。
***
……さて。
そんな風に言いたい事を言うだけ言って、その後は完全に真琴ちゃんを放置状態にして、上星川の自宅に帰宅。
そして、自宅に到着してからから最初に思った事は、私以外の靴が玄関口にあった事。
この様子からして、どうやら、珍しく飯綱ちゃんが、私より早く帰宅していたみたいだ。
「ただいまぁ~」
「うん?あぁ、なんや眞子かいな。お帰り」
ヤッパリ、今日に限っては、先に帰宅して居るみたいだ。
けど、こんな事は本当に珍しい。
……って言うのもね。
飯綱ちゃんは一緒に住んでるとは言っても、帰宅時間が最近は凄く遅いのよね。
まぁ、恐らくこの辺は、バスケでのセレクションでの蓮港入学を狙っている筈だから、今まで以上に遅くまで何所かで練習をしているからだと思われる。
故に、こう言う時間の帰宅は珍しいと言う事だ。
そう思いながら、いつも一緒に居る部屋に入っていく。
「あれ?今日は早いね。セレクションが近いのに、どうしたの?練習は?」
「ふふっ。今日は練習休みなんよ」
うん?これはまた更に、おかしな事を言うねぇ。
飯綱ちゃんがバスケの練習をしない日って……なに?
そんな馬鹿な事が有り得る訳が無いんだけどなぁ。
地球が爆発しかけてても、バスケの練習を続けてそうなのにね。
「休み?……うん?それ、どういう事?」
「うん。今日はな。ウチにとっては、ちょっとしたお祝いやから、バスケの練習は休みにしたんよ」
「お祝い?……あれ?飯綱ちゃん、今日、誕生日だっけ?確か1月じゃなかった?」
「あぁ、憶えててくれたんや。そやで、ウチの誕生日は1月27日やで」
あれ?だったら、なんのお祝いだい?
「えぇ?じゃあ、なんのお祝い?」
「ふふっ。聞いて驚け。なんと!!高校入学のお祝いや」
「はい?ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待って、それ、本当に、どういう事?」
あれ?本当に訳が解らないよ。
高校の入試って、まだ、ちょっと先の話なんだけどなぁ。
それがなんで、この時期に入学が決まるの?
「ふふふっ。『なんで?』って顔してるね」
「あぁ、うん、そりゃあね」
「ふふっ……実は、その入学のカラクリはなぁ。今日なぁ。ウチ、蓮高行って来てんけどなぁ。そこで『道場破り』して来たってん。ほんで、現在現役の部員共を、全員完膚なきまで叩きのめしてきたってんやんかぁ。ほんだらなぁ。蓮高の監督がなぁ。ウチを校長に推薦してくれてん。ほんで異例の入学決定な訳やね」
ブッ!!まさかの飯綱ちゃんが、ウチの学校での一番最初の高校入学者ですか?
それにしても、なんて破天荒な高校なんだろ?
校長に推薦したからって、普通、その日に生徒の入学を決める?
流石、奈緒ネェが行ってる高校だけの事はあるね。
常識ハズレも良い所だ。
「あっ、そっ、そうなんだ」
「そやで。そんで真上も一緒に行ってたから、あの子も合格。後、入学が決まってへんのは眞子だけやで」
「私だけ……ですか」
「そやで。ドン臭いなぁ眞子は」
あるぇ~~~~~~っ?
真上さんまで、そんな破天荒な入学の仕方をしたんだ。
もしそれが事実なら、大人しそうな顔をして、やる事がえげつないなぁ。
まぁそうは言っても、真上さんの場合は、多分、飯綱ちゃんの付き添いで行って巻き込まれたパターンだね。
あの人が、進んで、そんな常識外れな真似をするとは思えないからね。
「そっか。なんか、私だけ取り残されちゃったね」
「まぁ、取り残された言うたかてやな。アンタの場合、何所受けたかて100%合格やねんから問題無いやろ。これで3人合格決定したんも同然やね」
「まぁねぇ。蓮校位だったら、そんなに難しくはないね。……けど、飯綱ちゃん。入学金とかは大丈夫なの?」
「大丈夫やで。特別推薦枠での入学やから学費も全額免除で問題なし。あの監督、メッチャ見る目があるわ」
そっか、そっか。
それは高く評価して貰えて良かったね。
……ってか、あのバスケのプレイを目の当たりにしたら、評価せざるを得ないよね。
それは、正当な評価だと言えよう。
「そっか、そっか、それは良かったね」
「眞子も喜んでくれんの?」
「勿論だよ。高校入試は、飯綱ちゃんが一番不安だったからね」
「まぁね。ウチは勉強なんか全くせえへんから、あんなもん、からっきし解れへんもんなぁ。ホンマ、危ない所やったわ」
「あの……自覚してるなら、ちょっとは勉強したら……」
「嫌ッぷぅ」
「言うと思ったよ」
まぁまぁ、でも、これで一安心だね。
じゃあ、早速、今日は2人の入学お祝いしよっか。
「まぁ、それはそれとして。じゃあ早速、お祝いしよっか。なに食べたい?」
「蟹……蟹カマじゃない奴ね」
うわっ……意外と根に持ってるね。
「蟹……ですか?それはまた高い買い物ですね」
「ちゃんとズワイ蟹やで。眞子のせいで、この間、当たれへんかってんから、絶対にズワイやで。お祝いやねんから、ズワイ以外却下やで」
「あの、すみませんが。お金が無いので『水蟹』か『セコ蟹』で、まけて貰えませんかね?そんな高級な食材は買えません。無い袖は振れません」
「嫌やわ。『水蟹』なんか身がスカスカで、なんも美味しないやんか。そんなん却下やわ却下」
……って言ってもねぇ。
そんな大金は、我が家にはございません。
あっても、箪笥の後ろに5円玉があるのが関の山です。
それにですね。
もし仮に有ったとしても、そんな無謀な事をしたら、明日から食べる物を買うお金が無くなっちゃって、次の日から、なにも食べられなく成っちゃうよ。
ひもじいよ。
「まぁまぁ、あの~~なんと言いますか。食べさせて上げたいのは山々なんだけどね。先立つものが無いです」
「ぶぅ!!ほんだら、いつもみたいに、誰かに貢いで貰って……蟹食べたいの!!蟹食わせろ!!」
あのねぇ……そんな都合良く、誰かが蟹を持って来てくれるなんて事、有り得ないって。
無茶言わないでよぉ。
なんて思って居たら『コンコン』っと、扉がノックする音がした。
ははっ……まさかね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>
飯綱ちゃんが、いつもより早く帰宅してると思ったら。
なんと、なんと!!今季の高校受験合格者第一号は飯綱ちゃんと言う発表でしたね!!
まぁ、やってる事は「茂野五郎」ぐらい無茶苦茶ですけどね(笑)
さてさて、そんな感じで飯綱ちゃんの合格発表があった訳なのですが。
そのお祝いの品として彼女が要求して来たのは「ズワイガニ」
貧乏な眞子は、これをどうやって対処するのか?
そして最後の扉を叩く音の正体は?
次回はその辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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