1068 眞子を求めし者達

 素直ちゃん達が眞子に3B-GUILDの実力を認めて欲しい理由。

それは例の眞子争奪戦に奈緒グリが参戦している程の実力や、知名度だからと言う話を素直ちゃんにされるのだが……


***


「うん。まぁ、僕も詳しい諸事情までは知らないけど。向井さん達メンバー全員一致で、眞子ちゃんをバンドのメンバーに迎えたいんだってさ」

「あぁ、なるほどねぇ。そう言う事かぁ。奈緒ネェの温情って奴ですね」

「ちっ、違うと思うんだけど……」


なんで?



「あり?」

「『あり?』じゃないよぉ眞子ちゃん。『奈緒グリ』ファンの人達が全員、眞子ちゃんの参入を熱望してるって話だよ。それに、向井さんが拠点にしてるニューヨーク方面では、署名活動まで始まってるらしいよ」

「なんの?」

「眞子ちゃんを【Nao with GREED-LUMP】に誘致する運動」


??

バンドのメンバー誘致ですか?

オリンピックや、ワールドカップじゃあるまいし、そんなの聞いた事ないですね。


って事はですよ。

こりゃあ100%奈緒ネェの悪乗りだね。

どうせライブ中に余計な事を言って、面白がってるだけに違いないね。


きっと、そう言うオチだ。



「あぁ、それ、多分、奈緒ネェの悪ふざけだよ」

「悪ふざけじゃないよ、眞子ちゃん。……署名。向井さんのライブに来た人の殆どが書いて帰ってるから、今、100万票ぐらい集まってるらしいよ」

「ハァ、もぉなにしてんだかね。……って言うか、ニューヨークの人も暇な事をするねぇ」

「眞子ちゃん、いい加減、自覚して。ニューヨークの人、本気なんだよ。世間じゃ元々【GREED-LUMP】を作ったのは眞子ちゃんだって言う人も少なくないんだから。それだけに【Nao with GREED-LUMP】のファンの人も、眞子ちゃんの参入を熱望してるんだよ」

「そう言われても……ねぇ。実感が湧かないんだもん」


だ・か・ら~~~っ、そこは前も言ったけど、私はバンドなんて作ってないちゅうの。


あれは偶然の産物です。


そこを勘違いしちゃダメですよ。



「だったら、これならどぉ?」

「なになに?まだなにかあるの?」

「【Nao with GREED-LUMP】のメンバーの人達。日本に移籍する覚悟が有るって話」

「はい?なに考えてるの?」

「もぉ……そこまでしてでも、眞子ちゃんが欲しいって言ってるんじゃないの?」

「いやいやいやいや、それは無いって。大体にして、ニューヨークの人が、それを許さないじゃないの?本末転倒だよ」

「それがね。3年間の契約で、眞子ちゃんが得れるならOKなんだって」


なにを言っとるのかね?



「馬鹿げてるよぉ」

「もぉ……そうでもないんだけどなぁ」

「なんで?なんでそうなるの?」

「だって、眞子ちゃんは知らないみたいだけど。この間、文化祭で演奏してくれた【Kimera】のマーニャ=ミラーさんや【Secret Place】のマリウス姉妹って人達。ソロで活動中のミナ=ソシエさん。【DEEPER】【MONKEY-STONE】【AB・RENGER】【WATCHA】って言うアメリカのメジャーバンドの人達もドンドン名乗りを上げてるんだよ」

「そっ……そうなんだ」


いや、なに考えてるの皆さん?


良く考えて下さいよ。

その対象に成ってる人物って、私なんですけど……


そりゃあ私だって、また皆さんと一緒に演奏はしたいですよ。

心からそう思いますよ。


でも……そこまでしなくても良くない?


どうせ私なんて放って置いても適当な時期にフラフラ現れますから、そこまでしなくても大丈夫なんじゃないですかね?



「……それになにより、シアトルでも、ニューヨーク同様の署名活動が起こってるらしいよ。確か、先導を切ってるのは、最近メジャーになったばっかりの【Dio-king`s】さん【X-DESIRE】さん【Jany Alien】さんって、バンドの方達らしいよ」


本当に、なにやってるんですか?

ニルさんも、クリスさんも、ジェニーさんも。

メジャーに上がったんだったら、そんな馬鹿な遊びに夢中になってないで、真面目にやらなきゃダメですよ。


でも……そう思う反面。

私との『また一緒にやろうな』なんて小さな約束を憶えていてくれたのは、本当に嬉しい。


体が幾つか有ったら、皆さん全員の所に飛んで行きたい気分ですよ。



でも……からかうのは、程々にして下さい。



「そうなんだ」

「あっ、あれ、眞子ちゃん。凄い事なのに、なんか反応薄いね」

「そりゃあ、そうだよ。実は、その人達ってね。『また一緒に演奏しようね』って約束してくれた人達だから、本気で、私をバンドに入れたい訳じゃないの。ただの気紛れの遊び感覚だよ」

「此処までやったら、それは流石に……無理が無いかなぁ?」

「そぉでもないよ。皆さん、約束を守ろうとしてくれてるだけで、そこに特別な意味なんてないんだよ。だから私の価値なんて、そんなに大した事ないって証拠でもあるね」


……って、オチだね。


でも、本当に、みんな悪乗りが好きだね。

まぁまぁ、こう言うのは、お祭り事だから『そう言うのを楽しもう』って気持ちになるのも解らなくも無いけどね。



「そうかなぁ。僕には、眞子ちゃんには、凄い価値が有ると思うんだけどなぁ」

「そんなの、なにもないって。所詮、私は、私でしかないんだから、頑張っても、こんなもんだって。深く考えたら負けだよ」

「そうなのかなぁ?本当にそうなのかなぁ?」

「まぁまぁ、その辺は、バンドのメンバー募集の最終段階で解るんじゃないかなぁ。まぁそんな事よりも、素直ちゃんのライブ楽しみにしてるから、いっぱい頑張ってね♪」

「あぁ……うん」


なんか納得出来無い顔をしてるなぁ。


でも、これ以上の解答が無いので納得して下さい。

……って言うか、納得しなさい。


あぁけど……それはそれとしてもさぁ。

なんで素直ちゃんが、こんなに『争奪戦』の話に喰い付いて来たんだろうね?


なにかあるのかなぁ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ♪<(_ _)>


3B-GUILDのライブに誘いに来ただけだった筈なのに、何故か眞子の知名度の話になってしまいましたね(笑)

まぁ、眞子が、これだけ多くの人やバンドに注目されていると知っていれば『自分達3B-GUILDの実力を認めて欲しい』って気持ちに成るのも頷けるのですが……本編の最後でも眞子が言ってた様に、なんで素直ちゃんはこんなに眞子争奪戦の事を詳しく知ってるんでしょうね?


まぁ勿論、この辺に関しましては『含み』のある話ではあるのですが。

取り敢えずの所、まずは3B-GUILDのライブに行く事は決定したので、これはこれで良しとしておきましょう(笑)


さてさて、そんな中。

次回は場面が変わって、倉津君との受験勉強の際に起こった、とある事件を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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