第2話 グラシアの寒気

炎に包まれたパイラの世界から遠く離れた氷の王国グラシアで、カエルムという名の少年が地表の下に迷路のように広がる氷の洞窟を探検していた。洞窟は青と白のきらめく世界で、氷柱がクリスタルのシャンデリアのように吊るされ、壁は柔らかく幽玄な光で輝いていた。


カエルムはグラシアで唯一、寒さを苦にしない子供だった。実際、彼は寒さが大好きだった。ボサボサの髪は黄昏時の雪のようで、目はオーロラのように輝いていた。パイラのアリアと同じように、カエルムもユニークだった。彼は私たちが空気を吸うのと同じくらい簡単に氷を操ることができた。


「おい、カエルム、キャッチ!」友人のライラが叫び、雪玉を投げつけた。


カエルムは素早く雪玉をキャッチした...そしてそれは彼の手の中で氷に変わった。「もっと上手にキャッチしないとね」彼はニヤリと笑い、雪玉をそっと投げ返した。


グラシアの子供たちはいつもこのような遊びをしていたが、カエルムはいつも主役だった。彼は考えるだけで氷を彫り、太陽の下で輝く彫刻を作ることができた。


遊びながら、カエルムは不思議な感覚を拭い去れなかった。それはまるで風のささやきのようで、彼に呼びかけ、自分でもよくわからない何かに引き寄せられるようだった。彼はしばしば、囲炉裏の揺らめく炎を見つめながら、説明のつかない思いに耽っていた。


「大丈夫?」ライラが彼のよそよそしい様子に気づいて尋ねた。


「うん、ちょっと考え事をしていただけ」とカエルムは答え、現実に戻った。しかし心の奥底では、それ以上のものがあることを知っていた。彼の中で何かが変わりつつあった。


その夜、カエルムはベッドに横になると夢を見た。その夢の中で彼は、炎の中で踊る炎のような髪の少女を見た。彼女はとても現実的で、とても親しげだった。夢は記憶のように感じられた。


翌日、カエルムは洞窟の最深部を探検することにした。何かが彼を待っているような、引き寄せられるような感覚を覚えた。


奥へ進むにつれ、空気は冷たくなり、氷は別世界のような光を放った。カエルムはある部屋に辿り着き、氷が地面に完璧な鏡を作り、きらめく天井を映し出した。


彼は鏡を見て息をのんだ。一瞬、彼は自分の姿ではなく、夢に出てきた獰猛な髪の少女の姿を見た。彼女の目には、自分が感じたのと同じ戸惑いと驚きがあった。


揺さぶられたカエルムは、氷とのつながりはほんの始まりに過ぎないことに気づいた。それ以上の何かが、夢の中の少女と、火の元素と、まだ理解できない運命と、彼を結びつけていた。


部屋を出ると、目的意識が彼を満たした。まだすべてを理解しているわけではなかったが、自分の人生が想像もつかないような変化を遂げようとしていることは分かっていた。


そして遠く離れたパイラでは、アリアが星空を眺めながら、これまで感じたことのない寒気を感じていた。二人の道はまだ交わることはなかったが、二人の絆はすでに生まれ始めていた。

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