2024年05月06日(2025年07月05日に起こる事)

「悪魔と契約していたのに、何も言わないんですね」

「当時は止めた。じゃが、お主は契約をしてしまったのじゃ」

「良かったんですか?」

「良くない、悪魔との契約なんてロクな結果にはならんのじゃ」

「どうして私は契約をしたんです?」

「まだ、思い出せぬのか?もう、記憶の封印は解けておるはずじゃ」

「ああ、そうでした。神様がくれる成功は、金持ちに成らずとも必要な物が全て手に入り、贅沢な食事も出来るし、金には困らない。必ず、どこからか助けが入るというものでしたね」

「そうじゃ、それがこの地球で幸せに生きる唯一の方法じゃ」

「神様は、そう信じてい居るんですね」

「うむ」

「でも、私の解釈は違った。この世界は私が生み出したもの。私のストーリー、悪魔に騙されて破滅するのも神様を信じて生きるのも自由。どちらも正解、なぜなら俯瞰して見た時に私の人生が面白いものであったのなら大成功なのだから」

「苦しむ事に成っても良いのか?」

「その苦しみさえも死んだ後で見たのなら喜びに成りますから……」

「本当に、思い出してしまったんじゃな……」

「はい、私がアメノミナカヌシであり、この世界の結末を決定できる者です。天照様、奇跡を見せてくれてありがとうございます。お陰で私は創造神に成れた」

「もう、何も言うまい」


 私は、2011年03月11日、東日本大震災の日に全てを決めていた。10年苦難を味わい人間的に成長する事、魂が磨かれた後は伊勢神宮に無料で招待される事、奇跡を見る事、動画を作成する事、小説を書く事、それが売れて漫画になりアニメになり全世界の人々に届くようにする事、そして救世主を名乗りテレビに出演する事、その結果多くの人間が創造神として目覚め世界が平和に成り、誰もが不老不死に成れる世界を創造した。


 そして、自分が裕福になる為に悪魔とも契約し贅沢の限りを尽くす事も望んでいた。


 だが、これは世界の人々が、私の物語を信じた場合に限り起こることだった。信じなかった場合は、別の事が起こる。


 それは隕石の衝突だった。世界が私の物語を信じなかった場合、隕石として物質世界に顕現した聖霊エリンを地球に差し向け、強制的に大破壊をもたらし、神に選ばれたものを集め理想郷を作り、そのやり方を世界に広めるシナリオに分岐する。


 以前、見た予知夢の真相は、聖霊エリンが地球に降臨し、大破壊が起きるという予知夢だった。聖霊エリンは、大地を作り結界を張り欲深い人間を退ける。愛に溢れ分け与える精神を持ったものだけが上陸できる島になるのだ。

 暫くの間は呪われた島と言われる事に成るが、後に聖霊の島だったと分かるだろう。


 私は、東日本大震災の時、天照大神様だけではなく、堕天使のルシファーとも会話し、さらにアメノミナカヌシ様とも会話をしていた。創造神へ私の物語を聞かせて、現実にするのか聞いたのだ。

「面白い、やってみよ」

 その声は、私が想像した天照様の声とは違い、完全に言った事が現実化する力を持っていた。その声を聞いたら絶対に従わなければならない。そういう強制力があった。


 そして、私の約束は全て果たされている。私は審判の日を待つだけとなった。この物語が多くの人間の目に触れ、世界に真実が伝わることを願う。


 私の小説を見ても世界の人々の意識が変わらなかった場合、エリンが顕現した後の世界は大きく2つに分けられる。一つは自然との調和と他者との共存が出来る人間たちだけが生き残る世界。もう一つは殺し合い奪い合いが好きな人間たちだけが生き残る世界だ。


 どちらの世界に行くかはあなたが決めればいい。審判の日に、あなたの意識がどちらを向いているかで変わるのだから……。


~~~回想~~~


「阿弐、このままでは人類は自滅する。どうしたら救える?」

「無理でしょう?一回滅ぼした方が簡単ですよ。縄文時代からやり直させればいいんです。あ、もちろん僕はそんな面倒な事、やりたくないので死なせてくださいね。苦しまずに死ねるように手配をお願いします」

「頼む、何かいいアイデアは無いか?辛い経験をしてきたお主なら打開策を思いつけるはず」

「もし、全人類が救われるとしたら、全員の認識が変わるような出来事が必要です。ただし、キリストは失敗しました。彼はやりすぎたのです。奇跡を見せすぎた。だから、普通の人間は奇跡を起こせるのは神の御業だと思い。無意識に自分は同じことが出来ないと思ってしまった」

「どうすればいい?」

「奇跡のレベルを下げるんです。現実的に不可能な事では無く、ちょっと幸せな人生に変わるぐらいの奇跡が妥当でしょう」

「具体的には?」

「一番簡単なのは宝くじですね」

「あれはダメじゃ。当たらぬようにコントロールされておる」

「海外では当てたという人が名乗り出ていますよね?ニュースにもなっている」

「それはアメノミナカヌシ様が選んだ人間だけじゃ。当選によって悲劇的か喜劇的に面白い人生を見せてくれる性格の者にしか当たらぬ。お主は常識人だからダメじゃ。お主は宝くじが当たったとしたらどうする?」

「大半は貯金に回して、普段は普通の生活をして、たまに贅沢な食事をするぐらいですね」

「そんな人生、見て楽しいと思うのか?」

「思わないですね」

「という訳で、お主もそうじゃが殆どの日本人は宝くじがあたっても面白い人生に成らぬから当たらぬのじゃ」

「では、夢が叶うという触れ込みで頑張るしかないでしょう。ただし、今までのスピリチュアルなやり方ではダメです。科学的に再現性のあるやり方でなければならない」

「どうせよと?」

「まずは、手順を決めましょう。この手順で行えば夢が叶うという雛形を作るのです」

「ふむ」

「最初は、自分が創造神であることを自覚するという事から初めて、次の段階で神様との会話と約束、そして願いを叶えるために何度か神社でお参りをする。そのお参りも何回か行えば信仰心ポイントが貯まり、一定上になったら願いが叶うという分かりやすいものが良いと思います。このお参りの時に『自分がやられて嫌な事は他人にしない。自然を大切にする』という約束をさせるのです。破ったら減点、守ったら加点して成功を早めるという風にすれば良いかと」

「ちょっと待て、人生はゲームでは無いぞ?」

「神様、この世界は私の認識で変わるものですよね?」

「そうじゃ」

「なら、ゲームにしてしまいましょう。私の年代以下の者たちなら、この認識を受け入れて現実を自分の都合の良いように変えれるはずです」

「それでは、妾たちはプログラミングのようではないか!」

「そういう認識なら受け入れてくれる若者が多くなっているもの事実ですよ。なら、それを利用しましょう」

「それでは神々が死んでしまう……」

「そうはなりませんよ。私の様に神様に人格があって欲しいと思う人間も一定数残るはずです。そういった人たちの中で神様は生きて行けるはずです」

「分かった。じゃが、どうやって広める?」

「私が、提案した手順で成功者になるように手配してください。その実体験を元に小説を書きます。それを見た読者のうち何人かが試すでしょう。そうなれば多くの人間が神様の言葉を聞くことになります。

 神様の声を聞いた何人かが、指示に従うでしょう。そういう人たちも幸せにしてください。私の方でも悟りを開く手順や条件を箇条書きで分かりやすく説明します。そうして、指示に従った者を全員救世主にしてしまえば良いんです」

「全員を救世主にじゃと?」

「そうです。唯一無二の救世主は失敗しました。だから、今度は誰でも救世主になれるし、救世主になったとしても神の様な奇跡ではなく日常生活で少し楽が出来る程度の奇跡で良いのです」

「まあ、それなら可能じゃが……」

「そうして多くの人間が手順を試し、全員が幸せになれば人々は神の存在を信じ、自然との調和を説く神様の教えに従う様になると思います」

「それでも多くの人間が信じなかったらどうする?」

「隕石落としちゃいましょう。ここまで譲歩しても神様を信じないなら滅ぼしましょう。文明は、また一からやり直せばいい」

「お主は、死ぬのが怖くないのか!」

「死ぬのは怖くないですよ。このまま苦しい人生を生きる方が怖い」

「そうか……。だか、アメノミナカヌシ様が了承するかどうか」

「それなら、妙案があります。隕石は聖霊にしましょう。それが、落ちて来て地上に大地を作る。そこに、選ばれた人間を集めて縄文時代の精神を持ちながら現代科学を存続させる文明を作り出すのです」

「何でそんな事をするのじゃ?」

「聖地で手本を示して、他の国にも制度を輸出するのです。大災害後の世界では、資本主義は破綻しますから……。文明が完成するまでの間は、選ばれた人間以外が近づいた場合、遭難させて上陸を拒否しましょう。聖霊が結界を張った事にすればいい」

「何のために?」

「その方が、面白いでしょう?呪われた島にしておけば、文明が発達するまで外界からの侵略を防げます。それに、呪われた島が実は聖地だったというのは王道でしょう?」

「聖霊の名前は?」

「エリンで良いでしょう」

「なんで、落ちてくるのじゃ?理由が無ければ納得できんぞ?」

「そこは、手違いで良いんじゃないですかね?」

「おい!適当になっておるぞ!」

「今は思いつきませんよ。というか、もう5時間も会話していますよ。さすがに疲れました。エリンの件については、後で理由を考えます」

「分かった。じゃが文明が完成したとして、他国と交流を持とうとした時、軍隊が無ければ容易に攻められてしまうのではないか?」

「そこはエリンに任せますよ。隕石の衝突にかこつけて各国の軍隊を全て滅ぼしましょう。軍事基地も生産設備も全て破壊しておきましょう」

「ふむ、それなら大丈夫か」

「どうです?アメノミナカヌシ様。この設定、面白いですか?」

「面白い。クライマックスとしては申し分ない。多くの人間が支持するだろう。だが、エリンが地球に落ちる理由はちゃんと考えよ。手違いなどという御都合主義は私のやり方ではない」

「分かりました。理由はちゃんと考えます。という訳で天照様。良かったですね。世界が救われる可能性は残されたし、罪人も含めて大災害を全員が生き残りますよ」


~~~回想終了~~~


 こうして、私は願いを叶えた。しかし、私が願っていないことが現実化している。奇跡ではあるが、私は望んでいないし、後からつけたされたものだ。双子が今後何をするのかは私には分からない事だった。

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