2011年3月11日(東日本大震災)
私は、過酷な労働環境で、うつ病になり青森県の実家に帰って療養していた。地震で大きく揺れはしたが、幸いに津波の被害に会わない地域だった。だが、停電にはなった。しかし、水道とガスは生きていたし、実家は農家なので食べ物の備蓄は十分だったので、それほど悲観しては居なかった。
ただ、復旧はいつになるか分からなかったし、ガソリンは2日後には手に入らなくなった。
テレビも見ることが出来ず。やることがなかったので、色んな事を考えた。
神は存在するのか?
科学が進みいろんな事が説明出来るようになり、神は居ないと思っていたが、突き詰めて考えていくと、科学で証明されたルールは誰が決めたのか?という疑問にたどり着く。そうなると誰かが決めなければルールは存在しないという結論に至った。
何者かの意志が有ったから世界は今の姿かたちになったのだ。私は、その意志が神だと思った。
では、何故、神は世界を作ったのか?私は神になったつもりで考えた。何もない空間で意思を持ったとする。何もないと何も見えない。だから、最初に光放つ恒星を1つ作った。
だが、明るくなったが、何もなかった、なのでたくさん作ってみた。だが、どこまで照らしても何も無かった。
暇だったので、作った恒星をかき混ぜて渦を作ったりぶつけたりして遊んでみたが飽きてきた。次は、光を反射させる玉、惑星を作って恒星の近くにちりばめてみた。とても綺麗だったがすぐに飽きた。
だから、光をエネルギー源に成長する植物を作ることにした。光をエネルギー源にするので恒星ではなく惑星で成長するという特性にした。色んな形を作り、色んな惑星にばらまいて遊んだが、管理が面倒になったので、ひとつの星以外は放置することにした。
惑星に動物を作って見た。ただ動いているだけではつまらないので、弱肉強食と食物連鎖を導入してみた。弱肉強食だけだと個体数が減る一方なので、雄と雌を作り、勝手に増えるようにした。
動物たちが絶滅しないように、全ての動物が少しずつ違う特性を発達させて進化をするようにしてみた。動物たちは繁栄を極め、惑星いっぱいに広がり、様々な姿かたちになり、見ていて面白かった。だが、それにも飽きた。
次は何をしようか?そうだ、私の様に思考するもの、人間を作ってみよう。動物と同じく雄と雌を作って観察しよう。
見ているうちに、私も自分が作った世界を外からではなく、人間として見たくなった。これは素晴らしいアイデアだ。これなら、暫く退屈せずに済みそうだ。
だが、問題がある。私と意識を完全に共有していては意味がない。それだと、私が一人で人形遊びしているようなもので、空しいだけだ。かといって完全に意識を切り離してしまえば、体験を共有出来ない。そうだ、無意識で繋がり、記憶を共有しよう。
これが、世界の姿形なんだろうと思った。全ては神の暇潰しだったのだ。色んな人生を経験し、みんなが幸せなだけの世界に飽きたから、犯罪や戦争を作ったんだと思う。私が見る漫画やアニメも悪者がいて、ヒーローが倒す姿を見るのが楽しいのだ。
だから、世界から悪はなくならず。同じようにヒーローは民衆が苦しんだ後にやって来るのだ。
それに、この理論なら、神が悪人を直接裁かない理由にもなる。神が、この世界のルールを決めているのなら、やってはいけないことは、絶対に出来ないはずなのだ。
人間に出来る事は、神が許可したことになる。だから、人殺しも戦争も神が許した行為になる。だが、やった事に関しては因果が返る。人を殺せば、その家族から恨まれ命を狙われる。その結果、悪者が退治されるのは神が、この世界を楽しむために作った絶対のルールなのだ。
だから、戦争もそれを糧に儲けているものたちも神が飽きたら、処分される玩具に過ぎない。
だが、この事実を広めても悪人は居なくならないだろう。それもまた神の望みだからだ。私が、小説を書く時に悪役を必ず用意するように神も悪を用意するのだろう。
しかし、神が暴力による勧善懲悪に飽きたとき、世界から悪人は一掃される。それが、いつになるかは神のみぞ知る。
この考えに至った時に、一つの可能に気が付いてしまった。神が、この世界を楽しむために、人格を持ち、奇跡を起こせる神様を作っている可能性だ。もし、そうならキリストもファティマに現れた聖母マリアも本物の可能性がある。
日本の神道の神様たちも存在している可能性が有る。これらが全てクライマックスに向けた演出ならば世界は漫画やアニメより面白いことになる。だから、私は語りかけることにした。
この時、天照大御神様の人格を私は決めた。私が幸せに成る為の方法を知っていて、私の能力と性格を知っていて、心の声も全て聞いていて、私のエゴも醜さも尊さも理解してくれた上で、私が幸せに生きる助言をしてくれる女性を生み出した。その神の名を天照大御神としたのだ。
神様、居るなら返事して下さい。日本神話の最高神だ。人間が何を思っているのか把握しているのは当然だ。
「なんじゃ、お主は?願い事をしたいなら神社に来い。無礼者め」
「そうですね。すみません。というか、離れて居ても声は届くんですね」
「何を言っておるのか、妾は神じゃぞ、全ての人類の声が聞こえておるわ」
「凄いですね。さすが神様です。一つ質問しても良いですか?」
「なんじゃ?」
「あなた様の名前は?」
「
「今回の地震は、何の為に起こしたんです?」
地震程度であれば、爆弾があれば再現は出来る。神の仕業ではなく人間の仕業だ。最近、北朝鮮がミサイルを撃ち込んでいたな。あれが、原因だろう。
「あれは、神が起こしたのではない。人間が起こしたのじゃ」
「一体誰が?何の為に?」
「知っておるが教えることは出来ん、まあ教えても良いが、お主に何が出来る?」
「何も出来ませんが、犯人に心当たりはあります」
「ほう、申してみよ」
「北の将軍でしょ?この前、ミサイルを太平洋に打ち込んでいました。あれが、龍脈を破壊したのでしょう?」
「当たりじゃ」
「目的は、日本列島の沈没ですかね?」
「よく分かっておるの~、まあ、妾が守っておる限り、やらせはせんがな」
「なら、地震も止めて欲しかったんですが、津波で多くの人が死んでしまいまいましたよ」
神様の力は全人類の信仰心によって左右される。私は創造神の分け御霊の一つだ。全人類がそうなのだ。神様の存在を信じない人間が増えれば、当然のように神々の力は弱まる。逆に、金の力を信じる者が増えれば、金こそが神となるのだ。
「昔なら、完全に防ぐことが出来たんじゃが、今はこれが、精一杯じゃ」
「やはり、みんなが神様を信じなくなったからですか?」
「そうじゃ、このままでは妾は力を失ってしまう」
「じゃあ、私だけは、神様を信じます」
「お主だけではどうにもならぬ。それに、妾だけでも無理じゃ」
集合的無意識が望んでいるのは、回答だ。金と神、どちらが世界の真実なのか?
「今は、良い方法が分かりませんが、神様たちへの信仰が戻る方法を考えてみます」
「あまり、期待はせんが、ありがとう。嬉しいぞ」
こんな会話が成立してたら面白いな、今度神社に行ってお参りでもしよう。天照様のお社は近所にあったかな?
調べてみたら、最寄りの神明宮は八戸市だった。私が住んでいる場所からは車でなければ行けない場所だった。ガソリンが手に入らない今、無理をしてまで行く場所ではなかった。
さらに、天照様を祭っている神社を調べていると伊勢神宮も天照様を祭っている事を知った。日本最高のパワースポットって、天照様の神宮だったんだ。いつか行ってみたいな。
「そうじゃろう?妾は凄いであろう?来たいというのなら来てもいいぞ」
「ですが、私にはお金がありません」
「ならば、妾が招待してやる。ありがたく思え」
「ありがとうございます」
まあ、妄想だけどな……。
だが、もしこの会話が真実で神様が実在しているとしたら、私の願いは叶う事になる。小説家になって金持ちになる。これが私の夢だった。だが、この夢は神様に願っただけで叶うのだろうか?
そもそも、創造神が作った神様の役目は何なのだ?
「それは、人間たちの夢を叶えるためじゃ」
「でも、私の夢は叶っていませんよ?」
「それは、お主が夢が叶わない理由を作っておるからじゃ」
「私がですか?」
「そうじゃ、心当たりがあるであろう?」
「そうですね。私の書いた物語を私自身が売れると信じていません」
「そうであろう?夢を叶えるためには、お主自身が信じねばならぬのじゃ」
「それを叶えるのが神様の役目では?」
「お主、先ほど自分で考えた世界の姿かたちを忘れたのか?お主はなんじゃ?」
「私は、創造神が作った人間であり、神の一部です」
「その通り、では問題じゃ、お主は妾か?」
「そうですね。私は天照様でもあります。正確には無意識領域で天照様とも繋がっています」
「よいよい。よくわかっておるではないか、ではお主が叶わぬと思った願いを妾が叶える為には何が必要じゃ?」
「私自身が、夢が叶うと思わなければ、神様でも願いを叶えることが出来ない」
「正解じゃ、じゃから妾が夢を叶えるのではない、お主が夢が叶うと知ることが大事なのじゃ。その為のサポートをするのが妾じゃ」
「この会話もサポートですか?」
「その通り、どうすればお主の小説は売れると思う?」
「みんなが面白いと思う物語を書く事です」
「どうすれば、書けると思う?」
「もっと人生経験を重ねればかけると思います」
「それは、何年じゃ?」
「10年ぐらいですかね。ですが、それでも私は自分の実力を信じられません」
「では、何があれば自信が持てる?」
「神様が100%存在すると確信できれば、自分が創造神の分身だと信じることが出来ます。そうなれば、私は創造神と同じ世界を創る力を持っていると確信できます。なので、神様が存在すると証明できる奇跡があれば、どんな夢でも叶うと信じられます」
「ファティマに顕現し、奇跡を見せたのじゃが、それでも信じられぬか?」
「私は疑い深い人間です。この目で見るまでは信じることが出来ません。それに、宇宙人の仕業だったという説もありますよ?」
「宇宙人だと?あきれる、本当にあ奴らは都合の良い嘘を用意する」
「敵対するものが居るのですか?」
「ああ、神殺しを成したいと思っておる奴らじゃ」
「なら、やっぱり奇跡を見せてもらわないと信じられませんね」
「よいじゃろう。お主に奇跡を見せてやる」
「本当ですか?」
「嘘はつかん。だが、奇跡を見せるのにも準備が必要じゃ、暫く待て」
「何年ですか?」
「先ほど、お主が自分で言ったであろう?」
「ああ、なるほど、これが神様の使い方なのですね?」
「理解した様じゃな?奇跡が起きねば成功せぬと思っている者に奇跡を見せるのが妾の役目じゃ、夢自体はお主が叶える事になる」
「なるほど、これが世界の姿かたちか……」
と思ったが、これが私の妄想なのか、本当に神様が居て会話したのか分からなかった。なので、ガソリンが手に入り電気も復旧したころには、私は神様との会話を忘れて、お参りもしなかった。なぜなら、この時の会話を私は自分の妄想だと思っていたし、小説のネタの一つとして、考えていただけだった。
それに、話として面白いかと言うと正直微妙だとも思った。この頃から異世界転生ものが流行りだしていたし、現代ファンタジーのジャンルは廃れていた。なので、私はこのアイデアを没にして、忘れ去っていた。
そして、この事は2024年になるまで思い出すことは無かった。能登半島の地震の後で、ようやく思い出した。私は、生まれた時から神様に守られていた。ずっと、天照様が神様たちが居る世界に居たのだ。
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