第9話 異能の双子と神の宝 1
真っ白だ。
上も下も真っ白だ。
空も地面も、ただただ白い。
雪だ。
真っ白な空から雪が湧いて降ってくる。
ここは、どこ?
こう白くては上も下もわからない。
吹雪いてる。夥しい白があらゆるものを覆い隠していく。
遠く、薄っすらと見える。あれは木立か。
ああ。飛んでいるんだ。
わたしは。飛んでる。
鳥のように。
おっと、急に下がって来た。
どうも、うまく高さを保てない。
雪がはげしいせいか。
いきなり、目の前に大きな雪の塊が現れた。
ああ!ぶつかる!
塊りは大きな口を開けて目を開けた。
雪男!雪の大男だ!
ぶつかる!その衝撃を予感して思わず目をとじる。
身をかわせたのか?わたしは。
気がつくと雪をまとった大男はずっと遠くに去っていた。
大男は何かに向かって手を振っている。
何かを誰かを呼んでいる。
雪の降るなかで。
誰を?
「はーやー・・・・」「はーやー・・・」
男の声が雪の中に吸い込まれていく。
はや、、、ひこ?
そうだ、
「
「
となりに夜具を並べて寝ていた
「ん、
「ずっととなりで寝ているさ。俺を呼んでいたぞ。俺の夢をみていたのか?」
「夢?ああ、夢をみていた。雪が降ってた」
「雪?」
「そう、、雪の中で大きな人が誰かを呼んでいたんだ。はやー、と。それで
最初に気がついたのは
だが、
時折、首をかしげ、小声で独り言を言う。
「おまえ、虫の話聞けるのか?」まるで虫と話しているように見えて思わず聞いた。
「聞けないの?」不思議そうな顔で
虫たちはどんな遠くのちいさな出来事も
だから
知って、その小さな心に隠してきた。
もうひとつ、
それは夢をみることだ。今夜のように。
眠りに落ちて夢を誰でもみる。
人によっては夢をよく憶えている者もいる。
だが、
どこか、この世に生きていて影がうすい、気をつけて見ていないとふっと消えてしまいそうな。
そんな危うさを感じて、いつも
「俺は、おまえが心配だ」
同じ姿顔を持って生まれたが、武芸に長けた
双子は
「わたしには、
「気づいてる?自分の
「
「
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