第15話 日常
ゴールデンウィーク中は当然ながら部活動は完全オフとした。元々の引きこもり体質が首をもたげるが、ある日はマサキとビリヤードに行き、ある日はアズサ、リナと映画と飯に行った。
俺としては同時に上映していたクレ〇ンしんちゃんのほうが楽に見れてよかったが、洋画だった。だってこれ見た事あるんだもん。
あとは最近運動できていなかったので、柔軟やジョギングをやるようにした。せっかくの動く体がもったいないからな。
ゴールデンウィークが明けた。これで俺がタイムリープして来てから約1年。じっとしてるのも勿体ないから色々動き回ってきた甲斐があり、結構いろんなことができたのではないだろうか。
5月末の学校行事としては遠足がある。場所は京都だ。日帰りで十分いける距離にある。歴史のある街並みや建造物巡りがメインとなる。
ここまでの相談部は落ち着いたものだった。部員に関する質問がやたらと多い。主にアズサとユキだな。俺にもちょこちょこ来ているが、女子からは好きな人を聞かれ、男子からは呪いの手紙的な匿名の手紙が部室前に置いてある。どちらも取るつもりはないから自分自身で努力してほしい。
部員関係以外では、どの部活がいいかとか、勉強がわからないとかだ。部活に関しては将来どうしたいのかあるなら、それに繋がること、ないならできるだけ自分が3年間やり切れそうなものをやった方がいいということだけ言っている。しっかりやりきると、就活の面接でも自信を持って話せるからな。
勉強に関してはうちのメンバーは優秀なようだ。アズサ以外は。マサキは数学、カオリは国語が得意なようだ。ユキはそつなく平均点。俺はやや記憶に不安なところはあるが、授業が復習みたいなものなので、今のところ全教科余裕だ。遠足が終わると中間テストがあり、テストに向けた相談が増えているため、勉強会を実施予定だ。
こういった地道な積み重ねで親しみを持ってもらって、本当に悩んでいることの相談を受けるようになるのだと思っている。
部員のみんなには傾聴スキルについて説明しておいた。カウンセリングやコーチングには必須のスキルだ。
そういえば、最近は全く夢を見なくなった。嫁と子供のことは最早思い出せない。会社で働いていたときの記憶はあるんだが、嫁と子供の記憶にたどり着かず、それでもいいかと思ってしまう。
遠足で一緒に行動する班に特定の誰かとなりたいというのが最近は多い。そういうやつらにはまずは自分の希望をしっかり伝えろと言っている。背中は押してやるが、最後に選択するのは自分だと言っただろう。話は聞いてやるし若干の誘導はできるがね。
俺はと言うと、タクミ、ヨウスケ、アズサ、リナと同じ班になった。ヨウスケはサッカー部のクラスメイトだが、リナと同じ班になりたかったらしい。しっかり自分の意見も言っていたし、タクミと同じサッカー部で仲がよかったために、タクミを中心として、俺も同じ班になった形だ。
アズサとリナは大体セットだ。で、他の男子とあまり話してないという理由で俺と班を組みたがったために班が決まった。ユキは別の班になった。学校全体で男子のほうが多いから大体3:2ぐらいでちょうどいいのだ。
俺の枠分は他の男子に譲りたかったが、流れ上仕方ないだろう。ということで、遠足だ。めちゃくちゃ懐かしいので楽しみだ。
ここで、俺はヨウスケから相談を受けた。リナとどこかで2人きりになれるチャンスが欲しいと。これは相談部としてではなくて友達としてなので、タクミも一緒に聞いている。リナなぁ…アイツの相手ヨウスケじゃないけどな、と思いつつも、できる限りそういう風にしてみるってことで話はついた。
「ありがとうな!2人とも!で、タクミはいいんか?」
ヨウスケはタクミに話を振る。アズサのことだろう。
「おまっ!なにゆうてんねん!」
タクミは想定していなかったようで焦っている。
「タクミのほうはもうちょっと様子見の方がええと思うけどな。」
一応、俺はアドバイスをしておく。
「バレバレか。おぅ。わかった。」
ということで、タクミの話は置いておいて、ヨウスケにチャンスは来るだろうか。
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