第6話 紹介
そこに担任の先生がやってきた。これも過去と同じ、女の先生だ。
「もう自己紹介やってたのね。私は野田と言います。私もみんなのこと知りたいから後でもう1回お願いね。」
自己紹介でもう一度ガツンとかますのもありだろう。第一印象は非常に重要だ。メラビアンの法則によると、視覚による情報で9割が決まる。しかも、それを印象づけるのはたった3秒という話だ。営業の経験が活かせるぜ。ま、3秒だからさっきので既に印象はついたはずなんだがな。
みんなの自己紹介が始まる。傾聴スキルってのも大事だよな。正直ほとんど覚えてないし、しっかりと耳を傾け、頷いたりしてみる。アズサの番だ。
「神原アズサです。中学時代はバスケ部でした。ここでは何やるかまだ考え中です。みんなよろしくね。」
彼女はキレイな顔立ちをしていて美少女と呼んでいい。目が大きくぱっちりしており、髪はセミロングのストレート。発育はこれからだろう。次はコウキだ。
「三上コウキです。中学時代もバスケやってたので、高校でもバスケ部に入ろうかなと思ってます。あと、中学では生徒会長もやってたから委員長もやりたい。異論がなければ。」
俺は黙って頷く。もう生徒会長や委員長はやる気はない。特に異論は出ず、後で決めるはずの男子委員長はここで決まる。これも過去通りか。次はタクミ。
「島村タクミです。サッカー部に入りたいと思ってます。よろしく!」
タクミはイケメンだ。茶髪で軽薄そうに見えるが俺はこいつがウブで純粋だということを知っている。アズサに気があって後に付き合うことになったが、今回はどうだろうか。
次は俺の番だ。
「ケイタです。みんなよろしく!相談部を作る予定やから、相談でも入部でも言うてな。どうやったら部が作れるかはこれから調べまーす。」
客観的に見ると変なやつだがインパクトはあるし、こんなもんでいいだろう。
他のクラスメイトの自己紹介が続き、最後はリナ。コイツとアズサは仲が良くなる。2人がクラスの女子の中心だ。コイツも美少女でスタイルもいい。性格は子供っぽい印象だ。後にラグビー部の同級生と結婚するんだよな。
「リナです。ウチは相談部に興味あるなぁ。」
おっと?みんなスルーだったのにコイツが来てしまったか。リナとは実は話す機会が結構増える。同じ方面から自転車で通っているからだ。集客にはなるだろうし歓迎すべきだろうな。
「もちろん、歓迎するで。」
笑顔で答えておいた。
自己紹介が終わり、女子委員長を決めた。固くて真面目ないかにも委員長というタイプの女子だ。その後、オリエンテーションがあり、今日の学校での予定は終わりだ。まだ午前中なので、動けるところは動いておきたい。まずは部活動を始める条件を確認すべきだろう。
荷物をまとめ、動こうとしたとき、誰かが近づいてきた。こいつは、確か岸本ユキ。ちょっと幼い感じの美少女なのだが、全く俺の記憶には残っていない。多分記憶違いというわけでもないと思うのだが、やはり何か過去と変わったのだろうか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます